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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
735/953

第735話

「手伝いにきました」


「セスさん、巨大蛇は見つかりましたか?」


「先に屋敷に戻っていてと言いませんでしたか?」


森の入り口に到着するとすぐにセスは見つかった。

ノエルはセスに駆け寄り、ジークとアノスは彼女から遅れて声をかけると3人の顔を見たセスはノエルの性格上、手伝いに来るのは予想できていたようで困ったように笑う。


「ノエルの性格ならこうなるのはわかっていたでしょ。ノエルも落ち込むな」


「そうですね。だから、責める気はありませんよ。ノエル、ジーク、助かります……アノス=イオリア殿、ご協力、感謝します。フォルム領主代行としてお礼を言わせていただきます」


「……ああ」


セスの表情にノエルは余計な事をしたと思ってしまったのか表情を曇らせてしまい、ジークは励ますように彼女の肩を軽く叩く。

ジークに言われてセスは表情を和らげると2人にお礼を言った後、アノスが同伴している事に気づき、深々と頭を下げる。

彼女の態度にアノスは軽く会釈すると気になるのか日が落ち始めて薄暗くなっている森へと視線を向けた。


「……ノエルからフォルムに来るとは聞いていましたが、なぜ、ここにいるのですか?」


「フィーナとケンカを始めようとしていたから、外に連れ出したんですよ。その時にノエルと会って話を聞いたんで手伝いにきました」


「そうですか……本当に大丈夫なんですかね。ルッケルで魔術学園とぶつかった時の事を考えると不安になります」


セスはアノスの噂も聞いているためか、フォルムの外れにまで足を運ぶ理由が見つからず、ジークに彼がこの場所にいる理由を聞く。

ジークは簡単に説明するとセスはアノスを味方に引き込む事に不安を感じているのか難しい表情で頷いた。


「心配そうですね」


「……性格はジークやノエルから聞いていますから、心配するなと言う方が無理でしょう」


「それはそうなんですけどね。少しは他の人から学ぼうとするところはあるから、フィーナよりまともだと思いますよ」


セスはアノスに聞こえないように小さくため息を吐くとジークは少しだけアノスの評価を変えたと笑う。

しかし、その言葉にはフィーナに対する棘があり、セスは眉間にしわを寄せる。


「まぁ、ジークとノエルは数日、アノスとともに過ごしていたのですから、噂だけしか聞いた事のない私より、彼の事を見ているでしょうし」


「そうしてくれると助かります。それで巨大蛇が出たって事ですけど、見つかりましたか?」


「まだです。今、シーマさんとオクス殿が様子を見てきてくれています」


セスはアノスの背中へと眺めながら、アノスを信じてみようと決めたようで小さく頷いた。

彼女の言葉にジークは苦笑いを浮かべると現状を確認する。

セスはこの場所で情報整理をしようと考えているようで他の面々に巨大蛇の探索を任せていると言う。


「それじゃあ、俺達も森の中に入ってきますか?」


「そうしていただけると助かります。シーマさんは優秀な魔術師ではありますが見張りの無い場所で動いて貰うのは心配ですから」


「魔眼もありますからね。フォルムの人達は耐性がありますけど、オクスさんとかは耐性がないでしょうし」


ジークはここが本拠地だと判断し、森の中に行くと言うとセスは思うところがあるようですぐに頷く。

セスの心配事はノエルにも理解できたようで小さく頷くとジークの服を引っ張る。


「それじゃあ、行ってくる。アノス、俺とノエルは森の中に行ってくるけど、ここに残るか?」


「当然、行く。お前達では不安だからな」


「アノスさん、待ってください!?」


ジークはアノスにどうするかと聞くとアノスは1人で森の中に入って行く。

その様子にノエルは慌てて彼を追いかけ、ジークとセスは2人の背中を見送る。


「……あれだな。今日はシュミット様の屋敷にずっといたから、身体を動かしてストレス解消したいんだな。カルディナ様にも絡まれていたし」


「アノス殿に何があったかは理解できましたけど、2人を追いかけなくて良いのですか? なれない森の中は迷うのではないですか?」


「そうですね……セスさん、そう言えば、アノスの事、呼び捨てにしないんですね」


ジークはアノスの背中を指差しながら彼が乗り気なのは今日の行動が制限された事への反動だと説明するが、セスにはそんな事はどうでも良くジークに追いかけるように視線で指示をする。

彼女の言葉にジークは頷きながらも、セスのアノスの呼び方が気になったようで首を捻った。


「……手伝いに来てくれているのですから、機嫌を損ねても面倒でしょう。ジークやノエルを見ているとあまり気にはしなさそうですが、それより、早くしなさい。目を放すとノエルは確実に迷子になりますよ」


「ですね。それじゃあ、行ってきます。後、さっきも言いましたけど、カインも帰ってきていますから人手が足りなかったら意地を張らずに呼んでください」


「わかっています。意地を張って、フォルムの民を危険な目に遭わせるわけにはいきませんから」


セスは噂で聞いているアノスの性格を考えて、大人の対応をしていたと答えるとジークが遊んでいると思ったのか2人を追いかけろと強く言う。

ジークは苦笑いを浮かべて頷くものの、彼は彼でおかしな事で意地を張るセスの性格を考えて忠告をするために少し残っていたようで時間がかかった時はカインへ助けを求めるように忠告をする。

セスは言われるまでもないとため息を吐くとジークは安心したようで駆け足でノエルとアノスを追いかけて行く。


「まったく、言われるまでの事ではありませんわ……でも、昔はそれだけ意地を張っているように見えたと言う事でしょうか? 反省しなければいけませんね」


ジークの背中を見送った後、セスは彼が残して行った言葉に思う事があったようで小さく表情を緩ませると気合を入れるためか自分の両頬を軽く2度叩いた。

気持ちの切り替えを終えたようですぐに真剣な表情をすると巨大蛇を目撃した者など手伝いに来てくれていた住人から被害情報や目撃情報を集め、情報の整理を始める。


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