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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
726/953

第726話

「ハイムの周辺国は東にザガード、北にルセレル、西にローウィンに囲まれている」


「南には国はないのか?」


「いくつか独立した小都市や村があるけどね。国とまでは言えないね。それに山岳や大森林もあるから移動に時間がかかるから、そこまで脅威に思う必要はないよ。他の国と足並みをそろえると面倒かも知れないけど怪しい動きをしているとわかるしね」


ジークが責められている姿にシュミットは小さくため息を吐くと周辺国の名前を上げる。

フィアナの視線から逃げるようにジークは話に食いつくと南の国の有無を聞き返す。

カインはジークの疑問に答えると状況を理解しきれていないジークとフィアナは少しほっとしたのか胸をなで下ろした。


「えーと、カインとシュミット様はザガードが1番危険だって思っているんだよな?」


「そうだ。王位継承を力づくで行ったようだからな。新しい王は権力や名誉欲に固執していそうだからな」


「リュミナ様から、ザガードの話って聞けているのか?」


ジークは1番危険なのはザガードだと言う事を思い出して2人に質問をする。

シュミットは小さく頷くとリュミナからザガードの話は聞けているのかとジークは首を捻った。


「少しずつだ。リュミナ様もリアーナ達も祖国を完全に捨てられないようで口をつぐんでしまう事も多くてな」


「そうか。下手をしたら祖国を売る行為になるんだよな」


「そうなるね。防衛の事を考えればすべて話して欲しいけどね。そう簡単にはいかないよ」


シュミットは王都に戻っている間にリュミナからザガードの話も聞いていたようだが、詳しい情報まではつかめていないと首を横に振る。

ジークはリュミナ達の感情が簡単には割り切れないものだと思ったようで困ったように頭をかいた。

その言葉にカインはジークが他人の事を思いやれる事を好ましく思っているようで小さく表情を緩めている。


「あ、あの、すいません。リュミナ様って、どなたでしょうか?」


「そう言えば、フィアナは面識がなかったね。リュミナ様はザガードの第3王女様、亡命してきて俺達が保護したんだけど、ハイム王家の血も引いているから、没落したメルトハイム家の名前を継いでもらって、エルト様の婚約者になって貰ったんだよ。リュミナ様の事はまだ正式発表前だから言って回ったらダメだよ」


「エルト様の婚約者ですか? ど、どうして、ジークさんとカインさんは平然と話をしているんですか!?」


その中でフィアナだけはリュミナの名前に心当たりがなく、遠慮がちに手を上げた。

カインは簡単にリュミナの説明をすると、フィアナはリュミナが何者か理解できたようで小さく頷くがすぐに驚きの声を上げる。


「カインも言ったけど、俺達が保護したからな」


「俺がメルトハイム家を再興させて、エルト様の婚約者になって貰おうって言った張本人だからね」


「ど、どうしてですか!? ザガードと関係が悪化しているなら、リュミナ様が本当は何か裏があってハイムに来たかも知れないじゃないですか!!」


ジークとカインはフィアナの疑問にすぐに答えるが、フィアナは考えが甘すぎると思ったようで勢いよく立ち上がった。

クーは突然の事に驚き、フィアナの服をつかむと落ちないようにパタパタと羽を動かし、飛び始めるとジークの頭の上に退却する。


「裏? 何かあるか?」


「どうして、そんなに無警戒何ですか!? もっと、危機感を持ってください!!」


「フィアナ、言いたい事もわかるが落ち着いてくれないか」


首を傾げるジークの姿にフィアナは危機感がないと声をあげた。

シュミットは彼女の言い分もわかるようで苦笑いを浮かべると彼女に落ち着くように言う。


「は、はい。すいませんでした。続きをお願いします」


「リュミナ様が悪意を持っていないかは、こちらでも調べている。ザガードからハイムに逃げてきた裏付けの調査も行っている。それがはっきりしない内は正式に発表はできない」


フィアナは興奮しすぎたと思ったようで恥ずかしくなったのか小さく身体を縮めて座り直す。

シュミットはリュミナの調査もしっかりと行っていると言い、フィアナはシュミットを信じようと思ったようで小さく頷いた。


「調査って、リュミナ様を疑っているのか?」


「それくらいはしないといけないって事、まぁ、俺としてはリュミナ様やリアーナ達より、ザガードからの移民の方が気になるけどね。移民が多くなるって事はザガードに何かあったと言う事だからね」


「フォルムは積極的に移民を受け入れているんだよな……結構、スパイとかっているのか?」


ジークはリュミナの事を調査していると聞き、首を捻るとカインはフォルムに流れてくるザガードからの移民に対処するのが大変なようで小さくため息を吐く。

フォルムで生活をしているジークは移民を受け入れると聞かされている事もあり、増えているフォルムの村人を思い出すが1つの疑問が浮かんだようで首を捻った。


「居るだろうね。怪しい動きをしている人間もいるし」


「……カイン、聞いて良いか? その怪しい動きをしている人間はどうなったんだ?」


「どうなったか、聞きたい?」


カインはスパイがいる事を否定する事はなく、ジークはスパイらしき人間をどうしているのかと聞く。

ジークの質問にカインは笑顔で聞き返すと不安しか感じないのかジークとフィアナは顔を見合わせ、追及するか目で相談し始める。


「殺してはいないから安心してよ。誤情報をザガードに流すようにいろいろとしているだけだから」


「いろいろですか? ……どうしてカインさんの笑顔には不安しか感じないでしょうか? 背筋に冷たいものが伝います」


「同感だが情報操作はカインの得意分野だろうからな。任せるしかあるまい」


2人の様子にカインは苦笑いを浮かべて命を奪うような事はしていないと笑った。

フィアナはカインの笑顔にイヤな予感しかしないようで眉間にしわを寄せるとシュミットは彼女の考えを肯定しながらもカインの能力の高さは買っているため、眉間にしわを寄せながら彼に任せると言う。


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