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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
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第779話

「……これが必要なんだよな」


「何よ?」


オクスの学ぼうとする様子にジークはフィーナとの違いを感じてため息を吐いた。

フィーナはジークにバカにされている気がしたようですぐにジークを睨み付ける。


「フィーナもアノスも一緒に教えて貰わないか?」


「……」


「王都周辺にも種類は多少違うけどこのサイズの蛇は出るからな。覚えておけば討伐の任務が出た時にポイント高いぞ」


バーニアは断れる空気でもなかったため、頷くとすでにリアーナはオクスとともに巨大蛇の解体方法を学ぶ気のようであり、オクスは巨大蛇と対峙する可能性の高いフィーナとアノスにも声をかける。

アノスは頷くもののあまり教わる意味を感じていないようで乗り気には見えない。

ジークは彼の考えが理解できたようで近づき、耳打ちするとアノスの表情には迷いが現れ、彼の表情を見てオクスはニヤニヤと笑う。


「べ、別におかしな事を考えているわけではありません」


「気にする必要はないだろう。それに効率良く倒す事ができれば安全も早く確保できるからな。獣の相手をする時に種族により戦い方を覚えるのは重要な事だと思うぞ」


「……わかりました」


オクスに考えを読まれた事にアノスは首を大きく横に振る。

オクスは1つ咳をした後、アノスに騎士として学ぶべき事だと言うとアノスは表情を引き締めて頷いた。


「フィーナさんもバーニアさんに教わりませんか?」


「必要性を感じないのよね」


「……お前、今のオクスさんの話、聞いていたか?」


リアーナは乗り気ではないフィーナを説得しようとするが、フィーナは頭を使う事が嫌いなため、首を横に振る。

ジークはアノスがオクスに説得されている姿を見ていなかったのかとため息を吐く。


「うっさいわね。それに教われって言ったって蛇もいないのにどうやって教われって言うのよ?」


「そう言われれば、わかりにくいよな」


「その事なんだけどジーク、悪いんだけど」


フィーナはジークにバカにされている事に腹を立てているのか威嚇するように教わる方法がないと言う。

彼女の言葉にジークは頷く事もあったため、首を傾げているとバーニアがジークを呼ぶ。


「何だ? この辺で何か探しておけって事か?」


「イヤ。蛇を呼び寄せるのに囮になってくれるか?」


「囮? バカな事を言うなよ」


ジークは1人手が空いているためか、拠点の周辺で薬草採取などをして来いと言われると思ったようで首を傾げるが、バーニアの口から出たのは予想していた物とは全く違う物である。

その言葉にジークは眉間にしわを寄せるが、バーニアは本気のようで笑顔でジークの肩を叩く。


「この中で動きの速さや回避能力を考えるとお前が適任者だろ?」


「認めたくないけど、それには納得が行く。けどな。囮で巨大蛇が来るならここで拠点を張っている意味がないだろ?」


「まったくです。何を言っているんですか?」


バーニアは巨大蛇に遭遇した時にジークが1番、攻撃を避ける事ができると言うとジークは頷きかけるがそれがすぐに囮になれるとは直結できないため、首を横に振った。

バーニア発言は今回の巨大蛇探索を任されているシーマにも聞き捨てならない言葉であり、険しい表情で聞き返す。


「ジーク、前に巨大蛇狩りを手伝わせた時の事は覚えているよな」


「それはまあ」


「あの時はすぐに川に行って巨大蛇の血を洗い流したよな」


バーニアは2人の疑問に答える気のようで小さく口元を緩ませて、ジークに初めて巨大蛇と対峙した時の事を聞く。

ジークは質問の意味がわからずに首を傾げながら頷くもバーニアが何を言いたいのか警戒するように答える。


「血は他の獣を呼ぶ危険性があるからな。早めに流したいんだけど」


「そうだな。だけど、俺は別に今日はバーニアが解体したから特に俺は血で汚れてはいないぞ」


「俺もそれなりに解体の数をこなしているから、そんなに血で汚れてはいないな」


ジークもバーニアも今回は巨大蛇の血ではあまり汚れておらず、ジークはバーニアが何を考えているのかわからずに首を捻っているなか、バーニアは革袋を取り出してジークの背後に回った。

バーニアはジークの頭から革袋の中味のかけるとジークは頭から真っ赤に染まって行く。


「何をするんだよ? これって、血か?」


「蛇の血って精力を増強させたりするから、売れると思って取ってみたんだけど、これでジークが囮になるな」


「……」


ジークは頭からかけられた液体がすぐに巨大蛇の血だと理解するとバーニアを睨み付ける。

バーニアはすぐにジークから距離を取ると囮が完成したと笑い、ジークは納得できるわけもなく、眉間に深いしわを寄せた。


「とりあえず、これで顔を拭いてください。動いている時に血が目に入ると危ないですから」


「すいません」


「それじゃあ、ジーク、その辺をうろついてきてくれるか?」


リアーナはジークの髪からぽたぽたと落ちる巨大蛇の血を見て、何かあっては困るとタオルを渡す。

ジークは受け取ると顔を拭いているなか、バーニアは笑顔でジークに拠点の側を歩き回れて言う。


「……お前、めちゃくちゃだな」


「ほら、フォルムの人のためだと思って諦めろ」


「……納得が行かない」


流石にこのやり方は酷い物であり、アノスはジークが哀れに思ったようで大きく肩を落とす。

しかし、バーニアは気にする事はなく、ジークを拠点の外に追い払うように手を振り、ジークはしぶしぶ拠点の外に向かって歩き出す。


「あの、大丈夫なんですかね?」


「ジークだし、大丈夫じゃないの?」


「成功したら、蛇の血をいくらでも飲ませてやるから」


リアーナは1人で歩かせるのは危険ではないかと心配そうな表情をするがフィーナは特に心配する気もないようで未だにバーニアの剣が気になるのかちらちらと剣を見ている。

バーニアはジークの背中を見て成功報酬だと言いたいのか笑顔で蛇の血を飲ませてやると笑う。


「要らない。気持ち悪いし」


「何を言っているんだ? さっきも言ったけど精力増強の効果もあるんだぞ。飲めば今日の夜は盛り上がるぞ。お前だって薬屋なんだ。効果は聞いた事があるだろ」


「……変な事を言うな」


ジークはため息交じりで断るが、バーニアは楽しそうに笑っており、ジークは相手をするのが嫌になったようでそそくさと拠点の外に出て行く。


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