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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ジーク=フィリス
641/953

第641話

「それで何があったんだ?」


「いや、カインがな」


部屋に入るとジークは念のためかドアにカギをかける。

シュミットは偵察部隊の出発の準備もできていないため、時間は惜しいようでジークに早く本題に移るように言う。

ジークは部屋に備え付けてあったテーブルのイスに腰掛けると苦笑いを浮かべた。


「……カイン=クロークが心配しているのはギムレットがレギアスとラースがいない間に私を襲う事か? それとも偵察部隊に裏切り者を紛れ込ませていて2人を亡き者にして、復権を考えていると言う事か? それともその両方か?」


「……」


「……お前達は私をバカだと思っているのか?」


シュミットはラースとレギアスがいない間にギムレットが仕掛けてくるであろう事を予測しており、その言葉はカインがジーク達を使って彼に伝えたかった事である。

ノエルとフィーナは驚いたような表情をし、シュミットは2人の反応が不満なのか眉間にしわを寄せた。

彼の不機嫌そうな様子に2人は大きく首を横に振るが、先ほどの様子から見れば明らかであり、シュミットは大きくため息を吐く。


「……いや、俺達はカインに言われるまで想像がつかなかったから、普通に驚いただけだ」


「そうか。それだけなら、私は戻るぞ」


「待ってくれ。シュミット様も対処はしてると思うけど、一応、カインからも伝えて欲しいと言われたんだよ。それにシュミット様がどこまで考えているかで俺達も対処しないといけないからな」


ジークは苦笑いを浮かべてノエルとフィーナの非礼を詫びるとシュミットはジークが伝えたい事はそれ以上ないと思ったようでイスから立ち上がる。

シュミットの手をつかんだジークは偵察部隊に入れられた時に話してくれなかった事に不満を持っていると言いたげにため息を吐く。

彼の様子にシュミットは余計な心配をかけない方が良いと思って黙っていた事は愚策だったと気が付いたようで眉間にしわを寄せると、改めてイスに座り直す。


「……それで、カイン=クロークは何を企んでいる?」


「企んでいると言うのは言葉が悪いですね」


「……いや、何も悪くないだろ」


シュミットがジークに促すように行った時、部屋の隅から小鳥が現れる。

それはカインの使い魔であり、シュミットは眉間にしわを寄せ、ジークはため息を吐く。


「それでわざわざ、こんな風に登場して何があるんだ? 魔術師本人ではなく、使い魔をかいしてと言う事は意味があるんだろう?」


「単純に強欲爺側に見られたくなかったからですよ。それにシュミット様が隠れて何か話をしている事で疑われているのではないかと言う考えが湧き、行動を鈍らせる」


「私はあの強欲爺なら、逆に疑われているならって、すぐに仕掛けてくると思うんだけど」


シュミットは眉間にしわを寄せながら、カインの使い魔に声をかける。

カインはギムレットの行動を制限するためにシュミットには冒険者の店に入って貰ったと言う。

しかし、フィーナはカインの考えに賛同できないのか眉間にしわを寄せた。


「仕掛けてくるだろうね」


「……おい。お前は騒ぎを起こしたいのか?」


「いや、結局は仕掛けてくるだろうからね。準備をしておくのは重要じゃないかな?」


カインはあっさりとフィーナの意見を肯定するとジークは聞かされていなかったのか眉間にしわを寄せる。

ギムレットが仕掛けてくるのは避けられないようであり、カインは楽しそうに笑っている。


「準備はしてある」


「それでも残っている兵士全てがシュミット様の意志の下で動いているわけではありませんからね。必ず、強欲爺側に繋がってる人間はいますからね。日和見してくれるくらいなら良いですが、背後から刺されるとかは無しにしておきたいんで」


「いや、それくらいの人選はしてあるだろ」


シュミットはギムレットが仕掛けてくると前提として動いているようでバカにするなと言いたいのか小さくため息を吐いた。

カインはシュミット側、ギムレット側の両方と縁を結んでいる兵達もいると言うとジークはシュミットの警備は彼の信頼している者が担っていると言う。


「だろうね。それがあるから、偵察部隊にはジークを入れて緊急時にラース様とレギアス様を撤退させれるようにもしてあるし、カルディナ様をそばに置いて、最悪、シュミット様も逃げられようになっている。だけど、シュミット様の撤退は強欲爺を調子づかせかねない。兵を見捨てて逃げたとなると体裁が悪いからね」


「そうだな」


「と言う事でレインやソーマを変装させてシュミット様の警備にあたって貰います。繋がっている可能性がある者は数名、捕えておきました」


撤退時に必要なルートは確保しているシュミットだが、撤退はシュミットがワームを統治するうえで避けたい事である。

カインの言葉にシュミットは小さく頷くとカインは彼の警備にあたっていた兵士達で裏切りの可能性がある人間は捕らえてあると報告した。

その報告にジークとシュミットは眉間にしわを寄せている。


「……捕まえてあるってどういう事だよ?」


「え? この間から、セレーネに頼んで怪しい兵士をマークしていて貰ったんだよね。そこから尻尾を出したヤツをさっき捕縛して話を聞いてるけど、オクス達からの情報もあったからね。見つけるのは簡単だったよ」


「……この男の方を捕まえた方が国益になると思うわ」


カインは呆れたような空気が流れていてもまったく気にする事はない。

フィーナはやり方の汚いカインの手段に眉間にしわを寄せる。


「一応、俺も使い魔でワームの怪しい場所を警戒しておくけど、全部は見れないんで、応援も出しています」


「応援ですか?」


「……失礼する」


カインの他にも協力者がいるようであり、ノエルはカインには自分の知らない協力者がいるため、首を捻った。

その時、ドアをノックする事無く、カギをかけたはずのドアが開き、フィリムとコッシュが入室してくる。


「フィリム先生とコッシュ? 応援って2人か? ……待て、俺はカギをかけてたはずだけど」


カギ(それ)はさっき開けておいたから気にしないで、使い魔は飛ばせる距離が限られてるからね。ワームは広いから、俺だけじゃ、使い魔で監視は無理」


「……だとしても、不安な人選だ」


「カイン、続けろ」


すぐにカインの言う応援が2人だとは理解できたのだがジークはフィリムに振り回されている事もあり、大きく肩を落とした。

しかし、フィリムは気にする事はなく、自分達が何をするかシュミットに報告するように促す。


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