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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
カインの罠
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第417話

ジークとノエルはフォルムに戻るとノエルはミレットともに夕飯の準備を始め、ジークは居間でテッドから教わった事をまとめ始めた。

しばらくすると仕事を終えたカインがジークの姿を見つけ、彼の向い側の椅子に腰を下ろす。


「お帰り」


「あぁ、そっちもな……セスさんは?」


「セスなら、女の子達に捕まったよ。レインに事で、それで何かあったかい?」


2人は挨拶を交わすと、ジークは王都で有った事をカインに話さないといけないと思ったようであり、カインはジークのわずかな変化に気が付いたようで首を傾げる。


「相変わらずのレイン人気か……ラング様に頼まれたものを王城に持って行ったら、エルト王子に捕まった」


「……それは災難だったね」


「そうなんだけど、お前が災難だって言って良いのか? ……いや、お前はそう言う人間だな」


エルトに捕まった事を思い出してため息を吐くジーク。

彼の姿にジークとノエルに何があったか察したようでカインは苦笑いを浮かべた。

エルトに捕まった事を災難と言いきったカインにジークは少しだけ驚いたような表情をするが、直ぐに思い直したようで眉間にしわを寄せる。


「主君が間違った事を言ったら、正すのが臣下の役目だからね。必要なら、俺は言うよ。ただ、エルト様の場合、うるさいから、時折、無視もする」


「セスさんもシュミット様も無視をできたら良いんだけどな」


臣下としての主君の機嫌取りだけはやっていられないときっぱりと言い切る姿に、ジークはエルトに振り回されているセスやシュミットがかわいそうになってきたようでジークは肩を落とした。


「あー、やっぱり、今はシュミット様が振り回されてるのか? 大変だね」


「笑い事じゃないけどな」


「でも、その分、今は言いたい事を言い合ってるんだろうから、ルッケルでの事が起きる以前よりは良好な関係なんだろ。それなら問題ないよ」


カインはエルトとシュミットの姿が目に浮かんだようで小さく表情を和らげるとジークは頭をかく。


「そう考えると、お前がエルト王子の元に戻った方が良い気がするな」


「何か、刺がある言い方だね?」


「そう聞こえるのは俺のせいじゃない」


ジーク自身もエルトに巻き込まれている事で、エルトの暴走を抑えるのはカインにしかできないと思ったようで大きく肩を落とす。

ジークの言葉にカインはバカにされたような気がしたようで首をひねるとジークは無実だと言いたいようで首筋を指でかく。


「そう言えば、カイン、エルト王子がセスさんを王都に戻したいような事を言ってたぞ……セスさん、お帰りなさい」


「ただいま戻りました」


ジークはエルトにカインとセスの事を勘付かれた事を話さないといけないと思ったようであり、話そうとした時、タイミング悪くセスが屋敷に戻ってくる。

ジークの言葉はカインとお互いの気持ちを確認したばかりのセスにとっては大問題であり、動揺してしまったようで持っていた荷物を床に落とすが平静を装うとしているのかジークとカインに向かって頭を下げると落した荷物に手を伸ばす。


「お帰り、セス」


「タイミング、悪いな」


「ジーク、今の話はどう言う事でしょうか?」


落ちした荷物を拾い上げているセスの姿にジークは眉間にしわを寄せる。

セスはカインの隣に座ると先ほどの話の続きを聞きたいと思ったようで笑顔でジークに聞く。


「えーと、王城でエルト王子に捕まった時に、俺がばあちゃんの資料から少し距離を取った事を話したら、セスさんは手が空いたって話になって、何より、転移魔法を使える人間を手元に置きたいだけだろうけど」


「だろうね。のらりくらりと転移魔法を使える魔術師をエルト王子のそばに置かないようにしてるからね」


「……カイン、やっぱり、お前が手を回していたか」


セスの笑顔にジークは彼女を落ち着かせるように王城であった事を正直に話す。

カインもどこかでエルトが王都から席を外すのは避けたいと思っているようで転移魔法の使い手をエルトのそばに置かないようにしており、ジークは大きく肩を落とした。


「まあね、セスに転移魔法を教えてしまった事に少しだけ後悔したからね。ジーク達と知り合った事が拍車をかけちゃったんだけど」


「……それはお前が俺達を巻き込んだせいだろ」


エルトが転移魔法で多くの場所を見たがる事はジーク達と出会い世界が広がったせいではないかと言うカインだが、ジークは自分のせいにされたくないようで眉間にしわを寄せる。


「それより、ジーク、エルト様に説明をしてきてくれたのですか?」


「セスさん、近い。一応、俺とノエルが言うのはおかしいと思ったから、話して来てはないけど、エルト王子が近いうち、フォルムに来たいって話をしてた。後、リュミナ様がセスさんやフィーナ達にもお礼が言いたいって言ってた。俺とノエルの様子を見て、エルト王子は2人に何があったかは察してくれて見たいだけど」


セスはジークが上手く説明をしてくれてきた事を望んだようで彼と距離を詰めて聞く。

ジークはセスから一定の距離を取ると王城でエルトの提案とリュミナがお礼を言いたがっていた事を話す。


「確かに説明はしてこないといけないかな? 後は将来さきの事を考えるとセスの家にも挨拶をしにいかないといけない」


「そうですね」


カインとセスは主君であるエルトには報告をしなければいけないと思ったようで顔を見合わせた後に、何かあるのか眉間にしわを寄せた。


「どうかしたのか?」


「いや」


「セスさんは名家の御令嬢ですからね。カインは領主になったとは言え、地方領主で平民出身、反対が起きる可能性は高いですよね」


2人の様子に何が起きたかわからないジークは首を傾げていると、3人の話が聞こえていたのかミレットが難しい顔で言う。


「盗み聞きをしたような形で申し訳ありません」


「いや、構わないよ。一緒に住んでるわけだし、別に隠す事でもないしね」


ミレットは話を立ち聞きしてしまった事を素直に詫びるとカインは同じ屋敷に住んでいる事だから仕方ない事だと笑った。


「カ、カインさん、セスさん、それはいったいどう言う事ですか!?」


「ノエル、ちょっと、落ち着こうな」


しかし、ミレットと一緒に3人の話を聞いていたノエルには大問題に聞こえたようでの慌てた様子で3人に詰め寄るとジークはため息を吐きながら彼女を引き離す。


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