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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
788/953

第788話

「武器の影響はあるだろうな」


「武器?」


「言いたくはないけど、リアーナが持っている剣よりはフィーナの剣の方が良い物だ」


話を聞いていたようでバーニアはフィーナが巨大蛇を倒せたのは剣の性能の差だと言う。

その言葉はフィーナが持つ剣より、良い物を鍛える事の出来ていない自分の実力不足を認めている発言であり、それを聞いたジークとリアーナはなんと言葉をかけて良いのかわからずに視線を泳がす。


「別におかしな気を使う必要はないぞ。自分が未熟だってのは誰よりも自分が理解しているからな。俺はフィーナほど楽観的にはなれない」


「……フィーナは単純(バカ)だからな」


「そうだな」


バーニアは特に気にはしていないと苦笑いを浮かべる。

それはある種、バーニアの向上心とも聞こえ、ジークとアノスは無根拠な自信でなんとなく正念場を潜り抜けてしまうフィーナに納得が行かないと言いたげに大きく肩を落とした。


「アノスも言っていたけど、フィーナの持っている剣って、そんなに良い物なのか? 魔力があるって事は良い物だってのはわかるけど」


「魔力が宿っている武器は貴重だから、作ってみたいけど特殊鉱石とか魔法石を加工しないと行けないし、そう言う物はなかなか手に入らないからな。実際、使って見た事もないし」


「特殊な鉱石? 魔法石? ……火竜の瞳とか?」


ジークは改めて、フィーナの剣の事を専門家であるバーニアに聞こうとする。

バーニアは武器の材料から特殊だと言い、自分では加工した事が無いようでいつか手にしてみたいと笑うとジークは想像がつかないようで首を傾げた。


「火竜の瞳も加工すればどうにかできるだろうけど、相当な量が必要だからな……仕入れ値でどれだけかかる事やら」


「そう言う物なんだな」


「ジークも何か見つけたら譲ってくれ」


バーニアは鉱石を集めるだけでも破産しそうだと言いたいようで大きく肩を落とす。

ジークはなんと言って良いのかわからないようで頭をかいていると自分より、ジークの方が特殊な鉱石を手に入れる機会があると考えたようでバーニアは頭を下げる。


「それは良いけど……ちゃんと買ってくれるんだよな? 俺は鉱石の売値に詳しくないから底値で買いたたかれそうな気がするんだよな」


「……そんな事はしない」


「それなら、目をそらすな」


ジークは機会があればと頷くものの、商人としてバーニアを信用しきっていないようで疑いの視線を向けた。

バーニアは視線をそらし、ジークは大きく肩を落とす。


「ジークさん、あの……」


「どかしたか?」


「魔力のこもっている物って、ああ言うのじゃダメなんですか?」


話を聞いていたノエルは遠慮がちに手を上げ、視線が彼女に集まる。

ノエルは視線が集まった事に少し怯えた様子で自分の杖の先に付いている自分の魔力を結晶化させた物を指差す。


「……使えるのか?」


「ジークさんの魔導銃もルッケルの奥で見つけた氷を結晶化させた物ですよね? それにわたしの杖は魔法の補助をしてくれていますよね?」


「確かにそうよね? でも、そんな物がたくさん出てきたら値が下がって大変なんじゃないの?」


ジークはノエルの杖を眺めながら首を捻る。

ノエルは自信がないようで声を小さくして言い、フィーナは魔力を結晶化させた物が武器や防具に使えるならいくらでも魔力のこもった武器ができるのではないかと言う。


「……その魔力を結晶化した物を独占すれば大儲け」


「悪い顔していますよ」


「……そんな事はない」


バーニアは商品価値を見出しているようで口元を緩ませており、リアーナは大きく肩を落とす。

その言葉でバーニアは若干、気まずそうに視線をそらしてしまう。


「使えたとしても、持っている人が貸しくれるかわからないよな。それにこれを結晶化するのにも相当な魔力が必要だろ」


「そうよね。ノエルの杖に付けているのも精霊に力を貸して貰ったからできたんだし……欲に目がくらんだ状態で頼んでも精霊達は手伝ってくれないんじゃない?」


「……お前達、目をそらすな」


ジークは現実問題で難しいのではないかと首を捻る。

フィーナは魔力を結晶化した時の事を思い出して首を捻った後、今回はその時と状況が違うと言うとジークとバーニアは確信を突かれたようで目をそらし、2人の様子にアノスは眉間にしわを寄せた。


「そ、そんな事を考えているわけないだろう」


「声が裏返っているわよ」


「そう言えば……ルッケルの時にもう1つ、毒の結晶体を作らなかったか?」


バーニアは視線をそらして言い、フィーナは呆れたようにため息を吐く。

ジークは話を変えようと思ったようで何か絞り出そうと首を捻っているとルッケルでポイズンリザードを倒した時の事を思い出す。


「そう言えば、そんな事を言っていたような? あれってどうなったの?」


「アーカスさんはそのうち何かに使うって言っていましたよね?」


「それって、手に入れられないか? ある程度なら金も出す」


ジーク、ノエル、フィーナは魔導機器で作った結晶体の行方がわからないため、首を捻る。

バーニアは興味が湧いたようで3人に言うが、価値観が金ではないアーカスとどう言った交渉をして良いかわからない3人の反応は鈍い。


「毒の結晶体ですし、最初に試して見るのは危ないんじゃないですか?」


「ジーク、確か可燃性の毒ガスって言っていたわよね?」


「そうだな。加工するのに火に入れた瞬間にボンはイヤだな」


しばらく考えた3人の答えは危険だと言う物であり、首を横に振るがバーニアは納得ができないようで何か説得できる材料を探そうと乱暴に頭をかく。


「……アーカス?」


「師匠、どうかしましたか?」


「そのアーカスと言うのはアーカス=フィルティナと言う興味の対象が性格の悪い罠作りが趣味なハーフエルフか?」


バーニアが頭を抱えているなか、カインの話を興味なさそうに聞いていたフィリムがアーカスの名前に反応を示す。

カインは突然の事に首を捻るが、フィリムはジーク達にアーカスの事を聞く。

その言葉は自分の記憶にある人物とアーカスが同一人物か確認のようであり、フィリムの様子にジーク、カイン、セスの3人は何かあるのかと思ったようで首を捻る。


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