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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
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第738話

「……あくまで撃退して識別が付くようになったのが3匹だと言う事だ。それ以上にいる可能性だってある」


「わかっているよ。だけど、今回も巨大蛇かよ。本当に生き物を巨大化させるおかしなものがあるかもな」


シーマは自分の考えを振り払うように巨大蛇が3匹だけとは限らないと言う。

彼女の指摘にジークは苦笑いを浮かべるとミミズやモグラと言った巨大化した生物と何度も戦っているためか何かあるのではないかと首を捻る。


「ルッケルでの件とはこの件は別。巨大蛇はフォルム周辺に生息している蛇よ。何年か周期にフォルムに現れるわ。森の開拓をしていたせいで住処を追われて顔を出した可能性もあるわ」


「そうなのか?」


「……知らないで森を開拓していたの?」


シーマはルッケルの件を調べていたようで、今回の件とは違うと首を横に振った。

巨大蛇はフォルム周辺に生息している物であり、ジークはその事を知らなかったため、首を捻ると彼女からは冷ややかな視線を向けられる。


「俺やノエルは森に入るのは薬草を採りに来るくらいだからな。開拓や調査はフィーナやレイン、オクスさんの仕事だから」


「そういう事にしておくわ」


「……見つけられるのか?」


ジークは冷ややかな視線に困ったように笑うと言い訳をし、シーマは追及し言い負かす事もないと思っているようで話を切ると森の奥へと視線を移す。

彼女に釣られるようにジークは森の奥へと視線を向けると視線の先はすでに真っ暗になっており、ジークは大きく肩を落とした。


「……人族(お前達)は夜目が利かないから面倒ね」


「便利だとは思うな。薬草は夜に採れる物もあるし……ノエルは運動神経等で役に立たないから」


「……どうして、あの方の娘なのにここまでポンコツなのかわからない」


シーマは小さくため息を吐くとジークは薬屋をする上では羨ましいと笑う。

彼の言葉にシーマは想い人の娘であるノエルの残念さにはどうして良いのかわからないようで眉間にしわを寄せた。


「わ、わたし、ポンコツじゃないです!?」


「ノエルがポンコツなのは置いておいて、そろそろ巨大蛇退治に移りたいんだけど、俺達は何をしたらいいんだ?」


「一先ずは探索の方は他の者に任せても問題ないわ。私達がやるのは巨大蛇の退治。見つけ次第連絡が来るはずよ」


ノエルは自分への評価に納得が行かないと声を上げるが、ジークもシーマも気にかける事はない。

2人の様子にノエルは頬を膨らませるが、シーマは彼女を無視したまま、自分達は待機していれば良いと言う。


「待機だと?」


「……何? この闇の中で迷子になりたいの?」


「いつまでも時間をかけていられるか」


シーマの方針が聞こえたアノスは納得が行かないと思ったようで眉間にしわを寄せた。

その声にシーマは彼をバカにするように言うと2人の間には火花が散り始め、アノスは他に方法を考えろと苛立ちを隠す事無く言うと森の奥に進んで行こうとする。


「……シーマさん、止めて貰って良いですか?」


「それは魔眼これを使えと言う事? あの単細胞を使って、私がフォルムから逃げるとは思わないの? バカでも騎士の端くれなんでしょう」


「いや、シーマさん、逃げる気なら誰も傷つけないように逃げるだろうからな。アノスを使うと力づくの事が増えてくるだろうから、それにシーマさんの性格上、カインに一泡吹かせてからいなくなるだろうし」


離れて行くアノスの背中にジークはため息を吐く。

その言葉の意味をシーマはすぐに理解したようで眉間にしわを寄せると逃走の可能性を示唆するが、ジークはシーマの性格上、それはないと笑う。

自分の性格をジークに言い当てられたのか、シーマは表情をしかめた。


「アノス、ちょっと待てよ。1人で歩くと本当に迷子になるぞ。それに今回の指揮官はシーマさんだろ。それに従うのは騎士の適正もあるんじゃないか?」


「迷子になどなるか……」


「……バカはかかりやすくて良いわ」


ジークはアノスの肩をつかみ、彼を振り返らせるとアノスはジークを睨み付ける。

ジークの後ろにはシーマが立っており、彼女の瞳は怪しく光った。

アノスはシーマの瞳を直視してしまったのか、アノスの瞳からは光が失われて行き、その様子にシーマは成功したと言いながらもつまらないと言いたげである。


「これは手厳しい」


「オクスさん、もう少しアノスさんをフォローしても」


「フォローする理由が見つからないからな」


バカにされる甥の姿にオクスは小さく肩を落とす。

ノエルはジークやシーマに小バカにされている事もあり、アノスの味方をしたいようでオクスに声をかけるがジークは首を横に振る。


「短絡的に動いてしまっては自分だけではなく、仲間も危険に巻き込む事もある。俺はそれを痛いほど教えられたからな」


「……」


「それに関して言えば、相手が悪かったとしか言えないとも思うけど」


オクスは自分の過ちを反省しているようで苦笑いを浮かべるとシーマはジーク達と戦った時の事を思い出したのか忌々しそうに表情をしかめた。

ジークは2人を手玉に取ったカインの顔を思い浮かべたようであり、困ったように笑う。


「相手が悪かったのは事実だ。だが、自分達を止めてくれたのが、カインで良かったとも思っている。アノスももう少し考えてくれれば良いな。カインと関わっていれば考える事もできるだろう」


「無理じゃないか? カインの評価は高いかも知れないけど、フィーナのしつけは出来てないんだからな」


「……アノスがフィーナより、賢い事を祈ろう」


オクスは苦笑いを浮かべたまま、アノスの成長のためにはカインの助力が必要だと言うが、ジークは無理があるかもとフィーナの名前を出して伝える。

フォルムで見るフィーナの性格にオクスは急に不安になったようで眉間に深いしわを寄せた。


「とりあえず、待機ってのはわかったけど、探索している奴らは大丈夫なのか? 家畜を食っているんだからかなり大きいんだろ?」


「戦える人間も探索に加わっているから問題ない。発見した場合はこちらに誘い込むように指示を出している。それができない場合は住処の発見だ」


オクスの様子にジークは苦笑いを浮かべるとシーマに方針を聞き、シーマは巨大蛇をこの場に誘導して叩く作戦を取っている事を話す。

作戦を聞き、ジークは頷くとこの場所に巨大蛇が来た時に対処できるように周囲の警戒を強める。


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