第79話
朝食を食べ終わるとジークは片付けの時間を考慮したようでテントの中では寝ずに地面で横になって眠りについている。
「ジークさん、起きてください」
「……あぁ。もう、そんな時間か?」
片付けを終えたようで、ノエルはジークの身体を揺する。ジークは深い眠りについていたわけにもなかったようで、直ぐに目を覚ますと大きく欠伸した。
「もう少し休みますか? ジークさんは徹夜だったわけですし」
「いや、大丈夫だよ。今日は鉱山下の宿場町で一泊する予定だし、心配してくれてありがとうな」
ジークは立ちあがると大きく身体を伸ばす。ノエルは自分達はゆっくり休ませて貰った事もあるため、ジークの体調を気にかけるとジークは彼女の優しさに表情を緩ませた。
「は、はい」
「……」
ジークの表情にノエルは顔を赤らめて頷く。その姿にジークは何か気恥ずかしくなったようで首の後ろを指でかいた。
「……2人とも行くわよ」
「は、はい!?」
2人の様子に気が付いたフィーナは不機嫌そうな表情をして、声をかけた。ノエルは慌てたようで声を裏返す。
「それじゃあ、行くか? フィーナ、ノエル、忘れ物はないよな?」
「ないわよ。ジークがこれを担げば終わりよ」
ジークは別に悪い事をしているわけでもないのだが、何となく気不味そうな表情をして、荷物の状況を聞く。フィーナはジト目でジークを睨みつけたまま、片付け終わった荷物を指差す。
「……フィーナ、俺の荷物にお前の荷物が混じっている気がするのは気のせいか?」
「気のせいよ」
フィーナの指差した先には昨日、ジークが持ってきた荷物の他にフィーナの荷物が混じっており、ジークは眉間にしわを寄せた。しかし、フィーナはジークとノエルが仲良くしているのが気に入らないため、嫌がらせをしたいようで気のせいだと言い切った。
「気のせいなわけあるか!!」
「ノエル、行くわよ」
「ふぇっ!?」
ジークは額に青筋を浮かべて声を上げる。フィーナはジークの怒りなど気にする事なく、そばにいたノエルの手をつかむと一気に駆け出して行き、その場にはジークと大量の荷物だけが残される。
「フィ、フィーナさん、あ、あの。流石にあの荷物をジークさん、1人で運ぶのは」
「良いのよ」
ノエルはフィーナに引っ張られるなかでジークの事を心配するが、フィーナは気にする必要はないと言い切り、さらに彼との距離を広げて行く。
「……どうするんだよ。これ?」
ジークは2人に距離を引き離されてしまった事に大きく肩を落とす。荷物を置いて行くわけにもいかないため、山積みになっている荷物を担いだ。
すでにノエルとフィーナとはかなりの距離が開いており、ジークは荷物の重さにげんなりとしながらもゆっくりとした足取りで2人を追いかけて行く。
「ジーク、遅いわよ」
「フィ、フィーナさん、やっぱり、戻りましょう。ジークさんはあまり寝てないんですから」
フィーナはジークが荷物の重さにゆっくりとしか歩けないジークを見て、楽しそうに笑う。対象的にノエルはジークの体調を心配してフィーナの手を振り払うとジークを手伝うために歩いてきた道を逆走する。
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