第62話
「やっぱり、使えそうな鉱石はないな」
「そうなんですか?」
翌日、ジークとノエルは上流の鉱山から鉱石が川を下ってくる事を期待して河原を訪れたのだが、やはり、使えそうなものはないようでジークは苦笑いを浮かべる。
「あぁ。川を下ってるから、サイズ的に使えないだろうからな。他に修理に使えそうなものは」
「やっぱり、鉱石を買うわけにはいかないんですよね」
ジークは川を下る途中で水の中で削られて丸くなった石を手に取り、ため息を吐くとノエルは材料の購入を視野に入れるべきではないかと言う。
「まぁ、加工して貰わない分、安く買えるとは思うんだけど……うーん。行くだけ、行ってみるか?」
「鉱山にですか?」
「あぁ。シルドさんのところに顔を出して見て、鉱山関係の仕事があればついでに受けよう」
「ジークさん、待ってください」
ジークは交渉する余地はないか確認するために鉱山に向かってみようと言い、冒険者の店も兼任しているシルドの店に向かって歩き出し、ノエルは慌ててジークの後を追いかけて歩き出す。
「お邪魔します」
「あ、あの。失礼します」
「どうして、私には仕事がないのよ!!」
2人はシルドが経営している『赤い月亭』のドアを開けるとフィーナが店主であるシルドに向かって怒鳴りつけている。
「何で? フィーナ、知ってるか? お前を入れたパーティーの依頼の達成率、1割を切ってるんだぞ。そんな人間と組みたいなんて言う人間がいると思うか?」
「何を言ってるのよ。自分の失敗を私のせいにしてるだけでしょ」
シルドはフィーナが鬱陶しいのかカウンターでグラスを拭きながら、自分の胸に聞いてみろと言うが、フィーナは自分は悪くないと叫ぶ。
「フィ、フィーナさん?」
「……相変わらず、騒がしいな」
ノエルはフィーナの様子に顔を引きつらせ、ジークは眉間にしわを寄せた。
「ん? ジークにノエル、良いところに来た。この煩いのを引き取ってくれ」
「遠慮します。シルドさん、鉱山関係の仕事ってあります?」
シルドは2人に気が付き、フィーナを連れて帰ってくれ言うが、ジークは直ぐに断り、仕事はないかと聞く。
「鉱山関係? と言うか、お前がアーカス関係で俺が押し付ける仕事以外に仕事を探すなんて……とうとう、潰れたか?」
「……おかしな事を言わないでください。アーカスさんに魔導銃を直して欲しいなら、修理に必要な材料を持って来いって言われたんですよ。それで、鉱山に行ってこようと思うんですけど、届け物とか簡単な仕事でもあれば良いなぁ。って」
シルドはジークが仕事を探している事を疑問に思い、首を傾げると1つの答えに行きついたようで哀れみの視線でジークの顔を見るとジークは彼の答えを全否定した後に仕事を探しにきた理由を話す。
「あぁ。魔導銃の修理に必要なのか?」
「はい。だから、戦闘関係は無理。届け物とか簡単なもので」
「そうだな……悪いな。そんなに都合のいい仕事はないな」
シルドはジークの話を理解したようで依頼書をぺらぺらとめくり始める。しかし、ジークが期待しているような簡単な仕事は依頼されてはいない。