第43話
「光ってますね」
「そうだな。でも、光っているとは言え、これで何をするかはまったくわからないわけだけどな」
ジークとフィーナが赤い石を見ている事に気づいたノエルは駆け寄ってくるが、ジークはこの赤い石が光を上げ始めた理由がわかるわけもなく首を傾げる。
「ジーク、わからないって何かあるでしょ。光が1本の筋になって隠された扉を開くとか遺跡にお決まりの展開が、冒険者ならそれくらい言いなさいよ!!」
「……いや、俺、冒険者じゃないから」
フィーナはジークの様子に何か気の利いた事でもでも言えと叫ぶがジークの反応は冷静であり、2人の様子にノエルは苦笑いを浮かべている。
「でも、この石に何かあるんですよね。そうじゃないと光るわけありませんから」
「まぁ、そうだろうけど、それより、この部屋って何だろうな? 特別なものも置いていない。でも、これだけの遺跡の中にあるんだ。何か特殊なものがあると思うんだよ。例えばさっきの石人形を作る工房とか」
「工房? でも見るからに何もないわよ。まぁ、あんなのが何体も作りかけで置いてあったらイヤだけど」
ノエルは石が光を上げた理由を考えようと首を傾げるとジークは冷静に他の部屋の事から最後の一室が工房だと予想したようだが、この部屋にはこれと言った目立つものは何もなく、フィーナは大きなため息を吐く。
「それは同感。でも、そうじゃないと納得ができないんだよ。石の人形はここの守護者だとしてそれを作った場所があるはずなんだ。そして、守護者を置くなら、守るべきものがあるはず、だけど、ここには何もない」
「そうよね。目だったものも、売れそうなものも何1つなさそうよ」
「そうですね。ギドさんの言っていた聖剣も魔剣もなさそうですし」
ジークとフィーナは改めて、この部屋の物色するがやはり、特に目立った物はなく、ノエルが頷いた時、ジークの手の中で光っていた石が光を失う。
「消えた?」
「そうですね。時間切れでしょうか?」
「暗闇を照らすためだけもものだったって事か?」
ジークは石が光を失った事に首を傾げるとノエルは石を覗き込むが何もわかるわけもない、
「ジーク、1度、ギドのところに言ってみない? 何かわかるかも知れないし」
「あぁ。そうだな……また、光った?」
「ジークさん?」
フィーナは何もわからないため、他の部屋で調べ物をしているギドに何かわかった事はないか確認しに行こうと言うとジークは頷き、部屋を出ようと歩き始めるが、赤い石は再び、光を取り戻し、ジークは何か感じたのか石が光を失った場所に戻る。
「……この場所だと光らない? 他に光らない場所はないか?」
「ちょっと、ジーク、どうしたのよ?」
「何かあったんですか?」
ジークは石の光が失われる場所が他にもないか、石の光を確認しながら部屋の周りを歩き回り始めるがノエルとフィーナはジークが何に気づいたのかわからないようで慌ててジークに声をかける。