第75話
「ジーク、交替よ」
「あぁ」
ジークが眠りについてしばらくするとフィーナが交代時間だとジークの身体を揺すり、ジークはまだ寝足りないようで欠伸をする。
「ジークさん、大丈夫ですか? まだ、眠いなら、わたしが起きてますけど」
「いや、大丈夫だよ。それにノエルが寝てないと明日が大変そうだから」
「そうよね」
ノエルはジークが欠伸をしている姿にノエルが見張りを買って出るが、ジークは使っていた寝袋をまとめながら彼女の提案をやんわりと断り、フィーナは苦笑いを浮かべた。
「でも、フィーナさんから聞きましたけど、ここから朝まで起きてて、それから出発だと体力が」
「いや、それでも、ノエルより体力があるから、それに鉱山の宿場町で1泊する予定だから、明日はゆっくり寝れるから気にしないでくれ」
ジークが1人で見張りを行うには時間が長いようでノエルは心配そうな表情をするが、ジークは苦笑いを浮かべるとテントを出て行く。
「ノエル、これ、ノエルの分の寝袋ね。使い方ってわかる?」
「フィーナさん、ジークさんは大丈夫なんですか?」
「大丈夫じゃない? あいつは1人で薬の材料集めとかしてるでしょ。だから、徹夜とかもなれてるしね」
フィーナはジークの荷物から彼が用意していたノエルの分の寝袋を引っ張り出して彼女に渡す。ノエルは寝袋を受け取るが彼女は自分が休むことより、ジークの事を心配しているがフィーナは気にする事なく、自分の荷物から寝袋を引っ張り出し、テントに広げる。
「そうなんですか?」
「大丈夫よ。それより、ノエルはゆっくり休む。正直、ジークの体力より、ノエルの体力の方が私もジークも心配なのよ。明日の朝に歩きまわったから筋肉痛になってるとか止めてよ」
ノエルはフィーナが寝袋を広げる姿を観察し、彼女を真似して寝袋を広げながらもまだ割り切れていないようであり、フィーナはノエルの性格を考えて言葉を濁すより、はっきりと伝えた方が良いと判断し、ノエルにゆっくりと休むように言う。
「筋肉痛?」
「この間、遺跡に行った後は大変だったわよね?」
ノエルはフィーナの一言に顔を引きつらせるとフィーナは追撃に走るとノエルは小さくなって行く。
「ノエルが頑張り屋さんの事は充分にわかったわ。だけど、そのせいで、他の人間に迷惑をかけたら、ダメよ。まぁ、私が言える立場じゃないかな?」
「そ、そんな事はないです。わたしはフィーナさんに大変にお世話になっています」
フィーナはノエルに言い聞かせようとした言葉が自分にも当てはまると気が付いたようで、寝袋の中に顔を隠すとノエルは彼女を擁護するように声を上げた。
「それなら、良いのよ。と言う事でしっかり休む事がノエルの役割よ。ゆっくり休む。良いわね?」
「はい。わかりました」
フィーナはノエルの言葉に気恥ずかしくなったようで、口早に彼女に向かい休むように言い、ノエルはフィーナの勢いに押されたのか頷くと寝袋の中に入る。
「フィーナさん、おやすみなさい」
「うん。お休み。ノエル」
2人は就寝の挨拶をすると2人は目を閉じ、眠りに付く。