第40話
「……寝室かな?」
「そうみたいですね」
ドアを開けると部屋は寝室のようであり、人間サイズのベッドと本棚などが置かれている。
「とりあえずはカギもだけど、何か使えそうなものはないか?」
「使えそうなものですか? 勝手に良いんですか?」
「遺跡探索で見つけた物は正当な報酬だよ。勝手にって言うけど、この部屋の状況や遺跡の入口が埋まっていた事を考えるとずいぶんと昔にこの部屋の主はなくなっているわけだしね」
ジークは魔導銃を片方潰してしまった事もあるため、何か収入になるものを回収しないと割に合わないためか部屋を物色し始め、
「本は……読めないな。ノエルは読めそうか?」
「いえ、見た事もない言葉です」
「ギドなら何か読めるのかな? 数冊、見て貰うか?」
本棚の本を開くが2人が読む事のできない文字で書かれており、2人は首を傾げるとジークは魔法使いであるギドなら読める本も混じっているかも知れないと考え、適当に2冊本を取った時、
「ジークさん、これってここに住んでいた人ですかね?」
「ん? 待って、今行くから」
ノエルが何かを見つけたようでジークを呼ぶ。
「ここに住んでいた人達って? 絵か?」
「はい。それもこの女性の方なんですけど」
「金色の瞳に2本の角? この人ってドレイクか?」
ノエルは壁にかけてあった絵に何かを感じたようでジークはノエルが気になっている絵を覗き込むとそこには1組の男女の絵が描かれており、その女性にはノエルと同じようにドレイクの象徴でもある金色の瞳と2本の角が描かれている。
「たぶん、そうだと思います。そして、男性の方は」
「人間っぽいよな。昔にもノエルと同じ考えを持った人達が居たって事か? でも……」
「そうですよ。きっと居たんです」
男性の方は人間のように見え、ジークはノエルが考えている種族間の争いを阻止しようと思った人達は居たのだと思ったようだがこの2人がこんな遺跡の奥に住んでいた事や今の世界に種族間の争いは絶えない事にその考えは失敗した事は直ぐに理解でき、言葉を飲み込むがノエルは自分と同じ考えがいたと言う事実だけしか見えていないようで笑顔を見せる。
「まぁ、実際はわからないな。絵だし、ここに住んでいた人とは限らないわけだしな。それより、カギを探そう。時間はあまりないし」
「は、はい。そうですね」
ジークはノエルの様子にこの2人が失敗した事は話さないと決めると奥の部屋のドアを開けるためにカギ探しを再開させようとした時、
「ジーク、ノエル、いる?」
「フィーナさん、ギドさん」
フィーナとギド達ゴブリンが階段を見つけて追いかけてきたようでドアから顔をのぞかせ、
「追いついたか?」
「アア、シバラクアルイテイタラ、イキナリアカリガツイタカラナ」
「フィーナとギド達は一緒に歩いていたのか?」
「ええ、それも通り過ぎた後に後ろで灯りが点いたのよ。意味がわからないわよ」
フィーナとギドは灯りが点いた後に部屋を見つけたようであり、
「そうか……ってなると、やっぱり、カギはドレイクと人間か?」
「何? どうかしたの? ジーク」
ジークは考えていた条件が正解だった事に何かあるのか考えるような素振りをするとジークの様子にフィーナは首を傾げるが、
「いや、何でもない。ギド、悪いんだけど、ここの本棚の本を見てくれるか? 俺とノエルじゃ読めなかったから、何かないかと思ったんだけど」
ジークは何もないと言うとギドに部屋にある本を調べて欲しいと頼む。