第8話
「ジークさん、すいませんでした」
「……できれば、もう止めて欲しい。と言うか、小さな村だから商品を持ってシルドさんの店に行くのが怖いんだよな。あ。ノエル、悪いんだけど、そこの赤い瓶を3つ取ってくれるかい?」
「これですか?」
「ん。ありがと」
「……」
ノエルが泣きやんだため、ジークは薬草探しに行く前に先ほどシルドに頼まれた商品をシルドの店に届けようと思ったようで商品をまとめている様子をフィーナはジークがノエルと仲が良さそうに話している姿が気に入らないようで不機嫌そうな表情で見ているがジークはフィーナ無視して作業を続けており、
「これで発注された商品は全部だな。ノエル、ありがとう。助かったよ」
「い、いえ、こちらこそ、先ほどからご迷惑をかけてばかりですし、これくらいはお手伝いしないと」
「俺はシルドさんの店に商品を持って行くから、店から出てって……なぁ、ノエル」
「はい。なんですか?」
ジークはノエルが手伝ってくれた事で商品を用意する時間がかからなかったため、ノエルにお礼を言う。しかし、ノエルはジークに迷惑をかけてしまった事もあり、逆に迷惑をかけてしまったと思っているようでジークに向かい深々と頭を下げた。
ジークはそんな彼女の姿に苦笑いを浮かべるとシルドの店に出かけようとするが今までの流れが妙にしっくりときていたが店の外に1歩足を踏み出そうとした時、ふと冷静になったようで、ノエルの名前を呼ぶと彼女は首を傾げる。
「さっきの話に戻るんだけど、ノエルはこの村に居座るつもりなのか?」
「はい。迷惑でしょうか?」
「いや、それは冒険者に見つからなければ問題はない気もしてきたんだけど……どこに住む気?」
「できれば、ここに置いて頂きたいのですけど」
ジークは調合室で話していたノエルが村に居座る場合はどこに住むのかと聞くとノエルは何も考えていないのかジークの家に居候させて欲しいと言うと、
「そんな事を許すわけにいかないでしょ!!」
「どうしてですか?」
「当然でしょ。何かあったらどうするつもりよ」
フィーナは声を上げてノエルがジークの家に住む事を反対し始めるがノエルは意味がわからないようで首を傾げている。
「……ノエル、いきなり何を言い出すんだ?」
「ですけど、わたしはジークさんのご両親に用があるわけですし、ここにいた方が都合がいいわけで、それにわたし、お店番しますし、お店番が居れば勝手に商品を持って行く人もいなくなりますし、これでお店が潰れなくて済みます」
「……いや、潰れないから、そこまで酷い経営状況じゃなからね。村の人達以外の冒険者の人達は常識があるからちゃんとお金を払ってくれるし」
「むしろ、ノエルが手伝うと人件費がかかるから潰れるんじゃないの?」
ジークはノエルの言葉にため息を吐くと彼女は自分はジークの両親に用があるのとジークの店が潰れないようにと手伝いをすると言い始め、ジークはそこまで心配されなくても良いと言うとフィーナはジークが先ほどからノエルの事を気にかけすぎている事が気に入らないようでノエルの手伝いでこの店が潰れるんじゃないかと笑う。
「そんなわけないだろ。1人や2人の給料くらいだせる。ノエル、わかった。ばあちゃんの部屋を片付けるから、ここにいろ」
「ありがとうございます。お世話になります」
「あっ!?」
ジークはフィーナの言葉に意地になったようでノエルを住み込みで雇うと言ってしまいノエルは嬉しそうに頭を下げ、ジークは直ぐに冷静になったようだが既に遅く、
「バカジーク」
「……言うな。俺はシルドさんの店に行ってくるから、フィーナは用がないなら帰れよ。ノエルはなんか適当にしていてくれ。シルドさんに商品を届けたら1度、戻ってくるから、その後にもう1度、よく話をしよう」
「は、はい。わかりました」
フィーナはジークをジト目で見るとジークはため息を吐いた後にノエルに後で詳しい話をすると言い、ノエルの返事を聞くと店を出て行き、
「ノエル、とりあえず、部屋を片付けようか?」
「勝手にお部屋に入って良いんでしょうか?」
「まぁ、大丈夫でしょ。私もジークが大切にしているものくらいはわかるしね。それに……片付かないでノエルがジークの部屋で寝るとかなっても困るし。うちに泊められればジークと何か起きるような事はないと思うけど、お父さんが相手だとノエルの正体ばれるだろうし」
「フィーナさん、どうかしましたか?」
「な、何でもないわよ!? ジークがおかしな事をしようとしても困るから部屋のドアに鍵とかも付けないといけないからね。ノエルの部屋になるなら雑貨屋も見てこないといけないからね。女の子が住むんだから」
フィーナはノエルとジークに何かあっても困るため、ノエルをジークから守るために部屋を片付けると言うと店の奥にあるジークの家に入って行き、ノエルはジークがいないのに勝手な事をして良いのかわからないが1人でいるのは不安なようでフィーナの後を付いて行く。