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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ドレイクの少女との出会い
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第6話

「……あのさ。見られると集中ができないんだけど」


「す、すいません。でも、わたし、お薬を作っているところを見たことがないので」


「……わかったよ。その代わり、見ていても面白い事はないと思うよ」


「……ねえ。ジーク、調合を始めたのは良いけど、もう少しゆっくりとしてても良いんじゃないの? 急いでいるみたいだけど何かあったの?」


ジークはノエルが泣きやんでいる事を確認すると調合部屋に入り、薬の調合を始め出すとノエルは薬の調合に興味があるのか調合部屋を覗いており、フィーナはジークとノエルを2人っきりにするわけにはいかないと思っており、ノエルと一緒にジークを置いておくわけにはいかないと思っているようで嫉妬混じりの視線で調合部屋を覗き込んでおり、フィーナはやる気になっているジークの様子に何かを感じたようでどうしたのかと聞くと、


「あぁ。さっき、シルドさんから遺跡の奥に行ける道が見つかったって話を聞いてな」


「へぇ、あの遺跡の奥に新たな遺跡ね。知らなかったわ」


「……フィーナ、お前、一応は冒険者の端くれだろ」


「う、うるさいわよ。私みたいな優秀な人間が行くにはレベルが低すぎるのよ」


「……口だけでは何とでも言えるよな」


ジークはシルドから聞いた遺跡の話をするがフィーナは初耳だったようで少し驚いたような表情をするとジークは彼女を小バカにするように言い、フィーナは直ぐに反論するがジークは彼女を口だけ冒険者だと言った時、


「その遺跡って有名なんですか?」


「有名って言うか、ここら辺のモンスターは大人しいしね。冒険者を志す人間が力試しに行くような。小さな遺跡だよ……と言うか、2人ともいつまでここにいるつもりなんだ?」


遺跡の事を初めて聞いたノエルは首を傾げ、ジークはそんな彼女の様子に苦笑いを浮かべると危険な遺跡では無い事を話した後、ノエルとフィーナがいつまでこの店にいるつもりなのかと聞く。


「あ、あの。ご迷惑ですか?」


「迷惑と言うか、ノエルは俺の両親を探しているんだろ。ここにいたって無駄だよ」


「で、ですけど、闇雲に探すよりはここで待っていた方が会える可能性が高いと思うんです」


「……いや、そうじゃなくてさ」


ノエルは不安そうな表情でジークを見るとジークは少し気まずそうな表情をしながらもノエルにこの場所にいる理由はないと言うとノエルはここで彼の両親を待ちたいと言いだし、ジークは世間からかなりずれている彼女の言葉に肩を落とすと、


「ここで待つって言ってもさっきも言ったけど、あのろくでなし夫婦はここになんて絶対に帰ってこないよ。それに君はドレイクなんだ。人間の村に居て何か騒ぎになったらどうするんだよ」


「騒ぎですか? わたしは話し合いにきたんですから騒ぎなんか起こしませんよ」


「……だから、そう言う意味じゃなくてさ」


ノエルにこの村にいるのは良くないと言うがノエルはジークの言いたい事の意味など理解できないようで首を傾げる。


「確かにね。私もジークも、流石にノエルと騒ぎを起こすつもりはないけど、他の人間はそうもいかないよね?」


「あぁ、ただでさえ、もう直ぐ、遺跡探索だとか言って冒険者達が押し寄せてくるんだ。ドレイクが村の中を闊歩していたら……下手したら、村が壊滅する」


「そうね。大きな都市からノエルを殺しに来る可能性が高いわ」


フィーナはノエルの様子にため息を吐きながらもジークが言いたい事がわかるようで真面目な表情をしてノエルに言い、ジークは何もなくても村にきた冒険者が大きな街に持ち帰った情報からノエルの討伐隊を組まれる時の事を思い浮かべたようであり、フィーナは規模が大きすぎる話だとは一瞬考えるが、人間にとってのドレイクが与える恐怖を考えるとジークの言う事は間違っていないと言うと、


「ですけど、わたしは人族と友好関係を結びにきたんです。騒ぎなんて起こしませんよ」


「……いやね。ノエルがそんな事を考えても周りはそう思わないから」


「そうね」


「どうしてですか?」


「普通に考えれば、そうだろ。それができたなら、人族とドレイクの争いなんて起きないんだからさ」


ノエルは自分は戦いではなく話し合いに来たともう1度、声を大きくして言うがジークとフィーナは人間の視点から見ればそんな事は絶対に成り立たないと言い、


「ですから、それを変えて行きたいんです!! 種族間の争いは何も生みません。話しあって仲良くなれば協力できる事だってあるはずです」


「まぁ、それをやろうとするのは素晴らしい事なのかも知れないけどさ。だけど、それは理想でしかないよ。そんな理想だけで誰かが動くなら、こんな世の中にはなりはしない。だいたい、同じ、人間同士でだってくだらない殺し合いをしているんだ。個人でとならまだしも、種族として考えた時に違う種族となんてわかりあえるわけがないよ。生活、考え、全てが違うんだ」


「そ、そんな事はないです」


ノエルは本当に人族とドレイクとの争いを治めたいようで真面目な表情をするがジークとそれは絶対に無理だと言い切るとノエルはジークの言葉に反論しようとするが、


「それじゃあ、悪いんだけど、2人とも出てってくれるかな。俺はいつまでも2人と遊んでいる暇はないんでね。調合の邪魔もされたくないから、店を出る時にプレートは『準備中』のままにしておいてくれ」


「ちょっと、ジーク」


「ジークさん」


ジークはこれ以上、話に付き合う義理もないと思っているようで2人に調合部屋のドアを閉めるように言い、調合に専念しはじめ、2人は納得がいかなそうには見えるが邪魔はできないためかドアを閉め、


「……まったく、人族とドレイクや他の魔族が争わない世界なんてできるわけはないだろ。でも……そんな世界になったら、2人は帰ってきて、ばあちゃんの墓に手でも合わせてくれるかな? ……止めよう。考えたって仕方無い事だ。仮にそんな事になっても2人が戻ってくる事はないんだ」


ジークはノエルの理想の世界なら自分のように両親に捨てられるような人間が減るかも知れないと考えたようだが直ぐにその言葉を飲み込むと調合を再開させて行く。


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