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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
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第818話

「……ノエルの事は置いておこうな」


「そうだね。ノエルの頭が残念だったから、ジークとフィーナがやる気になったわけだからね」


ジークは彼女であるノエルをフォローしようとするが言葉が見つからないようで眉間にしわを寄せる。

カインはノエルが登場した事で時代が流れ出したと言いたいのかくすりと笑うとジークは指で首筋をかき、フィーナは意味がわからないのか首を捻った。


「研究できる人間が育ってくれれば良いんだけどね。そこまでの時間になるにはまだ時間がかかる」


「まだ時間がかかる?」


「魔術学園の規模までは行かないけどこの周辺の子供達に勉強を教えようかな? って考えているんだよね」


カインはフォルムの地で学校のようなものを作ろうと考えているようであり、真剣な表情で言う。

フィーナはカインのような考えを持つ人眼が増えてはいけないと思っているのか眉間にしわを寄せており、レインは彼女の姿を見て苦笑いを浮かべている。


「先は長いけどね。それに今は関係ない話だね」


「そうだな。だけど、人手がないならどうにかしないといけないんじゃないのか? このままだとどうにもならないぞ」


「アーカスさんを引っ張り出せれば良いんだけどね。あの人、世捨て人だし、ヒマにしているだろうから」


カインは大変だと言いたいようで大袈裟に肩を落とした後、話を戻そうと笑う。

ジークは頷くも森の研究を続けるのに人手が足りない事は何も解決していないため、大きなため息を吐いた。

カインはアーカスを引っ張り出したいようだが、難しい事は解っているためか困ったように頭をかく。


「難しいだろ。アーカスさんは遺跡の本の研究も忙しいだろうから」


「古代の魔術師の残した書物か? 俺は読んでも見たいけどね」


「……今は自重してくださいね。セスさんに小言は言われるのは勘弁したいです」


ジークは首を横に振るとカインはアーカスの現在の興味の対象を見てみたいと言う。

彼の言葉にレインはカインが研究書に没頭してしまう事を危惧しているようで視線を向けるとカインはバツが悪そうに笑った。

カインの様子にレインは大きく肩を落とすとフィーナは諦めろと言いたいのか彼の肩を軽く叩く。


「それでどうするのよ。ジークだけだと人手が足りないんでしょ?」


「俺は本職じゃないからな。詳しい人間がいた方が早く解決するだろ」


「そうだね。それにこのままだとアンリ様の件もあるから、ジークの勉強もおろそかにさせるわけにはいかないからね……」


フォルム運営に人手が足りてないのはフィーナにもわかるようで首を捻る。

ジークは自分では力不足だと理解できているようで彼女の言葉に頷くとカインはジークに負荷をかけすぎているのも理解しているようで苦笑いを浮かべた。


「……でも、あそこの診療所だと本当にジークの勉強になるの?」


「どうでしょう。私も見回りに行きますけど……みなさん、お元気ですからね」


「魔族って人族より、身体が丈夫みたいだからね」


フィーナは診療所でみたフォルムのお年寄り達の姿を思い出して眉間にしわを寄せる。

診療所に来る人間の多くは診療所をただの集会所扱いしているのはレインにわかっているようで小さくため息を吐くとカインは頷いた。


「だから、学ぶ事もあるんだとは思うけどね」


「ああ、いくつかテッド先生にも教えて貰ったけど、人族にはない病気もあるみたいだし、逆もな」


「そうなの? ……でも、それってアンリ様に関係ない事よね?」


フィーナはジークがテッドの診療所で学ぶ理由が見いだせないようで首を捻っているがカインはそれは違うと首を横に振る。

ジークは今まで魔族用の薬を作った事はなかったため、勉強になっていると答えるがフィーナはアンリの治療には使えないと思ったようで眉間にしわを寄せた。


「そんな事はありませんよ。病気の原因も日々進化していますから、人族には無縁だった病気に突然かかってしまう事もあります」


「ミレットさん? 大丈夫ですか?」


「そうですね。お酒は抜けてきたと思いますよ」


その時、ミレットが4人に声をかけ、レインは驚きの声を上げて振り返るとすぐに彼女の状態を聞く。

ミレットはいつも通りの柔らかい笑みを浮かべると空いている席に座る。


「ミレットさん、今の話ってどういう事? ミレットさんの言う事だとアンリ様の側に魔族がいるって事じゃない」


「今のは物の例えです。魔族の病気だけではなく、動物の病気も人族にかかるようになる場合がありますからね。いろいろな症状を学ぶのは大切ですよ」


「わかっていますよ。実際、ばあちゃんに教わった事が役に立たなかった事もありますからね」


フィーナはアンリの病気が魔族からうつった物だと思ったようで驚きの声を上げるとミレットはジークへと視線を移す。

ジークは困ったように頭をかくと覚える事がたくさんあると言いたいのか大きく肩を落とした。


「そうなんだ。ジーク、しっかりとやりなさいよ」


「……やっているよ。それにお前には言われたくない」


フィーナは頑張れと言いたいようでジークの背中を叩く。

彼女の言葉にジークは眉間にしわを寄せて答えると彼の様子を見てカインとミレットは苦笑いを浮かべる。


「セスの調査の結果を魔術学園に持って行って興味を持ってくれて手伝ってくれる人間も出てくるかも知れないけど、現状は白い花が生えていた場所の調査に回せる人間がいないからジークに負荷がかかると思うからよろしく頼むよ」


「わかっているよ。こっちも迷惑かけているみたいだし、やれる事はやるさ」


「そうですね。私もできるだけの事は手伝います」


カインは伝手を使って協力者を探して見るとは言うが現状では難しいと思っているようでジークに頭を下げた。

ジークはカインの負荷がワームの問題も含まれているのは理解しているため、少しでもカインの負荷を減らすのに協力すると言い、彼の言葉を嬉しく思ったのかミレットも続くように頷く。


「そういう事を言うとこき使われるわよ」


2人の言葉にフィーナはジークとミレットが自分の首を絞めたと思ったようで大きく肩を落とす。


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