第71話
「ここで、野営ですか?」
「あぁ」
休憩を終えた後にしばらく歩くとジークが野営地に選んでいた場所に到着したようで、ジークは荷物を下すとノエルはキョロキョロと周囲を見回している。
「ノエル、どうかしたの?」
「い、いえ、野営は初めてなので、屋根もないですし、どこで眠るのかと」
「どこって、ここよ」
ノエルは何もない場所でどうやって寝るのかと首を傾げるがフィーナは平然と地面を指差す。
「ここって、外ですよね?」
「まぁ、野営だしな」
ジークはノエルが魔族の領主の娘のため、野営とは何かと説明から始めないといけないと思ったようで苦笑いを浮かべる。
「一先ずは飯の準備をして、飯を食いながらの説明だな。フィーナ、ノエルと一緒にテントを任せるぞ」
「え? テントの準備って男のジークの仕事じゃないの?」
「俺がテントも飯の準備もしたら、休むのは何時になるんだよ? 見張りだってやらないといけないんだぞ」
ジークはフィーナにノエルと一緒にテントを張る事を任せるが、フィーナは不服そうな表情をする。ジークは他にもやる事があるため、遊んでいる時間はないとため息を吐く。
「それじゃあ、任せた」
「わかったわよ。ノエル、こっちを手伝って」
「は、はい」
フィーナはしぶしぶ頷くとジークの荷物を物色を始め、テントを引っ張り出すが明らかにカバンに入っていて良いサイズではない。
「あ、あの。フィーナさん、これがどうして、ジークさんのカバンに入っていたんでしょう?」
「あ? えーと、何だったかな? ジーク」
ノエルはテントがカバンから出てきた様子に明らかにサイズがおかしいと思ったようで顔を引きつらせると、フィーナは以前、聞いた事があるようだが、まったく覚えていないようで首を傾げてジークの名前を呼ぶ。
「ノエル、気にするな。フィーナに説明すると面倒な事になるから、家に帰ってからだ」
「は、はい。わかりました」
「ジーク、それって、どう言う事よ!!」
しかし、ジーク2人に説明しても途中から、フィーナが理解できなくなり、説明の邪魔をすると思ったようで説明を後回しだと答え、ノエルは大きく頷くがフィーナからは罵声が響いた。
「お前が覚えてれば、俺が説明する必要がないんだ。充分な評価だろ」
「くっ」
ジークはフィーナの相手などしてられないと言い切り、フィーナは先ほど、コウモリ相手にみじめな状況を見せたため、悔しそうにジークを睨みつける。
「あ、あの。フィーナさん、とりあえず、ジークさんの言う通り、準備をしましょう」
「そうね」
ノエルはこのままだと、また、面倒な展開になると思ったようでフィーナの服を引っ張ると彼女は自分を落ち着かせるために大きく深呼吸をした後にノエルに説明をしながら、2人でテントを張って行く。
「……まともに張れるよな? いや、どちらかと言えば、フィーナは体力系だし、問題ないだろ」
ジークは頼んでは見た物の大雑把なフィーナがまともにテントを張れるか心配になったようで眉間にしわを寄せるが、彼女にばかりかまっていられないため、夕飯の準備を進める。