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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
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第800話

「……なんで、いるのよ?」


「フィリム先生に送って貰ったんだよ。私が兄上から任せられた仕事とも共通する事がありそうだからね。仕事の事、ジークとノエルから聞いてない?」


「ジーク」


翌日、ジーク、フィーナ、レインの3人が森へと向かおうとした時、屋敷の玄関のドアがノックされる。

玄関に居たため、フィーナはすぐにドアを開けるとそこには準備を終えたライオが立っており、フィーナは眉間にしわを寄せた。

ライオは自分がフォルムに居る理由を説明するが、フィーナにとっては面倒事が増えただけであり、ジークを睨み付ける。


「……俺に言うな。フィリム先生もどうして余計な事をするかな」


「何をしているんですか? 早く行かないとシーマさんが困るではありませんか? ……なぜ、ライオ様がフォルムに居るんですか?」


「カイン、セス、久しぶりだね」


フィーナの視線にジークは小さく肩を落とすと3人の後ろからカインとセスが顔を出す。

セスは玄関で立ち止まっている3人の様子にため息を吐くが、ライオがいる事に気が付いて顔を引きつらせる。

彼女の表情の変化を気にする事無く、ライオは2人に挨拶をすると2人はライオに向かい頭を下げた。


「ライオ様、なぜ、フォルムに?」


「ジークに聞いていないかい? 言っていて貰わないと困るよ」


「……話す必要もなかっただろ。ライオ王子はライオ王子で王都周辺の調査をしてくれよ」


カインは頭を上げた後、ライオがフォルムを訪れた理由を聞く。

ライオは大袈裟に肩を落とすとジークには言っていたと言い、責任をジークに擦り付けようとするがジークはフォルムに来る理由が理解できないようで大きく肩を落とした。


「……とりあえず、1度、中に入りましょうか? レイン、悪いんだけどシーマさんのところに報告を頼んで良いかな?」


「そうですね。ライオ様が同行するとなるといろいろと考えないといけませんから」


「……せっかく、いろいろと考えたのに」


カインは話を聞かない状況でライオを同行させるわけにはいかないと思ったようで1度、ライオを屋敷の中に招き入れる。

レインはすぐにジーク達が森に行けないため、指示を伝えに森に向かって行き、セスは立てた計画がダメになってしまったと思い肩を落とす。


「……王都周辺にも巨大蛇ですか?」


「フィリム先生がおかしな事をしたんじゃないの?」


「俺もそれを疑ったけど違うみたいだ」


居間に着くと朝食の後片付けをしていたノエルとミレットが気付き、人数分のお茶を用意してくれる。

ライオは一息入れた後、王都周辺に巨大蛇が出た事を話す。

巨大蛇と聞き、カインは少し考え込むとフィーナはフィリムがおかしな事をやったのではないかとため息を吐くがジークは本人が否定していたため、首を横に振る。


「流石に師匠だってあまりおかしな騒ぎを自分から起こしはしないよ」


「……信じられないわね。あんたの師匠なんだからさらにね」


「フィリム先生も信用がないね。それより、そろそろ行かないかい? いつまでも時間をかけていられないしね」


カインは苦笑いを浮かべてフィーナの言葉を否定するが、フィーナはカインともども信用していないと言い切った。

彼女の言葉にライオは苦笑いを浮かべると屋敷に残っていないで森に行こうと言って立ち上がる。


「カイン、セスさん、大丈夫なのか?」


「大丈夫じゃないね。ギド達もいないし、ライオ様を警護するだけの戦力はフォルムにはないよ」


「そうですね。それにライオ様がフォルムに来ていると言うのは普段、警護についている方達には秘密でしょうし、騒ぎになっている気しかしません」


張り切っているライオの姿にジークは肩を落とすと声量を落としてカインとセスに聞く。

2人は当然、ライオを連れて行けないと思っており、魔術学園で警護についている者達を心配しているようで眉間にしわを寄せている。


「ライオ様も落ち着いてください。流石に領地を預かる者としてカインもすぐに判断できないでしょうし」


「そう? 少しだけ、待とうか? ミレットさんの淹れるお茶は美味しいからね」


「……ミレットさん、何か企んでいるわね」


ミレットははやるライオを落ち着かせようと思ったようで笑顔で彼の前に新しいお茶を置く。

ライオはミレットの淹れるお茶を気に入っているようでソファーに座り直すとカップを手に取る。

ミレットの笑顔にフィーナは何か感じたようで眉間にしわを寄せた。


「ジークが作った葉が良いんですよ。ねえ」


「……そうですね」


「……絶対に何か企んでいるわ」


ミレットは笑顔でジークの育てている紅茶の葉が良いと笑う。

その笑顔にジークとフィーナは背中に冷たい物が伝ったようで顔を引きつらせるがミレットは気にする事無く、ライオにお茶を勧めている。


「……ミレットさん、何をしたんですか?」


「少しだけ、これを」


「ジーク、これ、何?」


ミレットに勧められたままお茶を飲んだライオの目はとろんとし始め、セスは何が起きたかわからずに眉間にしわを寄せた。

セスの疑問にミレットは笑顔のまま、懐から小瓶を取り出してテーブルの上に置くとジークはその小瓶が何かわかったようで眉間に深いしわを寄せており、フィーナは小瓶を手に取って首を捻る。


「……睡眠薬だな」


「そんな物を飲ませて良いの? 危なくないの? ライオ様に何かあったら流石に不味いでしょ」


「大丈夫ですよ。副作用はないものですし、それに元々、寝不足だったみたいですしね。あくまでもライオ様の体調を考えて紅茶の中に混ぜさせて貰いました」


ライオのまぶたは完全に閉じてしまい、ジークはライオの様子から小瓶の中味が睡眠薬だと確信したようで大きく肩を落とした。

フィーナは無理やりすぎると言いたいのか顔を引きつらせるが、ミレットは悪びれる事無く答える。


「……ジーク」


「ミレットさんの見立ては正しいと思うよ。顔色は昨日、あった時も悪かったし、昨日は寝たんだろうけどそんなに強くない物でもここまで効くんだからな」


「2人が同じ意見なら問題ないね……とりあえず、師匠にも言いたい事があるから、俺がライオ様を魔術学園に運んでくるよ。セス達は仕事に戻って」


セスはどうして良いのかわからないようでジークにミレットの考えが正しいかと聞く。

ジークは昨日からライオの体調の事が気になっていたようでミレットの意見に同意を示す。

カインは2人の意見を精査したようで小さく頷くと今日の予定に移るように指示する。


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