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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
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第816話

「フィーナさん、欠伸は止めた方が」


「だって、白い花が先か、土が先かなんてどうでも良いでしょ。必要なのはそこで何ができるかじゃないの。違う?」


「正しいと言えば正しいし、違うと言えば違うかな?」


レインはフィーナの態度にレインは慌てるがフィーナは無駄な話は良いと言う。

カインはフィーナの言い分に苦笑いを浮かべると彼女はバカにされたと思ったようでムッとした表情をする。


「何でよ?」


「白い花が先なら、あの花が土を良くして行ったって事だろ」


「それはそうだけど」


フィーナはあからさまに不機嫌そうな口調で聞き返すとジークはため息交じりで簡単に答える。

その言葉にフィーナは理解できているのかわからないが難しい表情で返す。


「……わかってないだろ」


「そんなわけないでしょ」


「それじゃあ、続けるよ」


彼女の様子にジークは眉間にしわを寄せるがフィーナはすぐに首を横に振った。

理解できていないのは容易に想像がつくがフィーナにかかわっても居られないため、カインは先に進むと言う。


「白い花が植えられた経緯がわからないんだけど、これを広げたいのが現状なのはわかるね?」


「そうですね。その場所が広がればフォルムもだいぶ、助かりますからね」


「はいはい。俺が悪いんですよ」


カインとレインは現状、フォルム統治の主力であり、レインは小さく頷く。

彼の言葉はカインには嫌味に聞こえたようで小さくため息を吐くと2人の会話の意味がわからないようでジークは首を捻る。


「何かあるのか?」


「……言い難いんですけど、現状のフォルムは周辺地域と取引は出来ていない状況なんです」


「言葉を濁さないで簡単に言ってよ」


2人の様子にジークが首を捻ると言い難そうにレインが口を開く。

フィーナは解り難いと言い、レインは困ったと言いたいのか助けを求めるような視線をカインに向ける。

カインはレインの視線にくすりと笑うと途中になっていた食事を口に運ぶ。


「……以前にフィーナさんがガートランド商会のステムさんから求婚を受けましたよね」


「誰?」


「……お前は本当にバカだな」


レインはため息を吐くとステムの名前を出す。

ジークはなんとなく察しがついたようで眉間にしわを寄せるが、フィーナはステムの事などすっかり忘れているようで首を捻った。

彼女の様子にジークは大きく肩を落とすとカインは苦笑いを浮かべている。


「ガートランド商会から圧力を受けているって事か?」


「そうですね。今はカインやセスさんの転移魔法を使っていろいろとしてはいますが、流石に限界がありますからね」


「……何なら、今からでもガートランド商会にやっちまうか?」


ジークは推測を口にするとレインは小さく頷く。

その言葉にジークはフィーナへと視線を向けた後、彼女1人でフォルムの民が助かるなら迷う問題でもないのかと言う。


「いや、今更、要らないでしょ。それに俺はイヤだよ。人の弱みに付け込むような義弟は」


「……お前が言うな」


「自分達の懐だけを潤すのは統治者としてやってはいけない事だよ」


カインはガートランド商会とは縁を結ぶ事はできないとわざとらしいくらいの大袈裟なため息を吐いた。

ジークは同族嫌悪なのではないかと言いたいようで大きく肩を落とすとカインはにやりと笑う。

その表情にジークはイヤな予感がしているのか眉間にしわを寄せる。


「……それで、圧力がかかっているのは問題ないのか?」


「限界はあるよ。シュミット様やラース様に援助して貰っているけど、何かしらの対策は取らないといけないからね。もって、1、2年ってところかな?」


「ダメじゃない。どうするのよ?」


ジークは改めてフォルムの状況を確認するとカインは難しい表情で答える。

フィーナは具体的な事はわからないが難しい表情をして対策を練ろと催促するように言う。


「だから、ジークやフィーナに協力して貰っているんだろ」


「そうだよな。だけど、ガートランド商会がフォルムに圧力をかけているとしたら、俺達が協力してフォルムの土地でも育てられる植物を育てたって売れないってなると大変だぞ」


「どこかでガートランド商会に痛い目を合わせないとね」


カインはそのためにジーク達に協力して貰ったんだと言い、ジークは頷いた後、首を捻る。

彼の言葉にカインはまたも何か企んでいるようで口元を緩ませると彼の表情に3人は眉間にしわを寄せた。


「……何を企んでいるのよ?」


「ほら、やられたらやり返さないとね」


「……着実に準備を進めていると言うわけか」


フィーナは言葉を捻り出すとカインは楽しそうに笑う。

ジークは大きく肩を落とすものの、これ以上の追及を避けたいようで言葉を飲み込む。


「フォルムはジーク達も知っているように周辺からの難民を受け入れています。お金の流れも悪いですがそれ以上に食料が」


「……巨大蛇をみんなが喜ぶわけね」


「そうだな……だけど、気になる事があるんだよな」


レインは眉間に深いしわを寄せるとフィーナは巨大蛇に群がった民の様子を思い出して苦笑いを浮かべた。

ジークも同感だと頷くものの、何か引っかかっているようで首を捻る。


「何よ?」


「大型の肉食獣がいるって事はそれのエサになる獣もいるわけだろ。同じように草食動物も」


「まぁ、森の中で狩りをして生活をしていた人達もいたからね。それは居るわよ」


ジークは森の生態系の事を考えていたようで首を捻ったまま答えるとフィーナは当たり前の事を言うなとため息を吐く。


「そいつらは森の中にある草を食っているんだから、もっと見ても良いだろ。この間から巨大蛇の件で森に入っているけど、あんまり見てないんだよな」


「そんなわけないでしょ……あれ? レイン、あんたは見ているわよね?」


「森に何度も入っていますから、見ますけど……肉食獣の方が多いですね」


ジークが疑問を口にするとフィーナはため息を吐いて何度も見ていると言おうとするがいざ考えてみると記憶に残っていないようで首を捻る。

フィーナに言われてレインも考え込むが、ジークとフィーナと同様にあまり記憶に残っていないようで眉間にしわを寄せた。


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