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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
795/953

第795話

「名前を見る限りはね。だけど、私はこれが本当にアリアさんの書いたものかはわからないからね」


「フィリム先生、どうなんですか?」


「……本当だ」


ライオはこの研究書が本当にアリアの書いたものかわからないため、持ち主であるフィリムへと視線を向けた。

彼に続くようにノエルはフィリムへと視線を向けるとまくし立てるように聞く。

彼女の様子にフィリムは事実だけを伝えるつもりのようで頷くがそれ以上の言葉はなく、ノエルとライオは顔を見合わせる。


「……何だ?」


「いえ、アリアさんが書いた物だとしたら、もう少し何かあっても良いんじゃないかと」


「ジークのおばあさんの物ですからね」


2人の様子にフィリムは表情を変える事無く、聞き返す。

ノエルとライオはもう少し何かないかと言いたいのか遠慮がちに手を上げるとフィリムは少し考え込む。


「レギアスやティミルがアリア殿の教え子なんだ。私が知り合いでもおかしくはないだろう?」


「……レギアス様が教え子なのは知っていましたけど、ティミル様もですか?」


「なんか、あれだよね。ジークはレギアスやティミルに遊ばれている気がするね」


フィリムはなぜ、自分がアリアと無関係だと思われていたかわからないと言うとレギアスだけではなく、ティミルまでもアリアの教えを受けていたと言う。

ノエルはフィリムの言葉に眉間にしわを寄せるとライオは大きく肩を落とした。


「そ、そうですね。レギアス様はわかりませんけど……間違いなく、ティミル様には遊ばれている気がします」


「ノエルも言うようになったね。だけど……ここまでの研究書を手掛けているのにどうしてアリアさんは1部の人間にしか名前が知られてないんだろうね」


「ラング様も知っていましたよね? それなのに話してはくれないんですよね?」


ノエルは楽しそうに笑っているティミルの顔を思い浮かべたようでため息を吐くとライオは苦笑いを浮かべた後、アリアの名前が多く知られていない事にずっと疑問を抱いていたようで首を傾げる。

ジークとフィーナがラングと面会した後からジークが栄養剤を納めている事もあり、アリアとラングが面識のある事はわかっているがそれ以上聞けないためか、フィリムから聞けないのかと思ったようで視線を移す。


「私よりも詳しい人間がお前達のそばにいるだろう。知りたければその人を説得しろ」


「詳しい人?」


「……アーカスさんですよね?」


フィリムはノエルの言葉をすぐに拒否するとライオは彼が言う人物に心当たりがないため、ノエルに意見を求めるような視線を向けた。

ノエルはフォルムでの話もあるため、1人しか思い浮かばなかったようでアーカスの名前を出す。

その名にフィリムは頷くがそれ以上は何も言う事はなく、ノエルとライオは疑問しか頭に残っていないようで顔を見合わせると困ったように笑う。


「それより、探し物はいつになったら終わるんだ? 私にも行わなければいけない研究があるんだが」


「あー、だけど、ジークは本当に興味が湧いたら周りが見えなくなるね」


「今までのやり取りも聞こえていないみたいですね」


フィリムは長時間付き合っていられないと言いたいようである。

ライオは気まずそうに視線をそらすと真剣な表情で研究書を読んでいるジークが目に入り、眉間にしわを寄せるとノエルは苦笑いを浮かべた。


「これだな」


「ジークさん、見つかったんですか?」


「そうだな……でも、俺が採取した事の無い薬草だな。レギアス様に聞いてみるか、書庫のカギも預かっているし、そこで調べ物をしてみるのも良いな」


その時、研究書を開いていたジークが目的のページを見つけたようで声を漏らした。

ノエルはジークの開いているページを覗き込むと見た事の無い薬草を使うようで考え込み始める。


「……完全に自分の世界に入っているね」


「そうですね。それでライオ様の方は見つかったんですか?」


「こっちにはなさそうなんだよね。ジーク、そっちの本を貸して貰っても良いかい? ……まったく」


ライオはその様子に小さくため息を吐くとノエルは困ったように笑うとライオの進捗状況を聞く。

研究書に目を通したうえで、こちら側にはないと判断したライオはジークにもう1冊を貸して欲しいと頼むがすでに考え事に忙しいジークは反応する事はない。

ライオはため息を吐くとジークが研究書を見ていないため、彼の手元から抜き取り、自分が探している蛇が書かれているページを探す。


「……フィリム先生、どうしたら良いんですかね?」


「少し待っていれば良い。自分で考えるのは成長に必要な事だからな……これだな」


「これは何が書かれているんですか?」


ノエルは1人やる事が無いため、フィリムに何かないかと聞く。

彼女の言葉にフィリムは待っているように言うとソファーから立ち上がり、本棚から新しい研究書を取り出し来る。

ノエルは新しい研究書に首を捻るとフィリスはぺらぺらとページをめくって行き、しばらくすると目的のページを見つけたのか手を止めて、ノエルに見せるように研究書を広げた。


「これは?」


「ジークが目を止めた蛇の対策方法だ。あれよりは詳しく書いてあるな」


「……その研究書を見せてあげた方が早くありませんかね?」


フィリムはジークが手を止めた研究書のページをしっかりと見ていたようでフォルムに必要な物だと言う。

ノエルはジークが隣で考え込んでいるため、意地悪をしないでほしいと言いたいようで大きく肩を落とすがフィリムが気にする事はない。


「この薬草を植えれば巨大蛇はフォルムに入ってこないんですか?」


「苦手とするだけであって完全に止めるのは無理だな。あくまでも予防処置だ。それにこの種類の蛇ならしばらく時間が経てば活動範囲も変わってくるだろう」


「そう言えば、定期的に目撃されるって事ですから、時間が経てば出てこなくなるのかも知れませんね」


ノエルはフィリムにこれ以上言っても仕方ないと思ったようでフィリムが開いてくれた研究書を読み始める。

疑問に思った事を口に出して見るとフィリムは彼女の質問に答え、ノエルはフォルムの人達に聞いた蛇の特徴を思いだしたようで苦笑いを浮かべた。


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