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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
カインの罠
455/953

第455話

「武器に支援魔法が使えるなんて知りませんでしたわ」


「たしかにな」


ノエルの支援魔法を受け、2匹目の巨大蛇を斬り伏せたリアーナは感心したように言う。

バーニアも支援魔法を武器にも付与できると言う事は先ほど初めて聞いた事であり、実際に見るまでは信じられなかったようでリアーナの言葉に同意を示している。


「……」


「ノエル、大丈夫か?」


「は、はい。大丈夫です」


ジークは2人の姿に苦笑いを浮かべていたが、ノエルの反応が弱い事に気が付き、彼女へと視線を向けた。

ノエルの顔には疲れが色濃く出ており、ジークは彼女を気づかうように声をかけるとノエルは慌てて何ともないと答えるがその様子から無理をしているのがわかる。


「バーニア、リアーナ、悪いんだけど、休憩させてくれ」


「そうだな」


ジークは2人に休憩を提案するとバーニアはノエルへと視線を向け、彼女の様子に休憩が必要と判断したようで頷く。


「だ、大丈夫です。休憩は必要ありません」


「そうか? ノエルは必要ないって言っても俺は休むけどな」


「ノエルが休まないと言っても、俺は巨大蛇こいつの解体作業をしてるけどな」


ノエルは足を引っ張りたくないと言う思いが強いようで首を横に振るがジークは地面に腰を下ろして先ほど川で汲んだ水を沸かす準備を始め出し、バーニアは巨大蛇の解体作業を開始する。


「……」


「ノエルも座りましょう」


ジークが休憩を提案しなくても、結局はバーニアが巨大蛇を解体している時間は動けない事を思い出したノエルの表情は納得がいかないようであり、彼女の様子にリアーナは苦笑いを浮かべる。


「で、武器に支援魔法をかけられるとどんな感じなんだ?」


「そうですね。私も初めての感覚ですから、何と答えて良いかわかりませんが……斬るより、鈍器に近い感覚でしょうか?」


ジークは魔導銃を使用している事もあり、武器に支援魔法と言う感覚がわからなく、リアーナに聞く。

リアーナ自身も初めての体験であり、似た感覚を探そうと考え始めると彼女の口から出た言葉は予想外の言葉である。


「ど、鈍器か?」


「は、はい。武器にかける事ができる支援魔法と言うのは武器自体の耐久度、防御力を上げる事のできる支援魔法になりますから、どうしてもそのような形になると思います。他にも魔法で火や水の属性を付与できる魔法もあるみたいなんですけど……」


その言葉にジークは苦笑いを浮かべるとノエルは支援魔法の説明をした後、他にも試したい魔法はあったようだが使えなかったと気まずそうに視線を逸らす。


「まぁ、そう言う事もあるだろ」


「今は剣が折れないようにするのが第一だから、その魔法で間違ってないだろ」


ノエルが落ち込み始めたため、ジークは彼女を元気づけようと声をかける。

バーニアも3人の会話が聞こえていたようでノエルの魔法の選択は間違っていないと言う。


「そ、そうですよね」


「最初から、間違ってるとは言ってないだろ」


「確かにそうですね」


味方を得て笑顔を見せるノエル。ジークは頭をかきながらノエルを1つも責めていないとため息を吐いた。

リアーナはジークの様子に苦笑いを浮かべると巨大蛇の血が付いた自分の剣へと視線を向けた。


「リアーナさん?」


「少し昔を思い出してしまいました」


ノエルはリアーナの様子に気が付き、彼女の名前を呼ぶとリアーナは少しだけ寂しそうに笑う。


「そうですか?」


「はい。バーニア、王都に戻ったら、剣を貸していただけますか?」


リアーナは踏ん切りが付いたのか、バーニアに剣の貸出を頼み。

彼女の言葉は予想外だったのかノエルはジークへと視線を向ける。その視線はジークにリアーナの説得を望むように求めているようにも見え、ジークは苦笑いを浮かべながら首を横に振った。


「リアーナさん、良いんですか? そ、そうだ。それなら、リアーナさんがその剣に支援魔法をかけれるようになれば良いんです。それなら、ずっと使えますよ。なんなら、わたしが支援魔法をお教えしますから」


「ノエルの気持ちはありがたいんですけど、決めた事ですから」


ノエルはリアーナに声をかけると支援魔法を使えば、リアーナの剣を長く使用できる事ができると言う。

しかし、リアーナはもう迷いはないようで笑顔で答える。


「良いのか?」


「はい。まだ役目を終えるには早いですから、それにリュミナ様を守るためなら、兄上も何も言わないでしょう」


ジークはリアーナの決意を確認するように聞くと、リアーナはこの剣に新たな活躍の場を与えたいと笑う。


「わかりました……」


「ノエル、結構、リアーナみたいな結論を出す人間は多いんだ。本人が納得してるのに他の人間が口を出すな」


「そうかも知れませんけど」


納得ができていないノエルの表情を見たバーニアはリアーナの意見を尊重するように言うが、ノエルはまだ納得できていないようでジークへと視線を向ける。


「……だから、俺に助けを求めてもリアーナの考えは変わらないだろ」


「そうですね。ただ、バーニア、私の剣が折れた時は何度でも鍛え直して貰いますからね」


「わかってる。さてと次を探しに行こうか?」


ジークは大きく肩を落とすとリアーナはバーニアにおかしな剣を作る事は許さないと言い、彼女の言葉の真意を理解したバーニアは大きく頷く。

バーニアが返事をした時、ちょうど、巨大蛇の皮を処理し終えたようで大きく身体を伸ばした。


「そうだな……と言いたいところだけど、必要はなくなったみたいだな」


「ですね。ノエル、お願いします」


「はい」


ジークがバーニアの言葉に頷こうとした時、バーニアの背後に怪しく光る6つの目を見つけ、腰のホルダから魔導銃を引き抜く。

リアーナはノエルを守るように彼女の前に立つと支援魔法を彼女に頼み、ノエルは両手で杖を握り締めると慌てて失敗しないように大きく深呼吸をする。


「……」


「バーニア、後ろです」


「マジかよ? ……でかいな」


バーニアは3人の様子に直ぐには状況を理解できなかったようであり、首をかしげようとするとリアーナは声を張り上げた。

バーニアは眉間にしわを寄せて後ろを振り返ると先ほど倒した2匹の巨大蛇より大きな個体が3匹、バーニアを睨みつけており、バーニアは顔を引きつらせる。


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