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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ルッケル騒動、再び
560/953

第560話

「ぐっ」


「正面から、ぶつかるなよ」


石人形の動き自体は遅く、アノスは攻撃を交わしながら騎士剣を石人形に向かって叩きつける。

石人形の装甲は硬く、剣で切り裂く事などできず、振り下ろした剣は弾かれ、両手を強い衝撃が遅い、アノスは顔をしかめる。

その様子にジークはため息を吐くと魔導銃で石人形の右足を撃ち抜くが、出力がまだ弱いようで右足を破壊するまでには至らない。


「硬いですね」


「結構、こいつの相手は重労働なんだよな」


「魔法攻撃もあまり意味がなさそうですしね」


レインも石人形の装甲の硬さを確認しようと思ったようで剣を振り下ろして見たようだが、簡単にはじき返されてしまったようであり、表情をしかめる。

ジークは苦虫を噛み潰したように言うとレインは腕輪の力で風の魔法攻撃を試す。

しかし、風の魔法でも石人形にはダメージを与える事もできない。


「ノエルの魔法も風だからな。あんまり、意味がなさそうだし。何より、石人形より先にここの魔導機器が壊れそうだ」


「おい。前に戦ったと言うなら、その時はどうやったんだ?」


ノエルの魔法は強力だが属性としてはレインの腕輪と同種の性質であり、ノエルを魔法は使えないと思ったようでジークは苦笑いを浮かべる。

アノスは攻撃が効かない石人形相手ではやがて体力を使い果たして攻撃を受けてしまうと考えたようで石人形を倒す方法を探せとジークを怒鳴りつけた。


「どうしたって、言われてもその時とは戦力が違うし……フィアナにギドほどの事を頼むのは酷だろうし」


「ギドさんですか? カインが言っていましたけど、かなりの魔術師みたいですね」


ジークはフィアナがギドほどの魔法の使い手だとは思えないようであり、難しい表情をする。

レインはギドがかなりの実力を秘めていると認識したようだが、今、無いものを求めても仕方ないため、何か有利になる条件を探そうとしっかりと石人形を見据える。


「フィアナ、あの火球で石人形の胸を狙えるな?」


「ダ、ダメです。皆さんがいるなかは危なくて撃てません!?」


「良いから、撃て。少なくともジークとレインはお前程度の魔法をくらうほど鈍くない。どこを狙うかはこちらで指示する。ここから見る限り、光沢などを考えれば石より、金属だろう。熱は伝わりやすいからな。コアを停止させるのはさほど時間もかからないはずだ」


背後から様子を見ていたフィリムは援護になれば良いと思ったようでフィアナに指示を出す。

フィアナは魔法の精度に自信がないのか、首を横に振るがフィリムは有無を言わせない。

フィリムの強い口調にフィアナは目でノエルに助けを求めるが、ノエルも攻撃魔法が苦手なため、気まずそうに視線をそらす。

逃げだしたいフィアナだが、すぐそばに居るフィリムはいつまでも行動に移さない彼女の姿に苛立ってきているようで舌打ちをする。


「……わかりました。あ、あの」


「すぐに魔法の詠唱に移れ。タイミングを見て、指示を出す」


フィアナは身体を小さく縮ませて頷くとフィリムは彼女の背後に立つ。

彼の行動に慌てるフィアナだがフィリムは気にする事無く、彼女の肩の上から手を出す。

その手は彼女が狙うべき石人形の部位を示す気のようであるが、フィアナから見ればかなり年が離れてはいるものの、端正な顔立ちのフィリムの顔がすぐそばにある事で落ち着かないようである。


「とりあえず、足に攻撃を集中するか、どちらかが砕けると動けなくなるし」


「砕ける? お前は距離を取れば良いから、簡単に言うな」


ジークはバランスを崩す事で石人形を無力化する事を提案する。

アノスはジークの使う魔導銃は遠距離攻撃用の武器だと認識しているようで自分だけが危険な目に遭わされていると言いたげに言う。


「……別に修理費をイオリア家(そっち)に請求して良いなら、最低1体は壊してやるけど」


「銃1つで文句を言うな。この貧乏人が武器の1つくらいでガタガタとそれくらい。どうにでもしてやる」


アノスの物言いにジークはムッとしたようであり、悪態を吐くとアノスはジークの所有する魔導銃が特別性だと知らないため、ジークを見下す。


「レイン、魔導銃こいつが壊れたら、調べ終わらなくても撤退だな」


「その時は、他に武器になるようなものでも探しましょう」


アノスの言葉に修理費用の請求先を確保したジークは魔導銃の出力を上げる。

レインに撤退も視野に入れる事を宣言するも彼はフォルムに来てから、毎朝のように組み手をしているジークなら魔導銃でなくても戦えると思っており、苦笑いを浮かべた。


「……そう言えば、最大出力は久しぶりか?」


「こんな場所で撃つな。せっかくの魔導機器を壊す気か?」


魔導銃には光が集約されており、魔導銃の銃身を石人形の装甲に変えた事もあるのか銃口にはいつもより、大きな強い光を放っている。

その様子に魔導銃の最大出力が上昇している事を思い出したジーク。

銃身が壊れる心配がなくなったと口元を緩ませ、銃口を石人形に向けた時、フィリムの声が響く。

彼の声と同時に火球が石人形を襲い、炎が包み込んだ。

3人の視線は火球の発射場所へと視線を向ける。

その先にはフィアナが立っており、次の魔法の準備に移っている。


「……訂正する。新米でもソーマが送ってきた魔術師だった」


「ですね」


魔法の威力はジークが思っていたより、高く、ジークはフィアナに低評価を付けてしまった事を訂正する。

レインも同感のようで頷くと炎に包まれている石人形は任せて良いと思ったようで他の石人形に向かって駆け出す。


「お、おい。今、仕掛けるべきなんじゃないのか?」


「炎で焼かれた攻撃はきついぞ。本気で死ぬかと思うからな。だから、全力で逃げろ。今までは当たっても骨が折れるくらいだったけど、あれをくらうとそれじゃ、すまない」


「……わかった」


アノスは魔法で援護があったため、有利になったと思ったようだがジークは以前に加熱された石人形の攻撃にさらされて死ぬかと思ったと言う経験から1体はフィリムとフィアナに任せるべきだと言う。

アノスは自分の命の危険は感じ取っているようで熱された石人形から距離を取る。

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