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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
804/953

第804話

「……ここだけ土が違う?」


「ああ。間違いないと思う。何なら、この2カ所の土のサンプルをフィリム先生に持って行ってみるか?」


ジークは現状でわかった事をカインに報告する。

その報告にカインは思案し始めたようで使い魔の小鳥は首を傾げた。

首を傾げる小鳥の様子にジークは頷くと2種類の土を別々に保管する。


「別に疑ってはいないけどね。それにフィリム先生も忙しそうだから、そこまでしなくて良いよ」


「……なんで、簡単に信じられるのよ?」


「俺は割とジークの医療関係や薬学系の知識とフィーナの野生の勘は信じているよ。俺にはないものだからね」


ジークの姿にカインは疑っていないと言うが、フィーナはジークの判断方法が土の味見と言う事もあり、眉間に深いしわを寄せた。

その言葉にカインはへらへらと笑いながら、2人の事は認めていると言うとカインに褒められ慣れていないフィーナは何か裏があるのではないかと疑っているようで怪訝そうな表情をする。


「疑われる理由がわからないね」


「……お前の日頃の行いだろ」


「俺のと言うよりはフィーナの問題だよ」


フィーナの表情にカインは小さくため息を吐くとジークは眉間にしわを寄せた。

カインはフィーナの普段の行いが悪いせいだと言うと再び、思案に移る。


「ここで考え込むなら使い魔を消せば良いのに……この形以外にならないのかしら?」


「この形にするのは結構、神経使うって言っていたから、消したら大変なんだろ。フィーナ、カインの使い魔は任せるぞ」


「そうだとしても……ジーク、あんたは何をするつもり?」


再び、首を捻り始めたカインの使い魔にフィーナはため息を吐くとカインの使い魔の首をつまむ。

ジークは以前にカインが言っていた事を思い出したようで眉間にしわを寄せるとフィーナに任せて自分は調査の続きを行おうとする。

フィーナはカインを押し付けられる事に拒絶反応を見せ、カインの使い魔を投げすてるとジークを追いかけて行く。


「……お前、何しているんだよ?」


「だって、あんなのを持ち運ぶ理由がないわ」


「そういう事をやると戻った後に何をされるかわからないぞ」


フィーナがカインの使い魔を投げすてる姿はジークの目にも映っており、ジークは大きく肩を落とすと地面に落ちたカインの使い魔を拾う。

その言葉にフィーナは迷う事無く言い切るとジークは拾ったカインの使い魔の置き場所を探そうと思ったようで周囲を見回す。


「……見なかった事にするか?」


「そうね……ちょっと、ぐろいわ」


その時、ジークの目には巨大蛇が大型の獣に巻き付き、絞め殺そうとしている姿が映った。

ジークは助けに行く理由もないため、無駄な戦いは避けたいと考えたようで白い花の咲く場所に移動する。

フィーナは飽きてきていたため、巨大蛇を叩き斬ってやろうかと思って剣に手をかけるが、タイミング悪く、巨大蛇は大型の獣を絞め殺したようで息絶えたのを確認すると頭から飲み込んで行く。

その様子にフィーナは気持ち悪くなってきたようで眉間に深いしわを寄せるとジークの後を追いかけて白い花の群生地に入った。


「……本当に入ってこないのよね?」


「そのはずだけどな」


「ねえ。あんた、魔導銃でここから狙ったら? ……言いたくないけど、あの蛇の肉を楽しみにしているんでしょ?」


アリアの研究書の通りなら巨大蛇はジーク達を襲う事はないが、流石に目の前の捕食の様子を見ていれば警戒を解く事はできない。

フィーナは捕食の様子を見ていたくはないようで巨大蛇に背を向けた状態でジークに聞く。

彼女の言葉は明らかにジークに巨大蛇の方を警戒しておけと言う意味合いがあり、ジークは眉間にしわを寄せて巨大蛇の様子を見ている。

その時、フィーナは良い考えが浮かんだと魔導銃で巨大蛇を撃ち抜けと言うが、ジークはあまりやりたくないようで首を捻った。


「何よ? イヤなの?」


「今はやる必要ないだろ……それに正直、続きすぎて飽きた」


「……確かにそうね」


付き合いの長いフィーナにはジークを見なくても気配から、彼が乗り気ではないと分かったようで不機嫌そうに言う。

ジークも目の前で血をしたたらせて食事をしている巨大蛇には食欲はわかないようで眉間にしわを寄せるとフィーナもジークの言い分はもっともだと思ったようで小さく頷いた。


「何で、みんな、蛇肉が好きなの? ……おかしな中毒性とかないわよね?」


「ばあちゃんの研究書を読む限りではないぞ」


「わいわい騒ぎながらみんなで食べるってのも良いんじゃないかな?」


フィーナの目にはフォルムの民が蛇肉に盛り上がっている様子は異常に映っているようで中毒性を疑うが、ジークは研究書を開きながら首を横に振る。

2人の会話に思案が終わったのか、ジークの手の中でカインが考えを口に出す。


「……だとしても騒ぎ過ぎでしょ」


「結構、酒禁止とか奥さんに怒られているみたいだからな」


「あまり、お酒が禁止になるとお金がまわらないんだけどね……俺は飲まないけど」


カインの言葉にジークとフィーナは先日のバカ騒ぎを思いだしたようで眉間い深いしわを寄せる。

フォルムの領主としてはあまり歓迎できないと言いたいのか使い魔の口からがため息が漏れるが、彼自身、酒が苦手なためか他人事のようにも聞こえた。


「それで、ジークとフィーナは蛇除けの効果を確認中?」


「そう言うわけでも無いんだけどな……なあ、この花1つでどれだけの効果ってあるんだろうな?」


「どうかな? 苦手な臭いなり、成分を出しているだけだろうし、この花1つ持っていても蛇除けにはならないと思うよ。現にこの花の群生地以外からは蛇が入ってきているわけだしね」


カインは食事中の蛇へと視線を向けると2人には目的があって蛇の食事を見ていると思ったのか使い魔は首を捻る。

ジークは特に理由もなかったため、気まずそうに視線をそらすと白い花の蛇除けの効き目が気になったようで1つ花をつむ。

ジークの疑問にはカインは答えられないようで首を捻ったままいるとフィーナはジークに目で合図を送った。

フィーナの視線の意味がわからずにジークは首を傾げるとフィーナは白い花をむしり取り、ジークの手からカインの使い魔を奪い取ると使い魔を巨大蛇に向かって思いっきり投げつける。


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