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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
カインの罠
522/953

第522話

「本当ですか?」


「とりあえず、俺は今、バカにされてるんだよな?」


「そう言うわけではないです」


首を傾げているジークにレインは眉間にしわを寄せた。

レインを指差しながら、ソーマに聞くジーク。

ソーマは肯定も否定もせずに苦笑いを浮かべるとレインは慌てて首を横に振る。


「ソーマさんは王都でも名前を聞く冒険者なんです」


「嘘だろ?」


「疑うのもどうなんだ? まぁ、長い間、いろんな場所をふらふらしてるからな」


ソーマは有名な冒険者のようであるが、ジークは信じられないようで疑いの視線をソーマに向ける。

ソーマはため息を吐くが、特に目立ったような事をした記憶はないと言う。


「後、言っておくけど俺はジオス出身ってわけじゃないぞ。活動拠点の1つがジオスってだけだ」


「そうなんですか?」


「らしい。俺もソーマがどこの出身かは知らない」


ソーマはレインの様子から彼が勘違いしていると思ったようであり、自分がジオスの出身でない事を告げる。

レインはジークに確認しようとするが、ジークもソーマとは懇意にしているものの、詳しい事は知らないようで首を横に振った。


「知りたいか?」


「いや、必要ないな」


「……ジーク」


ソーマはくすりと笑い、自分の事を知りたいかと聞く。

ジークはまったく興味などないようで即座に拒否し、レインは彼の様子に大きく肩を落とす。


「俺としてはその方がジークらしくて良いな。それより、何で、ファクト家の後継者がこんなところにいるんだ? 後、コーラッド家のお嬢さんも」


「……言って良いのか?」


「ソーマさんなら大丈夫ではないですかね?」


ソーマは自分の事より、フォルムのような遠方にセスやレインがいる理由が気になるようである。

ジークは改めて考えるとカインとエルトの関係を話す事になるため、1冒険者のソーマに話して良いものか首をひねった。

レインもジークと同様の事を思ったようだが、冒険者として有名な彼が不利益な情報を他に漏らす事はないと判断したようで苦笑いを浮かべる。


「そうか? とりあえず、話しながらだな」


「あぁ。それで構わないけど、そっちは付いてきて良いのか?」


「少しお供をさせてください」


レインから意見を得たため、目的の冒険者の店まで歩きだそうとする。

ソーマは頷くがレインにはレインのやるべき事があると思ったようで彼の予定を聞く。

レインは1人で歩くのは危険と判断したようで2人の後に続く。


「……カインがエルト王子の側近だったなんてな。あいつの伝手で依頼を受けられたんじゃないか? それにコーラッド家のお嬢さんと良い関係でフォルムの領主。あいつ、完全に成功者じゃないか?」


「期間限定だけどな。フォルムの統治が上手く行かないとあいつは降格させられるって話だけどな」


「あいつの事だから、そんなへまはしないだろ。才覚で言えば、あいつほどの人間を探すのは難しいだろ……良い仕事はないかな?」


冒険者の店に着くと店の端のテーブル席を陣取る。

フォルムにカインやセス、レインがいる理由に納得したようで頷く。

ジークはカインがいろいろやっているが、失敗した時の事を考えてため息を吐いた。

ソーマはジークの様子に苦笑いを浮かべると席から立ち上がり、掲示板をのぞき込み依頼を探す。


「どうかしましたか?」


「いや、俺、フォルムに来てからここにくるのって滅多にないから何か落ち着かないと思って」


「ジークはテッド先生の診療所ですからね」


ジークは店の中を見回すと店はそれなりに賑わっており、ジオスやルッケルでは冒険者の店にくると店を手伝っている事が多いため、居場所がなさそうにも見える。

レインはジークの様子に彼の考えている事がわかったのか苦笑いを浮かべた。


「……」


「どうだった?」


「俺なら、どうにかなるけど、今組んでる奴らだと、ちょっと難しいかな」


しばらく時間が経つと難しい表情をしたソーマが席に戻ってくる。

新米冒険者の面倒を見ている事もあり、実力に見合った依頼がないようで困ったように頭をかく。


「そんな難しい依頼ばかりなのか? ……簡単そうだぞ」


「冒険者が全部、お前やフィーナと一緒だと思うな」


「わけのわからない事を言うな」


ジークは入れ違うように掲示板をのぞき込むとフォルムに来てから、薬草集めにフォルムの外に行く程度でしかなく、難しいと言う意味がわからずに首をかしげた。

ソーマはジークの背中を見て大きく肩を落とすが、彼の言葉の意味がわからないジークはため息を吐く。


「才能持ってる奴は最初の位置が高いんだ。新米と比べるなよ」


「新米って言ったって、それで食うって決めたんだろ。それは言い訳だろ」


「ジークはそう言うところ、きついですよね」


ソーマはジークとフィーナの能力の高さは買っており、新米冒険者と比べるのは酷だと言う。

ジークは自分の才能をかなり下に見ている事やカイン、アリア、アーカスとスパルタ指導を受けているため、ソーマは甘やかしすぎだとため息を吐く。

レインは彼自身は早朝の手合わせでジークを捕まえる事が出来ないため、苦笑いを浮かべる。


「きついと言うか。師事してた人間が厳しいからな。正直、ジオスで薬屋なんかやらずにこっちを手伝って欲しい」


「俺は薬屋だ……なぁ、ソーマ、依頼のレベルってフォルムとワームで違うのか?」


ソーマはジークを冒険者にスカウトするが、ジークは冒険者扱いされるのが嫌いのため、不機嫌そうな表情をする。

その様子にソーマは彼をからかうために言ったようであり、楽しそうに笑う。

彼の表情にイラっとしながらもジークは自分の知っている冒険者の中ではソーマは上位であるため、ワームにソーマを向かわせる事は出来ないかと考えたようである。


「ワームか? ワームは定期的に討伐隊も出すから、魔物も目立った物はいないし、野盗も街道整備に警護兵がいるから街の規模の割に安全だぞ」


「それなら、ワームに行ったらどうだ? ワームにならこいつで送れるぞ」


「ワームか? ただで運んでくれるならありがたいけど、手持ちあるかな?」


ジークは転移の魔導機器をテーブルの上に置く。

転移の魔導機器の効果を体験したため、良い提案だと思ったようではあるがパーティーのお財布事情など考える事はあるようで首をひねる。


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