第56話
「あ、あの」
「少し待っていろ。今、小僧が茶を淹れる」
「……はいはい」
ジークとノエルはアーカスの住処に到着すると居間に上げられ、ノエルはアーカスが自分がドレイクだと気が付いた理由を聞こうとするが、アーカスは少し待つように言う。ジークはアーカスからお茶を淹れるように指名があり、自分は客だと思いながらも言うだけ無駄だとも思っているようで奥に移動して行く。
「あ、あの。ジークさん、お茶なら、わたしが」
「……座っていろ。私は小僧が取りにきたものの準備をしてくる」
ノエルはお茶なら自分が淹れると言い、立ち上がろうとするが、アーカスが彼女を引き止めると居間を出て行った。
「1人にされても困るんですけど……ジークさんの手伝いをしてきましょう」
ノエルはアーカスがいなくなり、居間に1人取り残されてしまったため、何をして良いのかわからずに小さな声でつぶやいた後に部屋の中を見回すが、1人に耐えきれなくなったようでジークの手伝いをするために奥へ移動する。
「ジークさん、何かお手伝いする事はありませんか?」
「ノエル? いや、別に何もないよ。お湯を沸かすだけだし、それにおかしな物を触ると危険だから」
「……この家の中にも罠があるんですか?」
ノエルはジークに声をかける。ジークはノエルの声に振り返ると苦笑いを浮かべて特に手伝ってもらう事もないと答えたがその言葉からノエルはここまでの道だけではなく、住処にまでアーカスが罠を仕掛けていると理解したようで顔を引きつらせた。
「まぁ、そんなところだ。後はそこら辺に魔導機器の部品も落ちているから、部品だけでもかなりの魔力を秘めているものもあるみたいで、おかしな事をすると爆発する危険もあるからな」
「……爆発ですか? わ、わかりました」
ジークはノエルに不用意に物を触らないように注意をするとノエルは周りを警戒するように視線を向けた後に大きく頷く。
「……キッチンに爆発するようなものを置いてあるわけがないだろ。ドレイクの少女、角を隠すのに使用している魔導機器を見せてみろ」
「ひゃう!?」
「……アーカスさん、お願いしますから、気配を消して近づかないでください」
その時、ノエルの後ろからアーカスの声が聞こえ、ノエルは驚いたようでジークに飛び付き、ジークはノエルの感触に鼻の下をのばしながらもアーカスの行動を責める。
「ん? 気配をつかめないのはお前達の技量の問題だ。私には関係ない。それより」
「は、はい。あ、あの」
「心配するな。これがないとドレイクだとばれる可能性が高くなるんだろ。壊すような事はしない」
ノエルはアーカスに青い石を渡して良いのかわからないようで不安げな表情をするとアーカスは表情を変える事なく、もう1度、渡すように言い、手を前に出す。
「ジークさん?」
「問題ないと思う。アーカスさんがノエルに何かをするつもりなら、ここまで連れてこないから」
「あ、あの。お願いします」
ノエルはジークに意見を求めるような視線を向けるとジークはアーカスを変人と思いながらも信用しているようでノエルにアーカスに青い石を渡すように言い、ノエルは懐から青い石を取り出し、アーカスの手の上に乗せる。