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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
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第667話

「レ、レギアス様、だ、大丈夫ですか?」


「……ノエルには言われたくないと思うわよ」


「そうだな。それでジーク、今更だがゼイは何族なのだ?」


ラース達と別れたジーク達はゼイの案内で集落への道を進む。

ノエルはレギアスを心配するが彼女の方が息も絶え絶えでありフィーナは大きく肩を落とし、レギアスは苦笑いを浮かべるとゼイの種族について聞く。


「ジーク、シッテルノカ? ミカタカ?」


「ああ、レギアス様は……中立?」


「ここは普通、味方って言わない?」


ゼイはレギアスの言葉から、彼が魔族に偏見のない人間だと思ったようで確認するように首を傾げる。

ジークは頷いてはみたものの、明確に味方と聞いたわけではなく、何と答えて良いのかわからずに苦笑いを浮かべた。

フィーナは呆れたようにため息を吐くと同意を求めるようにレギアスへと視線を向ける。


「そうだな。味方にはなりたいと思っている。そのためにもゼイ達の事を聞かせて欲しいのだ」


「ソウカ? オレ、ゴブリン。シュウラク、トカゲ、イッショ」


「トカゲ? ……リザードマンか? 多種族がともに暮らしているのか」


レギアスは少しだけ気まずそうに咳をした後、自分の考えについて素直に話す。

ゼイはレギアスの言葉を全て理解はできていないようだが、敵ではないと判断すると集落にはリザードマンもいると言い、レギアスは予想していなかった事に驚きが隠せないようである。


「ねえ。ジーク、今更なんだけど、魔導機器で集落まで飛ばない? ノエルの体力が尽きそうだし、さっさと出しなさい」


「そうしたいのは山々なんだけど、転移場所にしてないんだよ」


「役に立たないわね」


フィーナはラース達と離れた事で転移の魔導機器で一気に集落まで移動してしまおう思ったようで魔導機器を出せと手を出した。

ジークは気まずそうに頭をかくとフィーナは役立たずと舌打ちをする。


「仕方ないだろ。カインも裏でやる事があるって言って忙しかったし、部隊で移動するって言ってったから、使う事になるとは思わなかったんだ」


「それもそうね……だけどさ。近いのかも知れないけど、ノエルがいたら進まないわね。おっさん達が先に着いたりして」


「す、すいません」


ジークは悪いとは思っているようだができなかった理由があったため、自分の責任ではないと言う。

フィーナも忙しなく動いていたカインを見ていたため、小さくため息を吐くと肩で息をしているノエルへと視線を向ける。

ノエルは責められたような気がしたようで申し訳なさそうに目を伏せてしまう。


「フィーナ、ノエルサマ、ナカス。ユルサナイ」


「そんなつもりはないわよ。それにフィアナもいるし、おっさん達もそんなにスピードは上げられないでしょ。と言うか、偵察部隊だって言うならもうちょっと人員を選びなさいよね」


「それに関して言えば仕方ないんじゃないか。おっさんについてきた兵士達は優秀みたいだけど、全部をこっちに連れてくるわけにはいかないだろうし」


ノエルの様子に気づき、ゼイはフィーナを威嚇し始める。

フィーナはノエルをバカにするつもりはなかった事を話すと彼女のなりに部隊の弱点を考えていたようで呆れたように言う。

ジーク兵の訓練を兼ねているとも聞いているためか苦笑いを浮かべると何かあるのか頭をかいた。


「どうかしたの?」


「いや、俺達が先行した事でアノスに火がついて森の中で遭難したりしなければ良いなと思って」


「有りそうね」


ジークは妙に対抗意識を燃やすアノスの顔を思い浮かべたようで彼が部隊の中で暴走していないか心配になったようである。

その光景はフィーナにも容易に想像が付き、眉間にしわを寄せた。


「まぁ、おっさんを信じよう。それに俺達は俺達の仕事だ。早く到着する事に越した事はないからな」


「そうですね。何があるかわかりませんから」


「ジークは前を警戒しないといけないから、最初は私が背負うわ」


ジークは先を急ごうと言うとノエルは大きく頷くが、どう見てもノエルの体力は底を尽きそうであり、フィーナはノエルの事は自分に任せて欲しいと言う。

ノエルはバツが悪そうに目を伏せるが、フィーナは道にしゃがむとノエルに背中に乗るように目で合図をする。

しかし、ノエルは自分で歩い方が迷惑をかけないと考えているのか、戸惑っており、ジークにどうしたら良いかと視線を送った。


「大丈夫なのか? 足場も悪そうだし、無理しない方が良いんじゃないか?」


「道が悪いんだから、あんたが先を歩いて警戒しないといけないんでしょ。それに待ち伏せしてる可能性だって否定できないんでしょ?」


「そうだな。それじゃあ、任せた」


ジークはノエルの反応に苦笑いを浮かべるとフィーナに無理していないかと聞く。

フィーナはジークがノエルを背負う事で何かあった時に反応が遅れる方が怖いようでわがままなど言っていられないとため息を吐いた。

彼女の様子にジークはくすりと笑うとノエルの肩を叩き、ノエルは頷くとフィーナの背に乗る。


「あの、ジークさん、フィーナさん、待ち伏せってどう言う事ですか?」


「ゴブリン族とリザードマン族の集落の明確な位置まで噂になっているんだからな。今まで噂止まりだった集落の正確な位置だ。改めて考えるとゼイの案内なしじゃ、たどり着けた気はしないぞ。俺じゃ、わからない事が多すぎる」


「……あの性悪もいないしね」


フィーナの背に乗ったノエルは先ほどの2人の会話が気になったようで首を捻った。

ジークは昨晩捕らえた人間達にも集落の位置がばれている事もあり、噂を広めている人間の意図がわからないようで眉間にしわを寄せる。

フィーナも顔を合わせる度に食ってかかっているものの、カインが誰よりも人の裏の考えを見るに長けている所は認めており、悔しいのか不機嫌そうに舌打ちをする。


「とりあえず、行くか? ギド達に集落の周りにおかしな奴らがいなかったかも聞きたいし」


「そうね。集落が襲われていたら目も当てられないわ。転移魔法で逃げ道を確保しててもね」


ジークは彼女の様子に苦笑いを浮かべて急ごうと言う。

フィーナはノエルを背負って立ち上がると大きくとジークを先頭に集落までの道を急ぐ。


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