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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ルッケル騒動、再び
550/953

第550話

「それに申請を出したら、すぐに対応してくれたんだろ。文句は言えないんじゃないんですか?」


「そうですよ」


ジークはアノスの気分を悪くして面倒事に巻き込まれるのは勘弁して貰いたいため、ルッケルに来てくれた騎士達を持ち上げようとするとノエルは大きく頷き、ジークに同意する。


「申請は王都に戻る前にしていたのだ。ジークとノエル、お前達にあったのは申請に対する説明と言う無駄な呼び出しのせいだ。それで終わるかと思えば、新米騎士共の初仕事にするとかでここまで引き延ばされてしまってな。調査に時間をかけられないだ。予算が足りないだと文句を言うなら、こちらの出した申請にくらいすぐに判を押せば良い物を」


「そ、そうですか.」


「たかが、廃鉱の警備だろう。こんな田舎まで来てやったのにどうして、バカにされなければいけないのだ?」


しかし、動きはジークとノエルが思っていた以上に遅く、フィリムの機嫌は見るからに悪くなっていき、ジークはどうして良いかわからずに頭をかいた。

フィリムの言葉に我慢が出来なくなったのかアノスが吐き捨てるように言う。

その姿は明らかに自分達を特権階級として多くの人々を見下している。


「その理由がわからないからバカにされているんだ。騎士が何たるかを知らぬバカが騎士になどなってどうするつもりだ?」


「どうして、こんな騒ぎに巻き込まれないといけないんだろうな」


「そ、そうですね。フィ、フィリム先生、アズさんのお屋敷も見えてきましたし、これくらいにしましょう」


フィリムはアノスの言葉を一言で切り捨て、ジークとノエルは自分達に関係ないもめ事に巻き込まれたくはなく、ノエルはフィリムとアノスを引き離そうとフィリムの背中を押して行く。


「遅くなってすいません」


「いえ、助かります」


「どうかしたんですか? ……まぁ、始めましょうか?」


応接室に通されてもフィリムとアノスの間には不穏な空気が流れており、ジークとノエルが気まずそうにしているなか、アズが応接室のドアを開ける。

アズは応接室に広がる不穏な空気に眉間にしわを寄せるとジークとノエルは早く本題に入ってくれと目で訴え、アズは察してくれたようで席に座った。


「……完全に巻き込まれてる」


「そ、そうですね」


フィリムは派遣された騎士達では役に立たないため、ジーク達を遺跡の調査隊に組み込む事をアズに提案し始め、それを聞いたアノスの表情は険しいものになっている。

フィリムは気にする様子も見せないがジークとノエルは居心地が悪くなり、肩身を狭くしているがアズはフィリムの提案にも一理あると思っているようで両手を胸の前で組み考え込んでいる。


「ジークとノエルはフィリム教授の提案をどう思いますか? 遺跡調査に協力していただけますか?」


「……正直、断りたいです」


「言いたい事はわかりますけど、それを抜きにして答えてください」


ジーク達の意見も聞きたいアズは2人に視線を向ける。

ジークは反対するのは無駄だと思い視線をそらすとアズは困ったように笑う。


「いや、騎士も来てるなら俺達の出る幕なんかないだろ? それに俺達も忙しいですし、遺跡の調査に割ける時間はないですよ」


「はい。連絡係もありますし、フォルムのお仕事もありますし」


「そうですよね。普通に考えると難しいですよね。フィリム教授、やはり、難しいと思います」


ジークとノエルは単純に時間がないと答える。

アズは2人が多忙な事は知っているためか、フィリムに2人を調査隊に入れる事は出来ないと言う。


「問題ない。この2人が調査隊にいる間、連絡係は俺が務める。レギアスにフォルムに医師を派遣しておくようにも言っておく。カインには俺から話を通す。何も問題ない」


「そ、そうですか。それではジーク、ノエル、申し訳ありませんがフィリム教授のお手伝いをお願いします」


しかし、フィリムの中ではすでに決定事項のようで反論は認めないようであり、アズは目でジークとノエルに謝った。

ジークとノエルは世話になっているアズに迷惑をかけるわけにも行かないため、苦笑いを浮かべながら頷くが納得のいかないのは騎士を代表してこの場にいるアノスであり、彼は不機嫌なのを隠す様子はなく、舌打ちをしている。


「えーと、とりあえず、そういう事になったんで、よろしくお願いします」


「……」


ジークはアノスと揉めるのは面倒なため、アノスに頭を下げるが彼はジークを見下しているため、返事を返す事はない。

その態度にジークのこめかみには青筋が浮かび上がるが、最近はこちらからキレては面倒になる事も理解してきたため、何とか我慢する。


「それじゃあ、今回の事をおっさんに話してこないといけないから、俺達はそろそろ行きますけど」


「そうですね。これをお願いします」


「待て。ワームには俺が行く。お前達は先にフォルムに戻り、カインにお前達とカインの妹を借りる事を伝えておけ」


ジークはこのまま、アノスのそばにいるといつ自分の限界が来るかわからないため、連絡係を済ませようとアズに声をかける。

アズはジークの考えを察してくれたようで彼の前に報告書を置くとフィリムが報告書を手に取り、フィーナも調査隊に入れると問題発言をさらっと言う。


「……ちょっと待ってくれ。フィーナも一緒なのか?」


「何かあった時、お前達では前に立つ人間が足りないだろ」


「あ、あの、鉱山のなかって事は巨大ミミズさんが出ますよね? フィーナさんは止めた方が良いと思います。フィーナさん、ミミズが苦手ですから」


疑問の声を上げるジークにフィリムはメンバーを考えろとため息を吐くが、フィーナをメンバーに入れるには大きな問題があり、ノエルはフィーナの弱点を話す。


「そうか? それなら、ファクト家の跡取りがいただろ。ラースの元で学んだんだ今回、来ている者達よりは使えるだろ」


「ファクト家の跡取り?」


「いや、確かにいるけど……とりあえず、カインには話をしておきます」


フィリムは使えないと言いたげに舌打ちをするとフィーナの代わりはレインにすると言い切る。

その言葉にアノスの表情はさらに険しくなって行くがジークは何か言っても却下されるため、カインにどうにかして貰おうと考えたようでため息を吐いた。

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