第72話
「……結局、こうなるわけか?」
「すいません」
ジークは夕飯の準備の途中で、念のためにテントの確認に行くと一行に作業は進んでなく、眉間にしわを寄せるとノエルは申し訳なさそうな表情で頭を下げる。
「フィーナ、お前、冒険者だろ」
「べ、別にテントを張れなく立って冒険はできるわよ」
ジークはフィーナに冷たい視線を向けるとフィーナは自分は悪くないと言いたげであり、ジークは大きく肩を落とした。
「あ、あの。ジークさん、どうしたら良いでしょうか?」
「とりあえず、ノエルは……」
「何よ?」
ノエルは何もできないのが申し訳ないようでジークの手伝いを買って出るとジークは指示を出そうとするがその視線がフィーナで止まり、彼女はジークを睨み返す。
「いや、普通にどうするべきかと思ってな。教えても無駄だとしても冒険者として独り立ちを考えて教えるべきか、無駄だと切り捨てて、ノエルにだけ教えるべきかなと思って」
「何よ? その言い方?」
「言いたくもなるだろ。何十回、教えてると思ってるんだよ。悪いな。いったん、火から鍋を下してくる」
ジークはフィーナの事を気づかう事などなく、教えるのは無駄だと言い切ると当然、フィーナは怒りをあらわにするがジークが気にせずに途中になっている夕飯の準備を中断してくると言い、歩いて行ってしまう。
「あ、あの。フィーナさん、機嫌直してください」
「別に機嫌が悪いわけじゃないわよ」
ノエルはフィーナが不機嫌そうにしているため、また、おかしな事になっても困ると気を使い彼女に声をかけるが、フィーナは不機嫌な様子のまま、何もないと返事をする。
「ふ、不機嫌じゃないですか……ど、どうしたら良いんでしょう?」
「ノエル、何してるのよ。落ち着きなさいよ」
「ふぁ、ふぁい!?」
ノエルはフィーナの様子にどうしたら良いのかわからないようでおろおろとし始め、フィーナは彼女のその反応に小さくため息を吐くとノエルは慌てて返事をするが、その時に下をかんでしまったようで涙目になってしまう。
「まったく、ノエルは仕方ないわね」
「す、すいません」
フィーナはノエルの様子に毒気を抜かれたようで小さく表情を和らげると彼女の元に近づき、ノエルは涙目のまま謝る。
「別に謝らなくても良いわよ。悪いのは私なんだから」
「で、でも」
「謝らないで、私がみじめになるから、ごめんね。ノエル、気を使わせちゃって」
フィーナは自分が悪かったと言うと申し訳なさそうにノエルに謝った。
「い、いえ、わたしは別に何も、それにわたしより」
「ジークには謝らないわ」
ノエルはフィーナにジークに謝って欲しいと言うが、フィーナはおかしな意地を張っているようで頑としてそこは拒否する。
「フィーナさん」
「良いのよ。それより、テントを張るわ。ノエル、手伝って」
「大丈夫なんですか?」
「思い出しながら、やるわよ」
ノエルは意地を張るフィーナの様子に肩を落とすが、フィーナはジークに対するおかしな対抗心を燃やし始め、改めて、テントを張り始める。