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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ルッケル騒動、再び
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第549話

「なんか騒がしいな」


「そうですね。ジルさんに聞いてみましょう」


イオリア家のパーティーに参加してから、ジーク達はフォルムの領地運営を手伝っていたのだがジークとノエルが連絡係の仕事でルッケルに訪れると街の様子が騒がしい。

ジークはその様子に首を傾げるとノエルはアズに会う前にルッケルで冒険者の店を営んでいるジルに話を聞いてみようと言い、2人はジルの店のドアを開ける。


「いらっしゃい。ジーク、ノエルちゃん」


「ジルさん、こんにちは。あ、あの、ジークさん」


「わかってる」


店の中は賑わっているが客層はいつもの冒険者だけではなく、魔術師や研究者のような人達も混じっており、ジルは溢れかえっている客に対応するためにせわしなく働いている。

その様子にジークとノエルは顔を合わせると当然のように店の手伝いを始めだす。

2人の行動にジルはお礼を言うと出来上がった料理を2人に渡し、それぞれ席に運んでいく。


「街も騒がしかったけど、何かあったんですか?」


「鉱山の奥で地下遺跡が見つかったらしいのよ。あの学者先生が見つけたんだけど、そう言う噂はすぐに広がってね。街道もだいぶ、出来上がっているから一気に人が溢れ出してさ」


一段落するとジルはジークとノエルをカウンター席に座らせ、手伝いのお礼なのか軽食を2人の前に置く。

軽食を頬張りながらジークはルッケルで何かあったのかと聞くとフィリムが地震やミミズやモグラが巨大化している過程で鉱山の奥で遺跡を見つけたらしく、ジルは嬉しい悲鳴を上げていると笑う。


「それはリック先生また死にかけてるな」


「そ、そうですね」


冒険者達が集まると小競り合いなどでケガをする人間も増えるため、医師の仕事は増える。

ルッケルで医師をしているリックの生活は患者が優先であるため、彼の健康状態が気になったようでジークは眉間にしわを寄せ、ノエルは苦笑いを浮かべた。


「そうだね。アズ様も気を使って、レギアス様に医師を派遣してくれないかとお願いしてくれているみたいだけどね」


「どこも医者は忙しいからな」


アズも医師達の負荷には頭を悩ませているようでレギアスに相談はしているようだが難しいようであり、ジルは困ったように笑う。

ジークはテッドの診療所に通っている事もあり、医師がどれだけ大変か理解しているため、頭をかく。


「あの、冒険者さんが集まっているのはわかりましたけど、遺跡の調査ってどうなってるんですか?」


「フィリム先生の事だから、邪魔な冒険者は排除してるんじゃないか? 研究者っぽいのと魔術学園で見た事ある人もいたから」


「そうだね。いつの時代の物かもわからないから、冒険者に荒らされるわけにも行かないからね。王都から魔術学園から人を呼び寄せてるんだよね。そのせいで小競り合いがね」


ノエルは見つかった遺跡で何かわかれば地震の事も何かわかると思ったようで調査の進捗状況を聞く。

冒険者が集まってはきているが研究者達が見つけた遺跡であるため、簡単に冒険者を入れないようにしているようであり、冒険者と研究者の小競り合いが絶えないと言う。


「困りましたね」


「そうだね。アズ様も街道整備以外に治安維持の仕事が増えて大忙しだよ」


ノエルはアズの体調が心配になったようであり、ジルも彼女に同感だと頷く。


「と言うか、鉱山の奥で見つかったなら、ルッケルで管理しないといけない遺跡だろ。鉱山を通らないといけないんだから、冒険者が勝手に入るわけにはいかないだろ」


「それが守れるような人間ばかりではないから、騒ぎが起きるんだ」


「それもそうですね……」


ジークは遺跡の場所から冒険者が勝手に入るわけにはいかないと思っているようでため息を吐いた。

話に夢中になっていたジーク達の背後から声が聞こえ、ジークとノエルが振り返るとフィリムと騎士鎧を身にまとった男性が立っている。

ジークはフィリムの言葉に頷きはするものの、フィリムと一緒に立っている男性の顔が気になったようで眉間にしわを寄せた。

男性は先日のイオリア家のパーティーで騎士になったと紹介されていたイオリア家嫡男の『アノス=イオリア』であり、アノスはルッケルに来るのが納得していないのかその表情には不満の色が見える。


「フィリム先生、お久しぶりです」


「ふむ。ちょうど良いところにいたな。店主、この2人を借りて行くぞ」


「……いや、俺達の都合は無視かよ。俺達はこれからアズ様のところに行かないといけないんだよ」


フィリムに頭を下げるノエルだが、フィリムはジークとノエルの顔を交互に見た後、ジルに2人を連れて行くと言う。

ジークは相変わらずのフィリムの態度に大きく肩を落とすとフィリムに付き合っている暇はないと告げる。


「気にするな。目的地は同じだ」


「そうですか。それじゃあ、ノエル、行くか?」


「はい。ジルさん、失礼します」


フィリムもアズの屋敷に行かなければいけないようであり、ジーク達の返事を待つ事無く、アノスを連れて店を出て行く。

彼の姿にジークは頭をかくとノエルをともに2人の後を追いかける。


「なあ、フィリム先生、なんで騎士がルッケルまで来てるんだ?」


「冒険者が遺跡の中に勝手に入ろうとするからな。それを追い払うために申請を出したら、使えない新米騎士が派遣されてきただけだ」


「あ、あの、フィリム先生、もう少し言葉を選んではどうでしょうか?」


アズの屋敷に向かう中、アノスだけではなく、騎士鎧を身にまとった者が目に映る。

ジークはフィリムがその理由を知っていると思ったようであり、理由を聞くとフィリムは冒険者達の行動に困っていると言うのと同時に派遣されてきた騎士達も使えないと切り捨てた。

その言葉にアノスの表情は険しくなっており、ノエルは彼の変化に気が付きフィリムに言葉を選ぶように言う。


「事実だ。金で騎士の地位を買うような者が使えると思うか? 実力的に見てもジーク、お前より、格下だ」


「……いや、フィリム先生の考えで俺を巻き込まないでくれ」


フィリムは研究者として実力で教授の地位まで上り詰めており、金で手に入れたアノスを認めてないと言い切る。

その言葉にアノスの顔には怒りの色が色濃く出ており、ジークは巻き込まれている事にため息しか出てこないようで大きく肩を落とす。

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