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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
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第798話

「……なるほど、確かに巨大蛇が近寄らない時期があると言う事は蛇をちかづかさないためのものがあるかも知れませんね」


「カイン、なんで、セスさんが考え込んでいるんだ?」


何とかライオをまいてフォルムに戻ったジークとノエルはフィリムから借りた知恵をカインとセスに説明する。

説明を受けたセスは考え込み始めるが、領主であるはずのカインはソファーの上でだらだらとしており、ジークは首を捻った。


「巨大蛇関係の仕事はセスとシーマに任せているから」


「……お前、仕事しろよな」


「働いているよ……ものすごく」


カインはミレットが淹れてくれた紅茶を口に運ぶと巨大蛇の対策は任せていると言う。

その言葉は領主としてどうなのかとため息を吐くジークだが、カインはフォルムの事だけではなく、現在はワームの事にも首を突っ込んでいる状況であり、それ以外にも働いていると言いたいようで遠くを見つめた。

その姿に彼も疲れていると理解できたジークは何も言えなくなったのか困ったように頭をかく。


「そうなるとジークにも森の探索に加わって貰いたいのですが……」


「そうなるでしょうね。テッド先生には悪いけどそのつもりですけど……何か不味いです?」


「元々、ジークはアンリ様の病気を調べるのに知識を深めようとしていたんですから、あまり、他の事に時間を割かれるのもどうかと思っているんです」


薬草類がある場合はジークの知識と経験が役に立つため、セスはジークを森の探索に使いたいようだが、引っかかっている部分もあるようで首を捻ったままである。

彼女の様子にジークは首を捻るとセスは完全に元々の意味を忘れている彼の様子に大きく肩を落とす。


「そう言えば、そうだったな……アンリ様の体調ってやっぱり回復してないのかな?」


「回復していたら、ライオ様やシュミット様が教えてくれるんじゃないですかね?」


「それもそうか」


すっかり忘れていたのかセスに指摘されてジークは気まずそうに視線をそらす。

その後のアンリの状況も確認していないと思い出したようで疑問を口に出すとノエルは誰もアンリが回復に向かっていると教えてくれないため、そのままなのではないかと首を捻る。


「だからと言って、ジークは目の前の人間を無視できるようにできてないからね」


「それはそうですけど……」


「それなら、素早く終わらせてテッド先生のところで勉強して貰えば良いんでしょ」


カインはジークの性格上、フォルムの事を無視できないと知っており、苦笑いを浮かべた。

それはセスも充分に理解しており、どう判断をするべきかと頭を悩ませているが、側で話を聞いていたフィーナは特に考える事無く、早急に蛇の問題を解決すれば良いと言う。


「……お前は単純で良いな」


「何よ。そういう事でしょ?」


「確かにその通りなんでしょうけど」


その言葉にジークは呆れたようにため息を吐くとフィーナはジークを睨み付ける。

彼女の言う事にセスはどう判断して良いかわからないようで頭を抱えており、そんな彼女をリラックスさせたいのかミレットは新しい紅茶とお茶菓子を置く。


「それなら、私が森の方に同行しましょうか?」


「……ミレットさん、おかしな事を言わないでください」


「お姉ちゃんが心配ですか?」


ミレットは空いている席に座るとくすりと笑い、森には自分が行くと言う。

彼女は戦闘技能を持っていないため、ジークは大きく肩を落とすとミレットはジークの顔を覗き込む。


「……いい加減、それ、止めてくれませんか?」


「ジークが1度、呼んであげたら良いんじゃないかな?」


「1度でも、呼んだらこれからも強要されそうだからイヤなんだよ」


ジークはミレットを引き離して姉と呼ぶ気はないと言う。

少しだけミレットが可哀そうになったのか、カインは苦笑いを浮かべるがジークはミレットの性格上、1度でも呼んでしまえば逃げ切れないと考えているようである。


「そんな事、ありませんよ」


「……嘘くさい」


「人を信じる事も大切ですよ」


ミレットは笑顔で1度くらい呼んでみたらと笑う。

彼女の笑顔はジークにとってはカインの笑顔と同様に胡散臭い物であり、首を横に振るとミレットは人を信じるべきだと強調する。


「……それについては充分に理解していますが、それとこれとは別です」


「ジークの場合、人を信じすぎてだまされている気がしますけどね」


「それに関して言えば自覚がある」


ジークは首を大きく横に振るとセスは話が聞こえていたようで大きく肩を落とす。

セスの言葉にジークは大きく肩を落とすと彼の他人の良いところに付け込んでいる自覚があるのかカインはわざとらしく視線をそらした。


「私もミレットさんに調査をして貰うのは反対です。ミレットさんを同行させると負担が大きいですから」


「そうですね。警護対象者がいる場合は神経を使いますし、なれていない人達には大変でしょう」


「アノスもリアーナも帰ったからね」


セスは考えを決めたようでミレットの提案を断る。

レインはフォルムの戦力を見て難しいと手を上げるとカインは先ほどまでいたアノスとリアーナの顔を思い浮かべたようで苦笑いを浮かべた。


「その分、ジークならフットワークも軽いですし……ノエルはテッド先生の診療所の手伝いをノエルにも医療の知識を深めて貰えばジークの手伝いできることも増えますし」


「わ、わかりました」


「……今、さらっとノエルは要らないって言ったわね」


セスはジークが診療所に行けないため、ノエルに診療所を任せる。

ノエルは大きく頷くが、それは事実上のノエルへの戦力外通知であり、フィーナは眉間にしわを寄せるとノエル以外は気が付いているようで視線をそらす。


「話も決まったようだし、今日は解散しようか? 正直、眠い……」


「そうですね。ジーク、フィーナ、レイン、明日は森で各々働いて貰う事になりますから、ゆっくりと体を休めて下さい」


ノエルが戦力外通知に気が付く前に話を終わらせようと考えたのか、カインは欠伸をする。

セスはカインの考えに気が付いたようで小さく頷くとジーク、フィーナ、レインに声をかけるとテーブルにあるカップの片づけを始めだし、彼女の続くように後片付けが始まる。


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