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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
カインの罠
525/953

第525話

「フィーナさん、ブレスレットを外してください!!」


「ちょこまかと動くな!!」


レインは慌てて、フィーナに危険だと叫ぶ。

しかし、彼女は目の前で動き回るジークに苛立っており、彼の声は耳には届いていない。


「ジークさん、逃げてください!? カインさん、どうにかしてください」


「そうだね。フィーナはどうなっても良いけど、これ以上、中庭の景観が損なわれるのは問題だね」


「冗談を言っていないでどうにかしなさい!!」


ジークとフィーナはブレスレットに自爆魔法が付加されている事には気が付いておらず、止まる事はない。

その様子にノエルは顔を真っ青にしてジークに声をかけ、カインに解決方法はないのかと泣きつく。

カインは頭をかきながらも、冷静にブレスレットの魔力の蓄積量を計算しているようで冗談交じりの言葉を放つ、慌てているセスは彼ほど冷静に物を見れないのかカインを怒鳴り付けた。


「止める方法はいくつか考えられるけど、まだ、時間もあるし、大丈夫だよ。ジークに任せておけば良いよ」


「何を根拠に言っているのですか!!」


「セスは、もう少し冷静に物を見なきゃ、冷静にならないと必要な物を見落とすよ。まぁ、念のため、やれる事はしますけど」


カイン自身はジークに任せておけば良いと思っており、苦笑いを浮かべながら魔法の詠唱に移りだす。

詠唱とともに観戦しているメンバーと屋敷を守るように薄い空気の障壁が形成されて行く。


「アーカスさん、ど、どうすれば、あれは止まるんですか!?」


「止める必要などない。必要な実験の1部だ」


カインが2人を止めてくれないため、ノエルはブレスレットの制作者であるアーカスにどうにかして欲しいと言う。

アーカスにはブレスレットの効果の方が重要であり、ノエルの言葉を聞きいれる事なく、興味深く、フィーナの腕で光っているブレスレットの宝玉へと視線を向けている。


「良いんでしょうか?」


「……威力自体はさほどのものではなさそうですね」


カインが落ち着いている事もあるのか、ミレットは大きな被害は出ないと考えているようで苦笑いを浮かべてセスに聞く。

彼女はブレスレットの魔法のしっかりと識別しようとしているようで目を閉じ、蓄積された魔力量と魔法陣の解析を始めている。

はじき出された答えは自爆魔法としても威力の小さいものであったようで安心したのか胸をなで下ろした。


「そうなんですか?」


「あの2人にはこれからも実験台になってもらわなければならないからな。威力の高いものでつぶしては勿体ないだろう」


セスの答えにノエルは確認するようにアーカスに尋ねる。

彼にとって、ジークもフィーナも新しい魔導機器を製作した時の実験台であり、まだ、使いつぶす気はないようで小さくため息を吐いた。


「良かったです」


「あの、ノエルさん、威力は低いにしても自爆魔法なら、爆発に巻き込まれた2人は危ないんじゃないでしょうか?」


「そ、そうでした」


胸をなで下ろすノエルだが、実際は何の問題解決にもなっておらず、レインに突っ込まれる。

ノエルはどうして良いのかわからずに2人を止める方法はないかと頭を抱え出す。


「……おかしい」


「何がよ!!」


ジークはフィーナ以外にも周囲の様子をしっかりと見ており、会話が耳には入ってこないものの、カインが魔法の詠唱を始めたのには気が付いたようでつぶやいた。

その言葉の意味がわからずにジークを怒鳴りつけるとジークの足元を剣で薙ぎ払う。


「……」


「これでこいつが使えるわ」


「……しまったな」


ジークはその攻撃を後方に飛び交わすと一定の距離を保てたフィーナはブレスレットの力を解放して剣に風の刃を付与する。

魔力の付与により、攻撃力が上がった事でフィーナは形勢逆転と言いたいのか、攻撃に転じようと剣を振る。

普通の剣であれば、石人形の外装を使った魔導銃で受け止める事ができるが、風の刃が付与された場合、彼女の攻撃を受け止めきれない。

ジークは自分が失敗した事に舌打ちをすると再度、彼女から距離を開けるように後ろに飛ぶ。


「逃がさないわ」


「……あれか? なんの魔法だよ」


距離を取った事で近くにいてはとらえきる事のできなかったブレスレットの魔法陣がジークの目に映る。

魔法の知識がないジークは魔法陣を見てもどんな魔法か判断できない。

それでもカインが何か魔法を使っていた事で接近戦をするのは危険だと判断したようで今度は遠距離戦闘に切り替えようとフィーナと一定の距離を取るように動く。


「どんな魔法か判断できずに迷ってる感じだな」


「そうだね。ジークは魔法を使えないにしてももう少し魔法の知識を叩きこんだ方がいいね」


「その前にフィーナに教え込めよ。バカでもお前の実妹だけあって魔法のセンスはあるだろ? なんだかんだ言いながらもあの剣とブレスレットを同時に使いこなしてるんだからな」


距離を取り戦いだしたジークの姿にソーマは苦笑いを浮かべた。

魔法の詠唱を終えたカインはジークの知識量について教育の余地ありと結論を出す。

彼の結論にソーマは大きく肩を落とすとジークの前にフィーナをどうにかするように言う。


「使いこなしてると言うには程遠いけどね。今はただ剣を振りまわしているだけ、だから、ジークをとらえきる事ができない」


「まぁ、本能のままに剣を振りまわしてるだけだからな。あの性格をどうにかしないとこれから先はないぞ」


「そう思うなら、ソーマが剣を教えてくれたら良いのに」


カインはフィーナに渡した剣の能力の能力をフィーナは生かし切れていないとため息を吐いた。

フィーナの成長のためにカインはフィーナをソーマに押し付けようとするが、ソーマは無茶を言うなと言いたいのか大げさにため息を吐く。


「逃げるな」


「フィーナ、落ち着け。そのブレスレット、何か様子がおかしいぞ」


「そんな嘘に引っかからないわ!!」


フィーナは風の刃を飛ばすと魔力を練るのに時間がかかるため、どうにか距離を縮めたいようでジークを追いかける。

ジークは盲目なフィーナが浮かび上がる魔法陣に気が付いていないと思ったようでブレスレットを見るように言う。

しかし、フィーナはジークが自分を油断させるための嘘だとしか思っておらず、聞く耳は持たない。


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