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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
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第690話

「……転移魔法の転移先を無理やり変えると言う事か? そんな事ができるのか?」


「今更だけど……あいつ、何でもありね」


「本人は転移魔法にかけては誰よりも研究しているって言っているからな。その通りなんだろ。俺達がここで何か言っても無駄だろ」


食事をしながら、ジークはカインからの指示を伝える。

聞いた事のない方法にラースは眉間にしわを寄せ、フィーナは意味がわからないと言いたいのか大きく首を横に振った。

話を直接聞いたジークは元々、魔法が使えない事もあって魔法に関する難しい事を考えるのを止めており、苦笑いを浮かべるだけである。


「……無駄な研究だな。もっと有益な研究があるはずだ。多くの敵を倒す方法が見つかればバカな事をやる人間を抑えつける力になる」


「そうですか? 私はカインさんの考えは好きですけど……」


「だから、隠れないでくれ。これじゃあ、さっきと何も変わらないだろ」


アノスは転移魔法が便利だとは思っている物の魔法は敵を倒すためのものだと言う考えがあるようで転移魔法に研究価値はないと言う。

フィアナはアノスの考えを否定すると、アノスは否定的な言葉に彼女へと視線を向けた。

その視線にフィアナはまたも苦手意識が出たようでジークの背後に隠れてしまう。

アノスは変わらないフィアナの反応にどうにかしろと言いたいようでジークへと視線を向け、2人の間に挟まれたジークは大きく肩を落とす。


「アノスさん、わたしもフィアナさんの意見に賛成で、す、すいません!?」


「……ジーク、あんた、何がやりたいの?」


「俺に聞かないでくれ。俺が聞きたいくらいだ」


ノエルはフィアナに賛成だと言いたいのか、遠慮がちに手を上げるがアノスからの視線が突き刺さり、彼女もジークの背中に隠れてしまう。

ジークの背中の後ろから、びくびくとしながらアノスの様子をうかがう2人の様子にフィーナは大きく肩を落とすがジークとしては完全に巻き込まれた形であり、ため息しか出てこないようである。


「……まずはなぜ、転移魔法の研究の方が有益だと言う理由を教えて貰おうか? 納得ができる答えをな」


「アノス、落ち着け。それでは2人が出て行きにくいではないか」


アノスは2人の態度にイラつきながらもここで怒鳴っては何も変わらないため、深呼吸をすると眉間にしわを寄せながらもノエルとフィアナに理由を聞く。

しかし、アノスの表情は2人を威圧するには充分なようであり、怯える2人の姿にラースは苦笑いを浮かべてアノスを落ち着かせようとする。

すでに自分では譲歩したつもりなのだが隊長であるラースに言われてしまい、アノスはどうすれば良いのかわからないようで首を捻った。


「眉間にしわを寄せているから悪いのよ。眉間、それくらいわからないの?」


「……しわなど寄っていない」


「いや、寄っているから」


アノスの様子にフィーナはため息を吐くと自分の眉間を指差しながら、アノスに眉間にしわを取れと言う。

彼女の言葉にアノスは眉間のしわを寄せているつもりなどないようで首を横に振るが、彼の眉間のしわはさらに深くなっており、ジークはため息を吐く。


「……」


「大丈夫だ。ノエルもおっさんになれたし、そこまで悩む事じゃない」


「小僧、それはいったいどういう意味だ?」


ジークに言われても納得ができないのかアノスは眉間にしわを寄せたままである。

彼の様子にジークは苦笑いを浮かべるとラースでもいけたんだから問題ないとアノスを励ます。

その言葉はラースにとって納得のいかない物だったようで眉間にしわを寄せて聞き返した。


「ほら、俺達、おっさんの役立たずなところとか、バカ親のところとか見ているし」


「そうだな。ラースが取り繕うのはもう遅いな。ジーク達の前ではかなり情けないところも見せているからな」


「……レギアス、お主まで言うか?」


ジークは気にする事無く、出会ってから見てきたラースのなさけない姿を思い浮かべたようで口元を緩ませる。

彼の言葉にレギアスは同調するように頷き、古くからの友人であるレギアスに言われては分が悪いと思ったのかラースは大きく肩を落とした。


「とりあえず、しばらくすればなれるだろ。2人もいい加減に戻ってきてくれ。話が続かない」


「そ、そうですね」


「は、はい……」


ジークは話を戻そうと考えたようでノエルとフィアナにもう1度、後ろから出てくるように言い、ノエルとフィアナは顔を見合わせた後、ゆっくりと前に出てくる。


「……なんか、このやり取りは不毛だわ」


「そう思うだろ? ノエル、フィアナ、早くしないと転移魔法で敵が攻めてくるかもしれないから、早く、俺も準備を済ませてきたいんだ」


「そ、そうですね。あの、ジークさん、お願いします」


2人の様子にフィーナはため息を吐くとジークはいつギムレットの息のかかった部隊への対策に準備をしてきたい事を伝える。

フィアナは自分がアノスを苦手にしている事から始まったため、深々と頭を下げると改めてジークに説明を頼む。


「先にアノスに魔法の事を話した方が良いのではないか? ジークもそれくらいなら時間が取れるだろう?」


「え? レギアス様、そんな事したら、また、2人が怯えない? 待っているのは時間の無駄よ」


「少しずつでも話をしなければお互いになれないだろう? それにアノスがワームにいる間はアノスだけではなく、フィアナを含めたこのメンバーで何かして貰う事もあるだろうからな。後々の事を考えれば意思疎通は重要だ」


ジークが話し始めようとした時、レギアスが手でジークを静止し、フィアナにアノスの質問に答えるように言う。

フィーナはそんな事は時間の無駄だと思ったようで首を捻り、ノエルとフィアナは彼女の言葉に賛成のようでこくこくと頷いた。

それでもレギアスは今後の事を考えると必要な事だと考えており、フィアナに目で話すように促す。

フィアナはどうして良いかわからずに助けを求めるようにジークとフィーナへと視線を向けるが、すでにレギアスから目で2人には口をつぐむように指示が出ており、2人は申し訳なさそうに首を横に振った。


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