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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
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第781話

「確かに師匠に聞くのはありかな?」


ジーク達が屋敷に戻った後、何とか書類の山を片付けたカインは追加がある前にとすぐに3人を連れてジオスに移動する。

ジークは店の被害状況を見回しながら、カインに巨大蛇の事をフィリムに相談してみてはどうだと話す。

その意見にはカインも反対する事もないようで頷くもの、カインは何か考えがあるのか、店の棚の何カ所かに何かを置いて行く。


「……何をしているんだ?」


「ジークの店が襲われる可能性がないわけじゃないからね。人任せにしているわけにもいかないしね」


「ここに使うつもりだったのか? 俺はフォルムの屋敷に置くものだと思ったんだけどな」


アノスはカインの様子にまた何か良からぬ事を考えていると思ったようで眉間にしわを寄せるとカインは店の警備の問題だと笑う。

カインが店に置いているのはバーニアから購入していた物のようであり、バーニアは意外そうにつぶやいた。


「ここより、フォルムの方が良いんじゃないか? お前は敵が多いんだから」


「それに関して言えば否定のしようがないね。だけど、優先度が高いのはこっちだよ。罠を仕掛けておいて引っかかれば儲けものだしね」


「フォルムの方が危ないんじゃないのか? ノエルとミレットは危険じゃないのか?」


ジークはカインが魔法的な何かを仕掛けると思ったようであり、フォルムの方が良いのではないかと首を捻る。

カインは敵が多い事を否定する気はないようで苦笑いを浮かべるも、何か考えがあるようでここで問題ないと答えるがバーニアは戦う能力の無いミレットや運動神経に難がありすぎるノエルに何かあってはいけないと思ったようで首を捻った。


「ミレットはなんとなくだけどへまはしないだろうし、ノエルは……鈍いけど、ジークがどうにかするだろうし」


「……そうだな。1番危険そうなのはノエルだな」


バーニアの言葉でノエルの運動神経の無さを思いだしたジークとカインの眉間にはくっきりとしたしわが寄るが、誰もフォローできないようで店の中には微妙な沈黙が広がって行く。


「騒がしいと思ってきて見たら、男だけかよ?」


「シルドさん、迷惑かけたみたいですね。すいません」


「まぁ、ジークに恩を売っておくと後で返ってくるからな」


その沈黙を破るように店のドアが開き、シルドが顔を覗かせる。

後片付けはシルドが中心になってくれていたとカインとミレットから聞いていたため、ジークは頭を下げるとシルドは照れ隠しなのか苦笑いを浮かべた。


「それで、何か被害があったのか?」


「いや、これと言って何も、おかしなものを仕掛けてあるって感じもなさそうだし……まぁ、魔法的な物が有ってもわからないけど」


「そこら辺はこれからだね。朝は人が多すぎて確認するヒマがなかったからね。本当なら魔力の残り香が無くなる前にやりたかったんだけどね」


シルドは店に被害がなかったかと確認するとジークはこれと言ったものはなかったと感じたようで苦笑いを浮かべるが魔法的な事はわからないため、カインへと視線を向ける。

カインは朝のうちに魔法の確認をしたかったと本音を漏らすが、人目の多い時には魔法を使いたくなかったようで苦笑いを浮かべた。


「……とりあえず、難しい事を言っているんだよな?」


「だろうな」


「そこまで難しくはないけど、それなりに特殊な魔法なんでね。あまり見られたくないんだよね」


ジークとアノスは魔法に見識がないため、カインが何を言いたいのかわからずにひそひそ声で話し始める。

2人の様子にカインは困ったように頭をかく。


「……なんでだ?」


「使う人間が増えるのは優位性が無くなるから、だいたい、特殊な魔法の多くは使う人間が少ないからなんだよ。確かに魔力調整が難しいとか技術的な面も確かにあるけどね。ほとんどは優先度が低いって術者が考えるのが原因。いろいろと使える魔法もあるのにね」


「転移魔法もそんな感じだって言っていたよな?」


ジークはいろいろな魔法を使えると見せた方が優秀な魔術師として周囲に知れ渡らせる事ができると思ったようで首を捻った。

しかし、カインはジークとは異なる考えを持っており、首を横に振るとジークはカインが以前に言っていた事を思いだしたようである。


「そうだね。あれだってそんなに難しい魔法ではないよ。転移場所に登録して使うまでは時間がかかるんだけどね。その過程を面倒だと思う人間が多いから俺みたいな特殊な人間が優位性を出す事ができるんだよ」


「確かに魔術学園には使える人間もそれなりに居るんだよな?」


「研究職が多いから、王都以外に移動できる人間は少ないけど居る事はいるね。ただ、ライオ様には教えないようにと暗黙の了解があるだけだよ。後は術者が必要だと思うかは別問題」


カインは改めて、転移魔法の事を話すとジークは魔術学園には使用できる人間も多い事を思い出す。

彼の言葉にカインはライオには秘密だと言うとジークとアノスはライオが転移魔法を使えるようになるのは危険だと容易に想像がつくため、眉間に深いしわを寄せて頷いた。


「……お前達の周りには何がいるんだ?」


「色々と面倒な人間がいるんだよ。それより、カイン、その魔法って言うのは時間がかかるのか? 時間がかかるなら、裏も見てきたいんだけど」


「畑なら見てこない方が良いぞ」


シルドはジーク達の反応に呆れたようなため息を吐くとジークはエルトやライオが王位継承者だとばらすのも問題があると思ったようで視線をそらす。

その様子にシルドは追及を止めようと思ったようで苦笑いを浮かべるとジークは店の裏がどうなっているか気になったようで店を出て行こうとする。

そんな彼の肩をシルドはつかむと言い難そうに首を横に振った。


「……何かあったのか?」


「いや、襲撃したやつらの足跡とか……踏み荒らされているんだよ」


「本当かよ? せっかく、育てたのに……それでも使えそうな物がないか見てくる。捨てるのはもったいないからな」


昨晩の襲撃者達は畑など気にする事無く、踏み荒らしたようでシルドは大きく肩を落とす。

ジークは襲撃があったため、どこか仕方ないと思っているものの納得はいかないようで大きく肩を落とすと諦めきれないようで店を出て行く。


「おい。1人で行くな」


「アノス、ジークの事を任せるね」


「なんだかんだ。言いながら上手くまとまっているな」


アノスは狙われているのにも関わらず、1人で出歩こうとするジークを見て後を追いかける。

その背中にカインは無責任にアノスを見送り、バーニアは楽しそうに口元を緩ませた。


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