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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
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第790話

「そう言ったって、このまま終わるわけではないんだろ?」


「普通はそうなるだろうな」


フィリムの言葉にはジークは納得した物の、話はこれで終わるわけない事も理解できており、頭をかく。

アノスはアーカスとの面識も浅いため、興味がなさそうではあるが小さく頷くと視線はフィリムに集まる。


「特に何も言う事はない。そこに案内しろと言うだけだ」


「ですよね。他にないですよね」


「結局、案内する事になるんでしょ。さっさと行ってきなさいよ。私はここに居るから、汗流したんだから、アーカスさんのところで無駄に疲れたくないし」


フィリムが言いたい事は1つしかなく、アーカスへの面会を求める。

カインは会わせて良いべきかすぐに答えが出ないようで頭をかくがフィーナはフィリムに押し切られると思っているため、さっさと行けと追い払うように手を振った。

その態度からは自分はついて行かないから、面倒事を早く終わらせて来いと言う意思が見られ、ジークは彼女の様子に眉間にしわを寄せる。


「それはそうなんだけど……アーカスさん、世捨て人だからな。師匠が会いたいって言ったって、本人がその気にならなければ逃げられるだけですからね」


「アーカスさん、転移魔法使えるからな。長く生きているから俺達の行った事のない場所にも逃げられそうだし」


「ですよね……あ、あの。フィリム先生、1つ良いですか?」


カインはアーカスの意思を尊重したいと思っているようで首を捻った。

彼の言葉にジークは面倒な事なら、アーカスは逃げる可能性もあると思ったようでため息を吐くとノエルも頷くが何かあるのか遠慮がちに手を上げる。


「何だ?」


「あの、アーカスさんとフィリム先生が知り合いと言う事はラース様とも知り合いなんですか?」


「おっさんと? ノエル、なんで、そんな事になるのよ? だいたい、おっさんはジルさんの店でアーカスさんの事なんて知らないって」


アーカスはノエルへと視線を向けると彼女は少し怯んだようで視線をそらした後、初めてラースと会った日の事を思いだしたようでアーカスとラースの関係を聞く。

フィーナは意味がわからないようで首を捻るとノエルは自信がないようで苦笑いを浮かべた。


「そうなんですけど、アーカスさんはラース様のお父さんの事を知っていたようですし」


「そう言えばそんな事を言っていたような……」


「当然、知ってはいるだろうが……バカだからな。忘れている可能性も高いだろう」


ノエルの言葉にジークの記憶にもわずかに残っていたようで首を捻っている。

フィリムは頷くがしばらく沈黙した後、眉間に深いしわを寄せてラースをバカだと言い切った。

その言葉に居間にいた全員の眉間には深いしわが寄り、沈黙に陥るがクーだけは何が起きているかわからないのか首を捻っている。


「……おっさん」


「子供の時に会っただけだろうからな。これくらいにしておいてくれ。それで今、それは何か関係あるのか?」


「い、いえ、特に深い意味はないんですけど、気になっただけです。それより、アーカスさんの書斎に魔術学園の研究書があったのも納得できます」


ジークは沈黙に耐え切れなくなったのか大きく肩を落とすとフィリムは自分でラースの事をバカと言い切ったにも関わらず、フォローするとノエルに質問に意味があったかと聞く。

ノエルは話を折って悪かったと言いたいのか目を伏せた後、アーカスの書斎にあったたくさんの専門書の出所がわかったと笑う。


「そう言えば、あったわね。読めなかったけど……ねえ、あんたはあの専門書を読んだ事があるの?」


「少しはね。だけど、魔術学園に行く前だからね。当時はまったく理解できなかったよ。今、読んでみたら理解できるかな? 師匠、悪いんですがアーカスさんの事は本人に承諾を得てからで良いでしょうか?」


「……カイン、お前は師匠である私を脅迫する気か?」


フィーナは首を傾げながらも、専門書の内容などうでも良いがなんとなくカインに聞く。

カインは茶化すように笑った後、真剣な表情をするとフィリムに時間が欲しいと言うが、フィリムはその言葉に眉間にしわを寄せた。


「……悪い顔をしているな」


「そうですね。でも、脅迫と言うか交換条件と言ったところでしょうか?」


「そんなつもりもないけどね。だいたい、俺達が案内しなくたって、ジオスでアーカスさんの事を聞けばすぐに居場所はばれちゃうしね」


カインの表情にジークは眉間にしわを寄せるとミレットはカインが何を言うか察しがついているようでくすくすと笑っている。

2人の言葉に言いがかりだと言いたいのかカインは大袈裟に肩を落とすとカインはフィリムが本当にアーカスに会いたいのならすぐに会えると言う。


「確かにそうだな……」


「実際、脅迫する気か? って、師匠は言っているけど師匠もそれがわかっているから、わざわざ、俺達にアーカスさんのところに連れて行けと言っているわけだしね」


「確かにおかしいですね」


それでも疑いの視線を向けられているため、カインはフィリムの言葉の矛盾を指摘するとレインはフィリムが何をしたいのかわからないようで首を捻る。


「それに関しては師匠しかわからないからね。俺は師匠の欲しい言葉を提示しただけですよ」


「……とりあえず、あいつの性格が悪いのは再認識したわ」


「そうだな……面倒だから、アーカスさんのところに行ってくるか?」


カインはフィリムが考えているすべてはわからないと笑う。

その笑顔にジークとフィーナは大きく肩を落とすとジークはカインとフィリムの話し合いに付き合うのは面倒だと言いたいようで席を立とうとする。


「あの、ジークさん、それは違うんじゃないかと」


「ジーク、余計な事をするといつものフィーナみたいになりますよ」


「……」


ノエルはジークの手をつかみ、彼を引き止めるとミレットはノエルの手助けをする。

彼女の言葉にジークはフィーナへと視線を向けた後、視線をカインに動かすと彼の手にはいつの間にか杖が握られており、ジークは席に座り直す。


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