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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ルッケル騒動、再び
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第551話

カインに期待したものの、恩師のフィリムの指示には逆らえず、ジーク、ノエル、レインがルッケルを訪れる。

調査は明日の朝からであり、その間はジルの店に寝所を確保され、宿泊費はすべてアズが出してくれるようでお金の心配はしなくて良いようで用意されたこれからの事を話すためにジークの部屋に3人は集まった。


「……結局、どうにもならなかった」


「そ、そうですね。あの、レインさん、アノス様ってどう言う方なんですか? わたしとジークさんは先日のパーティーでお話しなかったので教えていただけませんか?」


「アノスさんですか?」


ジークはアノスに睨まれているためか調査隊に入りたくなかったため、大きく肩を落とすとノエルはアノスの事をレインに聞く。

その質問にレインは難しい表情をしており、その様子からアノスに良い感情を持っていないように見える。


「プライドは高そうだったよな」


「あれはフィリム先生の言い方に問題あるんじゃないでしょうか?」


「いや、フィリム先生はそう言う人だからな……怒らせた事を根に持ってなければ良いけど」


レインの様子にジークはレインもアノスに良い感情を持っていない事を察したようで頭をかく。

ノエルはフィリムの物言いはアノスを怒らせても仕方ないと肩を落とすとジークは人を怒らせて反応を見てから相手との距離感を決めている事もあり、アノスがおかしな事をしないか心配のようで眉間にしわを寄せる。


「フィリム先生はアノスを怒らせたんですか? それは気を付けないといけませんね」


「……やっぱり、ろくでもない奴なんだな。そうなると遺跡の中に入ったら何かされそうだよな」


「ですね。私達が遺跡に入ったのを良い事におかしな事を起こさなければ良いんですが」


心配事が増えてしまったようでレインの表情はさらに険しいものになっており、その言葉でジークは困ったと言いたいのか大きく肩を落とした。

アノスのプライドはかなり高いようでフィリムだけではなく、ジーク達も邪魔者として始末しようとする事も考えられる。

そのため、ジーク達は余計な心配をしなければならず、ジークとレインの眉間には深いしわを寄せた。


「どうにか出来ませんかね?」


「アノスは冒険者が勝手に遺跡に鉱山に入らないための警備なんだろ? それなら、中に連れてってみるか? 一緒に居れば警戒もしやすいだろ? 下手に目の届かない場所に置いておいて鉱山の入り口を破壊されても困るからな……いや、この間、フィーナが気を失った事を考えて栄養剤こいつを飲ませてみるか?」


「ジーク、今、カインと同じ表情かおをしていますよ」


ジークはアノスに縄を付ける方法を考え始め、その表情は何か悪巧みをしている時のカインに重なる。

レインは血がつながっていなくても2人は兄弟なのだなと再認識したようで苦笑いを浮かべるとジークに正気に戻るようにと肩を叩く。


「そ、そんな事はないぞ!?」


「ジーク、良いかい? あんたにお客さんだよ」


ジークは正気に戻り、カインと同じ表情などしていないと慌てて否定する。

その様子にノエルとレインが苦笑いを浮かべた時、ジルが部屋のドアを叩いた。


「客?」


「誰でしょうね?」


ルッケルに知り合いらしい知り合いはおらず、知っている人間は普通に部屋にあがってくると思ったジークとノエルは自分を訪ねてくる人間に心当たりはなく、首を捻るとドアを開ける。


「ジル、客って誰?」


「こんにちは」


「お久しぶりです。先日はお世話になりました」


ドアを開けるとジルとともにローブをまとった見覚えのある少女が立っており、ノエルは慌てて頭を下げる。

少女はソーマともにワームに行った冒険者の1人である『フィアナ』と言う少女であり、フィアナはジークとノエルに頭を下げた。


「それじゃあ、私は下に戻るからね」


「ああ……とりあえず、中に入ってくれ」


ジルは店の事があるため、フィアナをジーク達に任せて行ってしまう。

ジークはあまり親しいわけでもないフィアナを部屋の中に招き入れるか悩んだようであるが、廊下で立ち話をするわけにも行かないため、彼女を部屋に招き入れる。


「フィアナって言ったよな。どうかしたのか?」


「あの、私達がちょうどラース様のところにいる時にフィリムさんと言う方が来まして良くわからないうちに私に仕事を手伝うように言われてルッケルに連れてこられました。フィリムさんは領主様のお屋敷に用事があると言うし、どうして良いのかわからずにお2人がこの店にいると聞いたので」


「……フィリム先生、どうしたいんだ?」


彼女が自分達を訪れた理由を聞くジーク。

しかし、フィアナ自身もなぜ、このような事になったかわからずに戸惑っているようであり、状況がわからないジークは眉間にしわを寄せた。


「とりあえず、協力者と言う事でしょうか?」


「ですね」


「こっちを手伝うって事にソーマはなんて言ってたんだ?」


ノエルとレインは状況が理解しきれないものの、不安そうなフィアナを無下に扱う事は出来ないようで苦笑いを浮かべる。

フィアナの仲間にはソーマがいるため、彼の考えが気になったジークは彼女に質問するとフィアナはその時の事を思い出したのか力なく笑う。


「……フィリムさんは初め、ソーマさんに手伝うように言っていたんですけど、ソーマさんはジークさんに任せておけば問題ないからって言って私にならできると言って。それで私がこの仕事を手伝う事でルッケルの領主様と魔術学園に恩が売れるから頑張って来いって」


「ソーマ、あいつはフィリム先生の相手をする事が面倒で逃げたな」


「そうみたいですね。それでどうしましょうか? 遺跡に連れて行っても大丈夫なんでしょうか?」


彼女はソーマの推薦でルッケルに来たようだが、彼女の言葉からジークは何が起きたか理解できたようで大きく肩を落とした。

ノエルもジークと同じ事を思ったようで苦笑いを浮かべるとフィアナの実力が気になるようで首を捻った。


「まぁ、いくら面倒だからって言っても使えない人間をソーマが送ってくるとは思えないから大丈夫だろ。フィアナは魔術師で良いんだよな?」


「は、はい。理魔法と神聖魔法を使えます」


「……今までにいなかったタイプの人間だ。まぁ、どうにかなるだろ」


ジークはフィアナに得意分野を聞くと考えても仕方ないと思ったようで苦笑いを浮かべる。


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