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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
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第664話

「ゼイ、お前は何をしたかわかってるのか?」


「ナニ? ムカエキタダケ」


「わ、わかっていませんね」


ゼイを抱えてラース達から距離を取ったジークとノエルは周囲を警戒しつつも、ゼイにここまで来た事について聞こうとする。

ゼイはジークの言いたい事を全く理解していないようで首を傾げており、彼女の様子にノエルは大きく肩を落とした。


「オレ、ナニカシタ?」


「……ゼイ、ギドに俺達が集落に着くまで大人しくしていろとか言われなかったか?」


「イワレタ。デモ、コタチ、ノエルサマニアウ。マッテル」


ギドをリーダーとして尊敬しているゼイは彼の言葉はしっかりと聞くため、ジークは彼女にギドが何か言っていなかったかと尋ねる。

ギドはしっかりとゼイに釘を刺していたようだが、ゴブリン族とリザードマン族の子供達はノエルに会うのを楽しみにしているようであり、子供達を喜ばせたい一心で有ったようである。


「……お、怒りにくい」


「そうですね。ジークさん、ゼイさんが来てしまった事はもうどうしようもないですから、何か考えないと」


「考えるって言っても……魔法が解けたら、そこで終わりだぞ」


ゼイが子供達の事を考えてここに来たと聞き、ジークとノエルは責め切れないようで顔を見合わせた。

ノエルはゼイがゴブリン族だと集落に到着する前に気づかれてしまうのは避けたいと考えてジークに良案がないかと聞く。

ジークもどうにかしたいのだがすぐには何も思いつかないようで乱暴に頭をかいた。


「……やっぱり、先に集落に戻って貰った方が良い気がするんだけど」


「そうなりますよね」


「それにゼイのあの姿を見てると考えているのがバカらしくなる。どうせ、集落に着けばわかるんだ。おっさんに話しちまうか?」


少し考えてみるものの、ジークとノエルにはゼイを集落まで同行させるのはリスクしか見つからない。

2人が心配している事など何とも思っていないのか、ゼイは森の中を飛んでいる鳥や虫を追いかけており、ジークは彼女の姿に大きく肩を落とした。


「で、ですけど、ゼイさんの正体がばれるのは不味いですよ」


「そうなんだけどな……それに魔法も定期的に使わないといけないだろ? そうなるとノエルだって大変だろうし」


「オレ、マホウ、ツカウ」


ゼイを同行させるのは危険だとはわかっており、ノエルは不安そうに言う。

何とか誤魔化しながらも集落まで移動すると考えた時に魔力残量を考えると大変であり、ジークは言ってしまった方が楽だとため息を吐いた。

その時、鳥や虫を追いかけるのに飽きたのかゼイがジークの顔を見上げて魔法が使えると言い始める。


「……バカな事を言うな」


「オレ、オボエタ」


「ノエル、どう思う? ゼイって、思いっきり戦士系だよな? 魔法って簡単に使えるようになるのか?」


ゼイが魔法を使えるなど今まで聞いた事もなく、ジークは大きく肩を落とすがゼイは本当に魔法が使えると言いたいのか胸を張った。

ジークは自分が魔法を使えない事もなり、ゼイが魔法を使えるようになったと言う事に疑問があるのか首を捻るとノエルへと視線を向ける。


「ゴブリン族の人達はあまり魔法を使用しませんけど魔族は人族より魔法の才能はあるとも言われていますし、練習をすれば使えるとは思いますけど……ゼイさん、いつ、練習したんですか?」


「フォルム、イッテカラ」


「結構前からか? ……ゼイ、実はすごいヤツなのか?」


ノエルは苦笑いを浮かべながら、ゼイが魔法を使えてもおかしくはないと思ったようで苦笑いを浮かべながら、彼女に魔法をいつから練習していたかと聞く。

ゼイは褒めて欲しいのか胸を張ったまま答え、ジークは何も考えていないようなゼイが魔法まで使えるようになった事が納得いかないようで眉間にしわを寄せた。


「コノマホウ、ベンリ。タイミング、ワカル」


「タイミングって、かけ直す時間がわかるのか?」


「普通はわからないと思うんですけど……少なくともわたしはわかりません」


ゼイの言っている事が本当かわからないジークは首を捻るとノエルに尋ねるが、ノエルも魔法の効果時間を知る事ができないようで首を横に振る。


「……ノエルがわからないのにゼイがわかるのか? カインなら何か知ってるかな?」


「そうですね。でも、ゼイさんの言う事が本当なら、同行してても問題ないんですかね?」


「いや、かけ直すタイミングがわかってもその度に姿を消したらおかしいだろ」


ジークはカインやアーカスからノエルは才能で魔法を使っていると聞かされているためか、魔法の詳しい事は後でカインに確認してみようと思ったようで小さく頷く。

ノエルも同感のようで頷くと、このままゼイが同行しても問題ないと思ったようで苦笑いを浮かべるがジークは長時間、ゼイと一緒に歩けば不自然なところがばれるのではないかと首を捻る。


「ダイジョウブダ。キレソウニナッタラ、マホウ、カケル」


「大丈夫って言われてもな……まあ、何とか誤魔化す方法でも考えるか?」


「そうですね。そう言うのはジークさんが得意ですから」


ジークの心配を余所にゼイは自信に満ちており、ジークは頭をかくが特にいい考えも浮かばないようでため息を吐く。

ノエルはジークなら、ゼイを上手くこの部隊に溶け込ませる事ができると考えているようで笑顔を見せる。


「……なんか、そう言われるとペテン師とかバカにされているように思えるんだけど」


「そ、そんな事は無いです!?」


「ジーク、ヒト、ダマス、ウマイ」


ジークはノエルの言葉が納得できなかったようで眉間にしわを寄せるとノエルは慌てて首を横に振った。

ゼイは心からそう思っているようで楽しそうにジークを褒めるがそれは褒め言葉になっておらず、ジークの眉間のしわはさらに深くなって行く。


「……とりあえずはフィーナも巻き込まないといけないな」


「ジーク、ノエル、おっさんがそろそろ行くって言ってるわよ」


「わかった。フィーナ、その前にちょっと良いか?」


自分とノエルだけではゼイをフォローしきれないと思ったようでジークはフィーナにも協力させると決めた時、タイミング良くフィーナがラースの伝言を運んで来る。

ジークは返事をするとフィーナにゼイを同行させるために口裏を合わせて欲しいと言い、フィーナは仕方ないとため息を吐いた後に頷いた。


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