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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
741/953

第741話

「……ちっ」


「叩き斬れるんじゃなかったのか?」


「黙れ」


アノスは巨大蛇の腹に剣を振り下ろすが巨大蛇の身体には傷がつく事はなく、剣は弾き返される。

ジークは先ほどまでの威勢に小さくため息を吐くとアノスはすぐにジークを睨み付けるも巨大蛇の毒液が飛んできたため、後方に飛び毒液を交わす。


「それより、こいつを倒す算段はついたのか?」


「そこはシーマさん待ち?」


「結局、何も決まっていないと言う事か? 早くしないと次から次と湧いてくるんじゃないのか?」


剣では巨大蛇の身体を引き裂く事もできないため、決まった事を話せと怒鳴りつけた。

しかし、アノス達に巨大蛇の相手を任せていただけで結局は何も決まっておらず、ジークは苦笑いを浮かべるとアノスは役立たずと言いたげに舌打ちをする。


「そうだな。少なくとも後2匹はいるわけだし、時間はかけていられないよな……カインが何をやりたいのか本当にわからない」


「……あの性悪領主、いつの間に現れたんだ?」


「説明は面倒だからパス」


ジークはカインがシーマに作戦を立てさせる理由がわからないためか、大きく肩を落とす。

その言葉でアノスはカインがこの場に来ている事に気づき、眉間にしわを寄せてジークに説明を求めるがジークは拒否すると巨大蛇に向かい冷気の魔導銃を放つ。

冷気の弾丸は巨大蛇を撃ち抜くが鱗の表面だけしか凍らせる事しかできず、巨大蛇は鱗を氷つかせたまま動き回っている。


「効果がないか?」


「……おい。前に巨大蛇と戦ったんじゃないのか? その時はどうしたんだ?」


「その時は剣の耐久力を魔法で上げて折れないようにして力づくで……まぁ、新米騎士とザガードで経験豊富なリアーナさんだとリアーナさんの方が上か」


冷気の魔導銃では牽制にもならないと判断したようでジークは冷気の魔導銃を腰のホルダに戻す。

アノスはジークが巨大蛇と戦った事があると思い出し、その時にはどのように戦ったかと聞く。

剣に補助魔法をかけた事を思い出し、剣の腕前はリアーナの方が上だと思ったようでジークは小さくため息を吐くとアノスはバカにされたと思ったようで鋭い視線でジークを睨む。


「……貴様、俺をバカにしているな」


「そう言うわけじゃないけど、あの時は剣に補助魔法をかけたんだ……その後、巨大蛇を解体したな」


「解体? ……その方法は使えないのか?」


ジークは笑いながら誤魔化すと巨大蛇を解体した事を思い出す。

その言葉にアノスは巨大蛇を倒すのに使えないかと聞く。


「……解体? いや、できなくはないけど、動きを止めないと難しいぞ」


「動きを止めるだけなら、得意なヤツがいるだろ」


「確かに……だけど、あいつはシーマさんに何かさせたいみたいだぞ」


ジークは解体方法を思い出したようだが、さすがに動き回る巨大蛇を生きたまま解体する事はできないようで無理だと首を振る。

アノスはカインの得意魔法を思い出したようであり、巨大蛇を引き付けているカインを見て言う。

その言葉でジークは納得しかけるが、カインが作戦指揮をシーマに丸投げした事もあり、自分達の提案に頷くとは思えないようで眉間にしわを寄せた。


「おい。遊んでいる時間はないんだ。さっさと巨大蛇の動きを止めろ!!」


「魔法を唱える時間がないんだよね。困ったよ」


「貴様、嘘を吐くな!!」


アノスはカインの力が必要なため、大声を上げてカインを呼ぶ。

その声にカインは無理と言うが彼の様子はひょうひょうとしており、誰の目から見ても彼が嘘を吐いている事がわかる。


「……実際、カイン1人で巨大蛇を撲殺しそうだからな」


「斬れないなら、撲殺か? 確かに頭蓋を砕けば殺せるか?」


「撲殺するにしてもその剣だと折れるだろ」


ジークは杖でフィーナを殴り飛ばしているカインの姿を思い出したようで眉間にしわを寄せた。

その言葉でアノスは巨大蛇を倒す方法を考え付いたようだが、その方法はあまり良い考えではなく、ジークは小さくため息を吐く。


「それなら、貴様が具体的な策を出せ」


「出せと言われてもカインはシーマさんにどうにかして欲しいみたいだしな」


「だからと言っても、このままでは何もできん。何より、この場にあのバカ女がいないんだ。遅くなると何を言われるかわからん」


ジークは特に良い作戦が浮かばないためか、あくまでシーマの作戦を待つと答える。

アノスは作戦が決まらないで無駄な時間を過ごすと屋敷に戻っているフィーナにバカにされるのではないかと言う。


「……それは我慢できないな」


「そうだろ」


「2人ともおかしな事でやる気にならないでくれないかな?」


フィーナにバカにされるのだけはジークにも我慢できない事であり、ジークは表情を引き締めると冷気の魔導銃をもう1度、手に取って出力を上げた。

ジークとアノスのやる気は上がり始め、カインは2人の様子にため息を吐くが2人とも止まる気はなく、その様子を見てカインは後方に飛ぶと魔法の詠唱に移る。


「ノエル、シーマさん、他の2匹の倒し方は2人で考えて貰うからね」


「な、何をするつもりです?」


「もう少し様子を見たかったんだけど、2人に火が点いちゃったから、この蛇は俺達で仕留めるよ」


カインの詠唱に呼応するように巨大蛇の下の地面には魔法陣が引かれて行く。

その様子にシーマは驚きの声を上げるとカインはシーマに1つの方法を提示すると笑った。

同時に巨大蛇の下の地面からは巨大な植物の根が隆起し、巨大蛇に絡みついて行く。

巨大蛇は絡まる植物の根を引きちぎろうとするが、植物の根は次から次と巨大蛇に襲い掛かる。


「それでどうすれば良いんだ?」


「ジークが冷気の魔導銃で蛇の口の中を撃ち抜く。凍った直後にアノスの剣で砕く。最大出力で放てばしばらくはあの鱗も脆くなるはずだからね」


「……やるけど、簡単に言うなよな」


植物の根を相手にしている巨大蛇を見て、アノスはカインに指示を仰ぐ。

カインからはすぐに返事があるがタイミングは難しく、ジークはため息を吐くが2人ともやる気になっているため、反対する事はない。


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