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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
カインの罠
530/953

第530話

「ジーク、わかったんならさっさと言いなさいよ。こっちは話が長くてイヤになってるのよ」


「お前はもう少し落ち着けよ」


「ジークくんの答えを聞きましょうか」


フィーナは着なれないドレスにいつまでも進まない話にかなり苛立ってきている。

彼女の様子にジークはため息を吐くとティミルへと視線を向けた。

ティミルはジークの視線に答え合わせだと言いたいのかにっこりと笑う。


「なぜとか理由を聞かれても困りますよ」


「かまいません」


「えーと、そのイオリア家ってのとガートランド商会がつながってるんだと思ったんだけど」


ジークはため息を吐いた後に自信なさげに自分の考えを話す。

その言葉はノエルとフィーナは理解できないようで首を傾げている。


「何で、ガートランド商会が出てくるのよ?」


「何でって言われても困るけど、まずは全然関係ない場所に俺達を引っ張り出そうとなんてしないだろ。そうなると俺達も関係ある事だと思うからな。王都で俺達に関わりある事なんてたかが知れてるだろ。確率の低そうなのを消したらこれしか答えが浮かばなかった」


「そうですね。そうなると考えられるのはガートランド商会かア……」


フィーナは意味がわからないため、ジークに説明しろと睨みつけた。

ジークはティミルに助けを求めるような視線を向けるが、ジークの答えは正解のようで彼女はどうしてその答えに至ったかも知りたいのか楽しそうに笑っている。

ティミルからの補足を期待できないと思ったのかジークは頭をかくと心当たりがある事から消去法で選んだと言う。

ジークの言葉でノエルの頭にもいくつか思い当たる事が浮かぶがアンリの名前を思い出し、直ぐに口を紡ぐ。


「ライオ王子もガートランド商会は王都に出てきてるって言ってたからな。あのステムってヤツは金さえあれば自分の好き勝手になるって感じだったし、王都での後ろ盾が欲しかったガートランド商会と息子を聖騎士にするために金が欲しかったイオリア家ってのが手を結んだって事だろ」


「なるほど」


「……わかっていませんわね」


ジークはステムの顔を思い浮かべたようで頭をかき、フィーナは彼の説明で理解したと言いたげに頷くがその目はどこか泳いでいるようにも見える。

カルディナはそんなフィーナの様子を見て大きく肩を落とした。


「わかってるわよ」


「顔を真っ赤にして反論するな。わかってないんだから、余計に墓穴掘るぞ」


「ジークさん、それ、どうにかならないんですか? ケガはさせないにしても物騒ですよ」


フィーナは勢いよく立ちあがり反論しようとするが、ジークはフィーナが口でカルディナに勝てると思っていないため、迷う事なく冷気の魔導銃で彼女の頭を撃ち抜く。

頭から凍り付き、意識を失ったフィーナをジークはソファーに戻す。

ノエルは魔導銃を撃つ事に迷わなくなったジークに危機感を持ったようで不安そうな表情をする。


「大丈夫だ。使う相手くらいは選んでる」


「そうかも知れませんけど」


「ジークくんが魔導銃を使わなくなるのはフィーナさんの成長が1番だと思いますよ。あの人もそう言ってましたし」


ノエルの心配を笑い飛ばすジークだが、ノエルは助け船が欲しいようでティミルへと視線を移す。

ティミルはくすくすと笑うとジークだけがあるのではないと言う。

初対面に近い、彼女がフィーナの事をそこまで言うのはラースから情報提供があるようである。


「……フィーナもおっさんには言われたくないだろうな」


「そう言わないでください。熱くなりやすいところもありますけど、そこが良いところでもあるんですから」


「まぁ、それはわかるけど」


ラースはフィーナの次に冷気の魔導銃の餌食になっている人間のため、ジークは眉間にしわを寄せた。

ティミルはラースをフォローするとジークもラースの事は嫌いになれないため、苦笑いを浮かべる。


「それでジークくんとノエルさんは私のお願いを聞いてくれるんですか?」


「それは……」


「聞いてくれるも何も、拒否権ってあるんですか?」


ティミルはジークとノエルから言質を取ってしまえば、フィーナは断れないと思っているようで2人に護衛の依頼を受けてくれるかと聞く。

ノエルはどう答えて良いのかわからずにジークへと視線を向けるとジークは最初から断れないと思っているようで頭をかく。


「受けていただけると嬉しいんですけどね。私とカルディナは戦う術も持たないか弱い女性ですから」


「か弱い人は笑顔で人を脅さないから」


「脅すなんてそんな事はしていませんよ」


ティミルは受けて貰わないと困ると言うもジーク達以外を護衛に考えていないようで口調は柔らかいが反対はさせないと言う力強さがある。


「聖騎士になったお披露目って言うなら他の騎士達も参加するんですよね? 護衛って、俺達が入る余地があるんですか?」


「そうです。騎士さんが大勢いるなら、何かあっても直ぐに対処できるはずです」


「……考えても見なさい。地位や名声を金で買うようなゲスばかりですよ」


護衛と言われても納得ができないジークは首をひねっており、自分達が出るような場所ではないと首を横に振った。

乗り気にならない2人の様子にカルディナはイオリア家の事を思い出すように言い、ジークはすっかり忘れていたのか眉間にしわを寄せる。


「そう言えば、そうだった……だけどな。ステムってヤツが招待されてたら面倒なことにならないか?」


「良いじゃないですか。せっかくですし、オズフィム家とクローク家が懇意にしているところを見せつけてあげたら良いんですよ。せっかくですから、売られたケンカは買いましょう」


「……血の気多いですね。まぁ、ガートランド商会を叩いておかないとフォルムのためにならないだろうからな」


ジーク達はガートランド商会の後継者であるステムと面識があるため、顔を合わせるのは不味いのではないかと言うが、ティミルはオズフィム家の当主代行として王都を守るためにガートランド商会を牽制する気のようでにっこりと笑う。

ジークは穏やかではあるがしっかりと意思表示をする彼女の様子に大きく肩を落とす。

それでも必要な事だとは思っているようでティミルの依頼を受けると返事をする。

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