第61話
「……鉱石か?」
「ジークさん、心当たりはないんですか? アーカスさんはジークさんは知っていると言ってましたけど」
シルドの店にアーカスから預かった魔導機器を置き、店に戻るとジークは魔導銃を修理するのに必要と言われた材料探しの事を考えているようでイスに座り、乱暴に頭をかく。
「ない事もないけど、鉱石は鉱山に採取しに行かないといけないだろ。鉱山はしっかり管理されてるから、勝手に持って行くとこれ」
「捕まっちゃうんですか?」
「そう言う事」
ジークは両手の手首を合わせてノエルの前に出し、鉱山から鉱石を取ってくるどうなるかを教え、ノエルはジークの仕草でどう言う意味かを理解する。
「俺はフィーナと同じ部類にはなりたくないから、窃盗はしたくないしな。でも、それ以外の所で材料になりそうなものはないし、前回の遺跡調査は収入につながる者はなかったから、購入するとしてもどれだけかかるか」
「そうですよね。困りました」
ジークとノエルは先の見えない魔導銃の修理費用に困ったようで2人で頭をひねり始めるが簡単に答えなど出てくるわけはない。
「そこら辺にあるようなもので修理してまた、直ぐに重心が壊れても困るし、無いかな。良い材料、できれば遠出をしなくても良い場所で」
「そうですね。簡単に壊れないような硬い材料が良いんですよね?」
「あぁ。でも、どうやって材料にするかはわからないけど、鉱石を使うって事は重くなるし、あんまり重いとそれはそれで大変な気もするけど、まぁ、好き勝手言っても仕方ないんだけどさ」
ジークは使えそうな材料が見つからないためか、適当に自分の都合の良い条件をあげて行くが、そんなに都合の良い物があるわけがなく、大きく肩を落とした。
「少なくても、威力を考えると……しまった」
「ジークさん、どうかしたんですか?」
ジークは何か思いついたようで苦虫をかみつぶしたような表情を知るとノエルは首を傾げる。
「何が使われてるかははっきりしないけど、1つ、良い材料を思い出した。それは鉱山に取りに行く必要はない材料だ」
「そうなんですか? それなら、直ぐに取りに行きましょう」
「いや、それは無理」
ジークは頭をかきながら、ノエルに説明しようとするとノエルは今からでもその材料を取りに行こうと言い始めるがジークは首を横に振った。
「どうしてですか?」
「目的のものは魔導銃が壊れるきっかけになった石人形の外装。ある場所は遺跡の奥、ノエルと2人で行くと灯りが点くから探しやすいと思うけど、取りに行くのを見つかるのは不味い。冒険者達が落ち着くまで取りに行けないよ」
ジークは現状では何をできないとため息を吐く。
「一先ずはそこら辺で集められるものでも良いから、探してみて、応急処置で良いから、直して貰おう。片方だけだと、やっぱり、薬の材料集めにも困るし」
「そうですね」
「とりあえずは、明日は河原を調べてみるか、使える鉱石があれば儲けものだ」
「わかりました。お手伝いします」
ジークは完全な修理を諦めたようであり、ノエルは納得がいかないようではあるが自分が何かをできるわけでもないと理解しているようでとりあえず、ジークの言葉に頷いた。