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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
ドレイクの少女との出会い
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第5話

(……フィーナから始まってノエルか? 今日は何なんだ? まだ、朝なのにこんな調子だと他にもおかしな事が起きそうな気がする。って言うか、何なんだよ。親父もお袋も帰ってこないならせめて、俺の迷惑にならないように行動しろよな)


ジークは店内から出ると今日はおかしな事しか起きていないせいか頭を押さえて腰を下ろすと今日の原因を会った事のない両親のせいにしてため息を吐き、


(まぁ、何もしないでいるヒマはないよな。取り合えずは薬草に水でもやるか? 遊んでいる余裕はないからな)


販売用の治療薬の材料である薬草の世話をするために立ち上がると、


「ん。居た。ジーク、今日は店を開けないのか? 店の前に行ったら準備中になっているから、まだ、寝てるのかと思ったぞ」


村で小さな冒険者の店兼宿屋『赤い月亭』を営業している青年『シルド=ホーク』がジークを呼ぶ。


「シルドさん、ちょっと、いろいろありまして、店は準備中です」


「いろいろ? また、フィーナが店の商品を勝手に持ち出して売り物がなくなったとか?」


「……それもありました。あまりにいろいろありすぎてすっかり忘れてた。今日こそ、代金を回収しないと」


ジークはシルドを見て営業スマイルで返事をするがジークと同じく接客業をしているシルドの目は誤魔化す事は出来ず、シルドは苦笑いを浮かべながらフィーナと何かあったかと聞くとジークは肩を落としながら大きなため息を吐き、


「相変わらず、仲が良いな。そろそろ進展の1つでもしたらどうだ?」


「……冗談は止めてください。あいつはただの幼なじみです。それも俺の事を心配1つしないで迷惑かける厄介な」


シルドは変わらないジークとフィーナの距離に苦笑いを浮かべたまま聞くとジークはフィーナを恋愛対象とは全く見ていないようでもう1度、ため息を吐く。


「ジーク、鈍いのか目を逸らしているのかどっちだ?」


「どちらでもありませんよ。あいつが俺をどう思ってようが俺には恋愛感情なんてありませんよ。俺から見れば昔から人の後ろを追いかけてしつこい印象しかないんですから、昔はそれでも妹みたいには思ってましたけど、今は人の生活を脅かす厄介ものです」


「……確かに興味を引きたいからとは言ってもやりすぎって感じもするが、全てを理解していてその反応もどうなんだ? それはフィーナにとってはあまりに酷だぞ」


「そうかも知れませんけど、こればかりは仕方無いですね。少なくとも迷惑をかけ続けている相手を簡単に好きになるほど俺は殊勝では無いですよ。それで、朝から店にくるなんて何かありましたか? いつも受けている薬湯なら今月分はこの間、納めたばかりですよね」


シルドはジークの様子にジークが鈍いのかどうかを確認するとジークはフィーナの気持ちも知っている上で恋愛対象外と言い切り、シルドはそんなジークの様子にため息を吐き、これ以上はこの話を続けて欲しくないためかシルドが自分の店を訪れた理由を聞く。


「あぁ。それなんだけど、この間から小さな地震があるだろ?」


「えぇ、揺れ自体はたいした大きくはないですけど、ずいぶんと長い間、続くって感じのですよね?」


「あぁ、先日、うちの宿に泊まった冒険者が言っていたんだけどな。村から1日歩いたところに小さな遺跡があるだろ? そこの1部の壁が崩れて奥に繋がる道が出てきたらしいんだ。それでウチにも冒険者達が押し寄せると思ってな。薬湯の追加発注を頼もうと思ってな」


「へぇ、遺跡か? 奥に何があるのかな?」


「ん? 興味があるのか?」


「まぁ。遺跡の奥には菌類とか薬に使えるものもありますからね。最近は遺跡にも行ってないし、俺も行ってこようかな?」


シルドはジークに遺跡がさらに続いていた事を知った冒険者達を期待した先行投資だと言い、宿屋で使う薬湯を追加するとジークは大口の取引に頬を綻ばせながらも遺跡の中にあるかも知れない薬の材料に興味を持ったようであり、そこから繋がる金の匂いに目を輝かせると、


「……お前の実力は知っているけどな。先に行って荒らしてくるなよ。うちの売り上げにも関係してくるんだからな。だいたい、金を稼ぎたいだけなら、冒険者になれよ。おじさんとおばさんの血をひいているだけあって、この辺の冒険者なら余裕で倒せるだろ」


「わかっていますよ。俺は基本的に遺跡の中にどんな強力な武具が有ったって興味なんかないんですから、だけど、本の中でしか見た事のないような薬草があれば新しい薬が作れますしね。輸入物の無駄に高くて効果が安定しないものより、良い薬が作れれば良い儲けになりますしね」


シルドは勇者として名高いジークの両親の血を引いたジークの実力に遺跡は全て暴かれてしまうと危惧するがジークは苦笑いを浮かべながらそんなものに興味はないと言い切り、


「それじゃあ。昨日、仕入れてきた薬草を調合したら商品を持って行きますんでよろしくお願いしますね」


「あぁ。わかったよ。その代わり、さっきも言ったが、遺跡の中を荒らすなよ。名産もない小さな村なんだ。遺跡探検に来た冒険者が数少ない商売相手なんだからな」


「わかってますよ。それはウチも一緒ですから」


ジークは遠出をする時はシルドに良く売れる商品を預けているようでシルドに商品の販売を頼み、シルドは再度、ジークに念を押すと自分の宿屋に戻って行くのをジークは見送ると、


「遺跡の中には薬の材料になるようなものがあれば良いんだけど、そうと決まれば速いとこ残りの調合を終わらせて…………あ!? ノ、ノエルは泣きやんでいるかな? ま、まぁ、覗いてみるか?」


薬の調合を始めようとするが店の中でノエルが泣いている事を思い出してため息を吐く。


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