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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ドレイクの少女との出会い
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第7話

「……結局、2人はここで何をやっているんだ?」


「何って、見てわからない? 店番よ。ジークが調合している間にお客さんが来て大変だったのよ」


「……いや、その前にノエルに店番をさせるなよ。騒ぎになったらどうするつもりだよ」


「それくらい、私だって考えたわよ。だけど、みんながみんな冒険者ってわけじゃないでしょ。うちの村は特にお年寄りばかりだからドレイクなんて本物を見た事ない人間が多いから、あの角を装飾品くらいにしかみんな思ってないのよ。気づくとしたら、シルドさんやシルドさんのお店に泊まってる冒険者の人達、後は元冒険者の私のお父さんくらいよ」


「……今更だけど、平和な村だな」


「……えぇ、緊張感もあったもんじゃないわ」


ジークは調合を終えてドアを開けると店の方から声が聞こえ、店を覗くとノエルとフィーナはなぜか店番を行っており、ノエルに至ってはドレイクの象徴である頭の角を隠す事なく、村のお年寄りの接客を行っているため、ジークは今の状況に頭が付いてこないのか眉間にしわを寄せるが、ノエルがドレイクである事など村のお年寄りは気づいてもいないようであり、2人は大きなため息を吐くと、


「ジーク、いつの間にこんな良い子を捕まえたんだい? これであんたの将来を心配して死んで行ったばあさんも報われるね」


「フィーナちゃん、あたしはあんたを応援しているからね。いきなり現れた子にジークを取られるんじゃないよ」


「……違うからね。おかしな勘違いはいらないから」


お年寄り達はノエルとフィーナをジークの嫁候補と認識しているようで無責任に煽りだし、ジークは頭が痛くなってきたようで頭を押さえてお年寄り達の言葉を否定するが、


「な、何を言っているんですか!? わ、わたしとジークさんはそんな関係じゃありません!? ジークさんにはフィーナさんがお似合いだと思います!!」


「もう、この子は可愛いね。そうやって顔を赤らめるなんてね。あたしはこっちの子の味方をさせて貰おうかな?」


店に来ていたお年寄り達は完全に煽りに入っているようでノエル派とフィーナ派に分かれており、


「……もう良いよ。悪いんだけど、俺、薬の材料探しに行きたいから、特に用がないなら店を閉めたいんだけど……」


「まったく、わざわざ、こんな村はずれまで歩いてきた年寄りを追い出すって言うのかい? この子はどうしてこんな冷たく育ってしまったのかね」


「……少なくとも世話にはなったけど育てて貰った記憶はないから、それにフィーナもそうだけど、ここにお茶を飲みに来られても困るんだよ。俺にだって俺の生活があるんだから、俺に稼ぎがなくなっても誰も養ってくれないだろ」


「さてと、ジークも忙しい良いみたいだし、あたし達も帰ろうか?」


ジークは薬草探しに出たいと言うとお年寄り達から苦情が出るがジークは大きなため息を吐いて生活を援助してくれるのかと言うとお年寄り達はジークの話を聞こえないと言いたげに店を出て行き、


「……まったく……って、店の物を持ってくな!!」


「あの、フィーナさん、このお店って……」


「良いのよ。ここはそう言うお店だから」


お年寄り達は店を出て行く時に当たり前のように代金を払う事なく商品を持って行き、ジークはお年寄り達を追いかけて店を出て行き、ノエルはジークとお年寄り達の様子に顔を引きつらせるがフィーナは自分も良くジークの店から勝手に商品を持って行くためか表情を変える事なく言い切ると、


「そんなわけないじゃないですか!? ジークさんはここのお店が大切だって言うのはおばあ様の事もありますし、わかるじゃないですか。お店を維持するのってお金がかかるんじゃないですか?」


「そうかもね。だけど、私もおばあちゃんもジークがここに縛られるのって望んじゃないから」


ノエルはジークの気持ちを考えて欲しいと言うがフィーナはジークには自分と一緒に冒険者なって欲しいと思っているため、自分の考えをジークの祖母の考えだと決めつけて言う。


「……まったく、フィーナもそうだけど、何なんだよ。と言うか自分達は年寄りだって言うなら、店の外から全力で走って居なくなるなよ」


「ジークさん、あの。お店って大丈夫なんですか?」


「ん? どうかした?」


ジークは店に戻ってくると逃げて行ったお年寄り達を捕まえる事が出来なかったようで眉間にしわを寄せて帰ってくるとノエルはジークの店を心配しているようで不安そうな表情でジークに声をかけるがジークは特に気にした様子もなく首を傾げると、


「お店って潰れたりしませんよね?」


「……ノエル、どうしてそんな不吉な事を言うんだ?」


「だ、だって、お金を払わないで商品を持って行く人もいますし」


「まぁ、確かにそれは困りものだけど、代わりに野菜とか食料も貰ったりしているからな……なかには代わりのもの1つ持ってこない奴もいるけど」


「何よ? かわいい幼なじみが顔を出してるのよ。それだけで充分にジークのためになってるでしょ」


ノエルは不安そうな表情のまま店が潰れないかと聞き、ジークは眉間にしわを寄せながらノエルにおかしな考えに至った理由を聞くと納得が言ったようで彼女に心配するなと言う意味を込めて彼女の頭を撫で、他の客とは違い何も持ってこないフィーナを責めるように視線を向けるがフィーナは自分は悪くないと言いたいようでジークを睨み返す。


「1番厄介なのが幼なじみなんだからな。1人だけだし、どうにかなる……って、だから、泣かないでくれ!?」


「で、ですけど……」


「だ、大丈夫だから、頼むから、これ以上、泣かれると……」


「そうそう、ジーク、うちの畑にできた野菜を後で取りに……これは修羅場? お邪魔したみたいだね」


ノエルはジークは心配ないと言うが彼女の頭の中ではジークの店が潰れる事しか考えられないようでジークに抱きついて泣きだし、ジークはそんな彼女の様子に慌てて泣きやむように言った時に先ほど逃げて行ったお年寄りの1人がタイミングよく店のドアを開けるとジークとノエルの様子を見て生温かい目で2人を見た後、そっとドアを閉め、


「待て!? 勘違いだから!?」


「何も言わなくて良いんだよ」


ジークはこの状況を村に広められるわけにはいかないため、お年寄りを追いかけようとするがノエルを引き離す事もできないため追いかける事も出来なく、


「……今日は厄日だ」


「へぇ、可愛いノエルに抱きつかれて厄日? ジーク、あんた何様よ?」


ジークは肩を落としてため息を吐くとノエルに抱きつかれているジークをフィーナは笑顔ではあるが殺気混じりの視線で睨みつける。


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