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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
784/953

第784話

「それで、キッチンをジークが占拠しているのね」


「そうだね……」


「どうかしましたか?」


日も暮れてきてフィーナとリアーナが屋敷に戻ってくると2人はキッチンにいるジークに疑問を持つ。

カインからの状況説明により、フィーナは納得したようだがカインは中庭の様子に眉間にしわを寄せており、リアーナは首を傾げる。


「……昨日もセスに怒られたんだけど、今日もかな?」


「大量ですね」


「とりあえず、使える部分は貰って良いんだよな?」


中庭には巨大蛇討伐の戦果が山積みになっており、昨晩と同様に血だらけになっている。

カインはセスからのお説教が確定した事に大きく肩を落とし、レインは苦笑いを浮かべ、バーニアは中庭に移動して巨大蛇の解体を始め出す。


「ジークに聞いたんだけど、森の中でバーニアに解体方法を教わったんじゃないの?」


「教わりはしましたけど、簡単にできませんでした。血抜きくらいはできたと思いますけど」


「それなら、血はそんなに出ないと思うから良しとしておこう」


バーニアが解体を始めたのを見て、カインは首を捻るとリアーナは申し訳なさそうに目を伏せる。

昨晩より、巨大蛇より血が出ないと判断したようでほっと胸をなで下ろす。


「だけど……畑を踏み荒らすなんてバカな事をしたわね」


「……ジークはキレると何をするかわかりませんからね」


「実際に下手をすれば死人が出るかも知れない罠を張っていたぞ」


フィーナは巻き込まれるのはごめんだと言いたいのか大きく肩を落とす何度か彼がキレている場に同席したレインは苦笑いを浮かべる。

アノスはジークの行動を見ていたためか、眉間に深いしわを寄せて言うとフィーナとレインはそれ以上の追及は避けたいようで視線をそらす。


「それじゃあ、バーニアの解体作業が終わったら、2人を王都に送ろうか? アノスもその時にワームに送るよ」


「はい。お願いします」


「……ああ」


カインは3人の様子に苦笑いを浮かべるとこの後の予定を話し、リアーナとバーニアは頷く。


「とりあえず、まだ時間があるわけでしょ。汗流して来よう」


「は、はい」


「……覗いたら殺すわよ」


フィーナは帰ってきてすぐにジークの話を聞いてしまったため、埃まみれの事もあり、リアーナの手を引いて居間を出て行こうとする。

リアーナは戸惑いながらも頷くとフィーナは居間に残っている男性陣を睨み付けた。


「……フィーナもおかしな威嚇をしない」


「誰が覗くか」


「とりあえず、さっさと行ってこい」


カインはフィーナの様子に大きく肩を落とすとアノスは舌打ちをするが、レインは1度、覗いてしまっているためか気まずそうに視線をそらす。

レインの様子にフィーナはレインを威嚇するように唸り始め、カインは面倒な事になる前に彼女を追い払う。


「あれ? フィーナとリアーナの声が聞こえたと思ったんだけど」


「ジーク、終わったのかい?」


「できる事は、ただ、材料が足りないから買ってこないとダメなものもあるんだよ」


2人が居間から出て行ったのと入れ違いでジークが3人分の紅茶を持ってキッチンから顔を出す。

カインはジークの作業が終わったと思ったようで首を捻るとジークはソファーに腰を下ろして紅茶を飲む。

ジークが一息つく様子に先ほどキッチンを追い出されたミレットは薬草の行く末が気になったようでキッチンに移動して行く。


「……ミレットさんはあのままで良いんですか?」


「問題ないと思うけど……面倒だよな」


「ジークが問題ないって言うなら良いけど、買ってこないといけない物があるって言っていたけど」


ミレットの様子にレインは苦笑いを浮かべるとジークはある程度の作業を終えているため、問題ないと苦笑いを浮かべた。

カインはジークに釣られるように笑った後、ジークに今後の予定を聞く。


「後でテッド先生に貰ってくる」


「それなら、この後はヒマって事だね」


「ヒマじゃないけどな」


ジークはテッドから分けて貰う事を話すとカインはそれをヒマだと判断したようで口元を緩ませる。

カインの言葉にジークは何かを言っても仕方ないと思ったのか大きく肩を落とす。


「それで俺に何をさせるつもりなんだ?」


「いや、別におかしな事をするつもりはないよ。ジークも言っていただろ。巨大蛇の事で師匠に話を聞きたいって、ただ、師匠を探すのは少し厄介だからね。ジークにも協力して貰おうと思っただけだよ」


「それは別にかまわないけど……」


カインが何を企んでいるかわからないため、ジークはジト目でカインを見る。

疑われるのは心外だと言いたいようでわざとらしいくらいに大袈裟に肩を落とすと話しの内容では特に反対する事もないため、ジークは頷いた。


「それで、俺はどこに行けば良いんだ?」


「そうだね。今だと魔術学園かルッケルにいると思うから、ジークにはルッケルに行って貰おうかな? ジークが王都に行くと……面倒だから」


「……そうだな。俺は2人に巻き込まれたくない」


諦めると同時にジークはカインの考えを聞くとカインはフィリムの居そうな場所を予想する。

カインもジークがエルトやライオに見つかるのは勘弁したいようで大きく肩を落とし、ジークはポリポリと首筋を指でかく。


「だけど、ルッケルに行くのは俺だけか? 流石に鉱山の奥に1人で行く流石にしんどいぞ」


「それもそうだね。フィーナは行きたがらないだろうし、ノエルは確実に足手まといになるだろ……それなら、ジークはワームに行ってコッシュに頼もうか? コッシュなら鉱山の中に移動できるだろうし」


「コッシュさんか? そうだな。そうするか。アノスも送らないといけないからな」


ジークはフィリムがルッケルの鉱山内にいる可能性が高いため、1人で鉱山の奥に行くのは大変だとため息を吐く。

彼の言い分は正しく、カインは大きく頷くと代案をだし、ジークも特に反対する事が見つからないため、頷いた。


「あの、ジークがあまりワームをうろつくのは避けた方が良いのではないでしょうか?」


「そうだな。お前は狙われていると言う自覚を持て」


「そんなに気にしないといけないか?」


ジークとカインの話はギムレットに狙われているジークには危険なものであり、レインとアノスは険しい表情をする。

しかし、ジークは危機感は薄いようで首を捻っており、彼の様子に2人は大きく肩を落とす。


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