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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
カインの罠
470/953

第470話

「動きが違う? それは支援魔法が掛けられているのだから当然の事ではないのか?」


「そ、そうですよね。わたしの勘違いです。すいません」


ノエルの言いたい事が理解できずに眉間にしわを寄せるシュミット。

ノエルは彼の様子を見て自分の言葉を撤回して話を折った事を謝罪する。


「いや、ノエルさん、待って。詳しく聞かせて欲しい」


「で、ですけど」


「ジークの魔力に関して言えば、わからない事が多すぎるんだよ。だから、ちょっとした違和感でも解明するヒントになる可能性があるんだから」


言葉を撤回してしまったノエルにライオは1度、声をかけるが、ノエルは自信がない事もあり、首を振ってしまう。

彼女の姿にライオは小さくため息を吐くとジークにノエルのフォローを任せたいようでジークへと1度、視線を向けた後に説得を続ける。


「ノエル、話してくれ。俺自身はノエルの言う違和感ってのもわからないし、前にアーカスさんも俺の魔力についてさらっと何かあるって言ってたから、何かわかるかも知れないし」


「そう。アーカスさんがね。1度、話を聞いてみたいね」


ジークはライオの要請に頷くと頭をかきながら、ノエルに話をして欲しいと言う。

彼の言葉のなかにライオは自分が知らない事を1度だけ、会ったハーフエルフの魔術師アーカスが知っている事を聞きたいと思ったようで眉間にしわを寄せて頷く。


「ライオ」


「……わかっています。ノエルさん、お願いできませんか? それが私達の立てた推測と合致すれば、ジークの魔力についてわかる事も出てくるかも知れません」


ライオの興味が他にそれた事に気が付いたエルトは彼の名前を呼び、ライオは1度、咳をするとノエルにもう1度、彼女の気が付いた違和感について話すように頼む。


「ノエル、余計な事を言ってすまなかった。話を続けてくれないか?」


「……わかりました」


シュミットは自分が余計な事を言ってしまった事を素直に詫び、ノエルは彼の態度に逆に申し訳なくなってしまったようで表情を曇らせながら小さく頷く。


「それで、ノエル、俺だけが動きが違うってのはどう言う事だ?」


「は、はい。あの、何度かジークさんとフィーナさん、他にも先日、リアーナさんとバーニアさんに支援魔法をかけたんですけど、ジークさんは支援魔法の効果がある時間が長い気がするんです。後は気持ち、光が強いような気がします」


ノエルが話しやすいようにジークは彼女の発言を促すとノエルは1度、頷いた後に他の人間に支援魔法をかけた時とジークに支援魔法をかけた時ではジークの方が長い間、支援魔法の効果があると言う。


「光が強いのはわからないけど、光を包むのが長いと言う事は支援魔法の効果延長か……」


「そんなものは気のせいですわ」


「そ、そうですよね」


ライオは頷き、思案顔になって行くがカルディナはノエルの言葉は気のせいだと言い切ってしまい。

ノエルは肩を落とし、口をつぐんでしまう。


「カルディナ、何でも否定しようとしない。否定は肯定と同様に研究には必要な事だけど、否定だけでは何も進まない」


「は、はい。申し訳ありません」


ライオは2人の様子に小さくため息を吐き、カルディナをいさめるとカルディナは慌てて反省の言葉を口にするがノエル本人に謝罪する事は無い。

ジークはカルディナの態度に面白くないようで眉間にしわを寄せるが、今、文句を言っても何も変わらないと判断したようでカルディナへの文句を飲み込む。


「ノエルさん、支援魔法が長いと感じた理由はあるのかい?」


「は、はい。あの支援魔法を使うと対象者の身体を淡い光が包みますよね? わたし達が戦う時はまず初めにジークさんに速度を上昇させる支援魔法をかけるんです」


「確かにそうだな。俺が動いて引っかき回して、フィーナが止めってのが多いよな」


ライオはノエルに違和感を持った理由を聞くと、ノエルは自分達の戦闘パターンがノエルからジークの支援魔法で始まると告げる。

ジークもノエルと一緒に行動する時には定番になっているため、肯定するように頷く。


「は、はい。その後にフィーナさんや他の方に支援魔法を使うんですけど、最初に支援魔法をかけたのにジークさんの身体を光が最後まで包んでいるんです」


「……ノエルの性格上、気のせいって事も嘘って事もないね?」


「でしょうね」


ノエルは目で確認したと事だと話し、エルトはノエルの性格上、彼女が嘘を吐く事はないと思っており、両手を胸の前で組み考えこみ始める。

リュミナもノエルとは付き合いが短いが、わずかな間であってもノエルの裏表のない性格に好感を持っているようで苦笑いを浮かべて頷いた。


「ノエルさんの言ってる事にジークはどう思う?」


「いや、まったく気が付いてなかったから、さっぱりわからない」


「……意見を聞いたかいがないね」


ライオは支援魔法をかけられた本人であるジークに意見を求めるが、ジーク自身は気にもかけた事がなかったようで首を横に振る。

そんな彼の様子にライオは期待外れと言いたいのか大きなため息を吐いた。


「で、ライオ、ジークの魔力と支援魔法について何かあるのかい?」


「あるでしょうね。私達が推測したジークの魔力の特徴は増幅ですからね」


「増幅? ……」


ライオはジークの魔力の特徴を話すとジークはそれを繰り返した後に考え込むように眉間にしわを寄せる。


「……ジーク、もったいぶったわりにはしょぼいなとか思ってないだろうね」


「そ、そんな事は思ってないぞ」


「ジーク、その態度で思っていた事は明らかだ」


ジークの様子にライオは彼が何を考えているのか察しがついたようで小さくため息を吐く。

ジークはライオに核心を突かれてしまったようで慌てて首を横に振るが誰の目から見ても言い訳であり、シュミットはどこか呆れたように大きく肩を落とす。


「そんな事はない。聞いた事のない言葉が出てくると思ったから、気が抜けただけだ」


「それは、少し同意できるね」


「だ、だろ」


ジークは何とか自分を弁明しようとするとエルトも少し、バツが悪そうに同意し、仲間を得たジークは自分が悪いのではないと言う。


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