第41話
「……コレハイマヨリカナリマエノマホウモジダナ。ワカッタ。ソノカワリタンサクヲマカセルゾ」
「あぁ。それじゃあ、人数も集まったし、俺はもう1つの部屋を見てくる」
ギドは本を1冊手に取るとパラパラとページをめくり、何とか読めそうだと頷き、部屋を出ようとするが、
「フィーナ、お前はおかしな事をやって物を壊すなよ」
「ジーク、あんたね」
振り返ると先ほど、祖母の部屋をめちゃくちゃにされた事もあるため、フィーナに足を引っ張るなと釘を刺し、フィーナの怒りの声が部屋には響き、
「あ、あの。フィーナさん」
「わかってるわ。ノエル、手伝う事ってある?」
「は、はい。お願いします。私では届かない場所もありますから」
ノエルはジークとフィーナの様子に苦笑いを浮かべながらも部屋の探索に戻る。
「……こっちは何があるかな」
ジークはフィーナが怒りに任せて自分を追いかけてこない事に少しだけ安心したように口を緩ませながらも寝室の対面にある部屋のドアを開けると、
(キッチンみたいな感じかな? ……そうなるとカギがあるとしたらあっちの部屋かな? まぁ、何かあるかも知れないし)
こちらの部屋はキッチンのようであり、遺跡の入口が埋まっていた事から考えると大きな地震が過去にあった事が理解出来るくらいに食器が床に落ちたのだろうか床には食器だったものが砕けて散らばっている。
(……こっちはずいぶんと荒れてるな。寝室はキレイになっていたのに、まぁ、魔術師が住んでいたみたいだから、本には被害がでないような魔法がかかっていたのかな?)
ジークはまだ原型をとどめている皿を1枚拾いあげながら、寝室とのあれ具合の差に疑問を持ちながらも食器棚に目を移すと、
(ん? これって、魔法薬か? だとしてもいつのものかわからないし、使えるかは微妙だな)
いくつか、割れていない小瓶が置いてあるのに気づき、手に取るがこの遺跡がいつの時代のものかわからないため、眉間にしわを寄せながら魔法薬の状態を確認しようとふたを開ける。
(……と言うか、効果も効能もわからないしな。過去の魔法薬なら分析しても何かわからないかも知れないし、それでも何かわかれば良いか。ばあちゃんの本に書いてあるものかも知れないし)
ジークは魔法薬に価値がないと思ったようだが手ぶらでは帰るわけにもいかないため、魔法薬をカバンの中につめ始めると、
(ん? 何だ。これ? ……宝石? 何かのコア?)
魔法薬の小瓶が置いてあったところの奥に先ほど石の人形に使われていた赤く光る石の一回り小さい石がある事に気づき、手を伸ばし、
「これ、さっきの石の人形のコアに使われてたものと同じだよな? ……今更だけど、あのドアを開けたら、びっしりと並んだ石の人形とかあったりして」
あまり考えたくない悪い考えが頭を過り、顔を引きつらせた時、
「ジーク、カギ、有ったよ」
「はい。ジークさん、見つけました」
カギを見せびらかすように手に持ったフィーナがドアから顔を覗かせ、フィーナに続くようにノエルも顔をのぞかせ、
「あぁ。こっちはこれと言った収穫はなしだ」
「そうなんですか?」
「それなら、早くこのカギでドアを開けようよ。お宝とのご対面よ」
ジークは2人の声に驚いたようでなぜか慌てて赤い石をポケットにねじ込むがノエルもフィーナもジークの行動には気付かなかったようでカギのかかった部屋のドアを開けようとジークを呼ぶ。