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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
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第774話

「……なんで、人が増えるのよ?」


「俺に聞くな」


「それなら、他に誰に聞けと言うのですか?」


ジーク達を見つけたフィーナが眉間にしわを寄せるとジークは故意ではないため、首を横に振る。

シーマは呆れたようにため息を吐いた後、ジークを睨み付けるとジークは悪くないと言いたいのかそばにいる兵士達に声をかけて世間話を始め出す。


「……逃げたわね」


「まったく」


「あ、あの、申し訳ありません。無理を言ったのは私です。リアーナと言います。お手伝いをさせて欲しいのですが、大丈夫でしょうか?」


ジークの背中にフィーナとシーマはため息を吐くとリアーナは気まずそうに手を上げ、ここまでくるに至った経緯を説明する。


「……まぁ、仕方ないわね、人手はあった方が良いのは確かなのよね。それにリアーナは前にジークとノエルから聞いたけど守り主体の戦い方をするって聞いてるし」


「言いたくありませんが、前のめりの人間が多すぎますから助かります」


「そう言っていただけると助かります」


あまりに残念なリアーナの休日に2人は同情したようだが、リアーナは気が付いていないのかほっと胸をなで下ろす。


「……同情されている事に気が付かないのか?」


「まぁ、実直って感じだしな。ザガードにいた時も休日は訓練に時間を割いていたんだろ」


「それなら今日も訓練にあてれば良かっただけだろ


リアーナの様子にアノスは眉間にしわを寄せた。

バーニアはその疑問に苦笑いを浮かべるとリアーナがザガードにいた時の姿を予想するとアノスはため息を吐く。


「訓練も良いが張りつめていると時に挫折をしてしまうと立ち上がれなくなる場合があるからな。指示を出した者が気分転換をして貰おうと思ったんだろ」


「……今、リアーナが仕えているのは息抜きが得意な人間だからな」


「その前にエルト様がおかしな事をしなければ、リアーナの疲労もだいぶ減るんじゃないのか?」


オクスは少し話しただけだが、リアーナの性格を理解したようで主君の優しさだと笑う。

リアーナに働き過ぎと言ったであろうエルトが真面目に公務を行っていれば、彼に仕える者達の苦労が減る事を知っているジークとフィーナは眉間にしわを寄せる。


「……とりあえず、息抜きになっていれば良いか」


「そうね」


「それで、巨大蛇はどうなっているんだ? ……妙に殺気だっている気がするが」


エルトには苦労をかけさせられているジークとフィーナはリアーナに好意的な態度を示す。

アノスはもうリアーナにかかわっていられないと言いたいのかため息を吐くと先に森に来ていた領民達の様子がおかしいと思ったようで首を捻る。


「なんか、さっき、話を聞いたら……昨日の蛇肉が気に入ったみたいだぞ」


「……中毒性があるんじゃないだろうな」


「ないと思うけど、実際、俺達は何ともないだろ」


ジークは先ほど領民達と世間話をした中で領民達のやる気の原因を聞き出しており、苦笑いを浮かべた。

アノスは話を聞いた上でも理解できないようで眉間に深いしわを寄せるとジークは気にせずに森の中の様子をうかがう。


「ジーク、ここの目的は蛇を探す事なんだよな?」


「そうだけど、何かあったか?」


「ちょっと、森の中を探索しないか? 使える薬草とかもあるだろうし、俺も何かに使えそうな物がないか探して見たい」


そんななか、バーニアは森の中で使えそうな物を探しに行きたいようでジークに声をかける。

ジークも森の中には何度かきているが、時間をかけて調べた事もないようでバーニアの提案に乗るべきか考え込む。


「……ジーク、あんた、おかしな事を考えていない?」


「いや、俺は元々、こっちに協力する予定じゃなかったし、それに薬の材料を探すのは悪い事じゃないだろ?」


「でも、この辺の薬草関係ってテッド先生が知っているでしょ。今更、あんたが何を探すのよ? バカな事を言ってないで手伝いなさいよ」


ジークの様子にフィーナはため息を吐く。

見た事のない薬草類はジークの興味をそそったようであり、バーニアの提案に乗る事を決めたようで口元を緩ませる。

フィーナはジークの能力の高さを知っているため、ジークに手伝いをさせようと思っているようで必要などないとジークの腕をつかむ。


「いや、ばあちゃんが使っていた薬草類をテッド先生が知らない可能性も高いし、それに前に王都で見た本の薬草が人知れずに生えている可能性だってないわけじゃない……それじゃあ、バーニア、行くか? シーマさん、アノスとリアーナの事、よろしくお願いしますね」


「よし、行くか。使えそうな物が有れば良いんだけどな」


「待ちなさい。あなたにもやって貰いたい事があります!! ここに来たんですから、私の指示に従いなさい!!」


しかし、ジークはフィーナの腕をすり抜けるとバーニアの肩を叩き、アノスとリアーナをシーマに押し付ける。

シーマは押し付けられても困ると言いたいのか声を上げるが、ジークとバーニアは気にする事無く、森の奥に進んで行く。


「……あいつは自分の店の事を忘れているわけじゃないだろうな? カイン=クロークはあの書類を昼までに終わらせると言っていたんだぞ」


「忘れている可能性があるわね……シーマさん、そういう事で任せるわ」


「そう言う事と言うのはどう言う事ですか!? どうして、あなた達は指示を聞こうとしないのですか!!」


アノスはジークに付き合う気はないようだがジオスの店の事は気になるようで眉間に深いしわを寄せる。

フィーナは大きなため息を吐くが、シーマの指示で巨大蛇の探索をしているよりはジークについて行った方が楽だと考えたようで逃げるように駆け出して行く。

シーマはカインやセスからこの場所を任せられているため、指示通りに動かない2人の事に腹が立ったようで声を上げる。


「……エルト様の事を言えないんじゃないのか?」


「そうですね」


それでもジークとフィーナが戻ってくる事はなく、アノスは大きく肩を落とす。

リアーナは苦笑いを浮かべる事しかできないようであり、アノスから視線をそらした。


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