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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
カインの罠
395/953

第395話

「……で、あんた達、結局、何しに王都まで言ってきたの?」


「何しに行ったんだろうな」


ジークとノエルは屋敷の中に入ると部屋を見回したのだが、屋敷内はどこもキレイに片付いており、結局、何もする事はなく、時間も遅くなったため、ライオとの話し合いは後日にし、フォルムに戻った。

フィーナは食事の準備を始めているジークとノエルの背中を見ながらため息を吐くと、ジークはラングが何のためにメルトハイム家の旧屋敷にジーク達を行かせたかわからないため、大きく肩を落とす。


「あ、あの。ちゃんとリュミナ様を王都に送り届けてきたじゃないですか?」


「と言うか、それもよ。ザガードのお姫様がウチの国の王族を名乗って良いわけ? それもいきなりエルト様の婚約者? ……リュミナ様も災難ね」


2人の様子にノエルは苦笑いを浮かべて、無駄な事はなかったと言うが、フィーナはいきなりの展開にため息を吐くもそれ以上にリュミナの事が心配になったようで眉間にしわを寄せて首をひねった。


「災難かどうかは別として、ラング様は何を考えてたんだ? 依頼を受けてたって収入も何もないだろ? それはそれでバカにされている気しかしないんだけど」


「バカにされているかはわかりませんけど、どうしてなんでしょうかね? 何か意味があるとは思うんですけど」


「そんな気はするけど、さっぱりだ」


ラングがジークにメルトハイム家の屋敷を見せたかった理由がわからないが、何か意味がある気はしているものの、見当もつかない。


「で、その件についてはあの性悪はなんて言ってるの?」


「カインが何か気がついていて簡単に俺に言うと思うか?」


「言わないわね」


カインならラングの思惑に何か気がついているのではないかと考えたフィーナだが、彼の性格を考えるとジーク達が悩む姿を楽しんで見ているような事もするため、カインの日頃の行動がさらに2人に難題を押し付ける形になっている。


「あの、もう少し、カインさんを信じてあげても良いんじゃないでしょうか?」


「まったくだね。それが2人をフォルムに送り届けてから、ラング様の考えを確認しに行った俺への言葉かな?」


「……そう思うなら、ラング様が何を考えているか話せ。と言うか、エルト王子からの命令があった事を片付けに戻っただけだろ」


ノエルは2人の様子に大きく肩を落とすと、3人の話を聞いていたのか、カインがキッチンに顔を出す。

カインはエルトからの命令を王都で済ませてきたようであり、ジークとフィーナの自分への評価は心外だと言いたげだが、ジークは胡散臭い言い方の多い彼の様子に大きく肩を落とした。


「まぁ、それも済ませてきたけどね。後、ちゃんとラング様にも報告はしてきたよ。ジーク達は屋敷の様子に改めて、洗剤等の購入は必要ないと判断したと報告書も添えてね」


「……ラング様、怒ってなかったか?」


「わたし達、考えようによってはご依頼を受けないって言ったわけですしね」


カインはラングからの正式な依頼だった事もあり、報告書を上げてきたと言うと、正式な手続きをカインがしている事に、シュミットの言っていた言葉を思い出したようでジークとノエルはラングが気分を害していなかったかと聞く。


「大丈夫。大丈夫。逆に掃除が必要だと言ってた方が怒ったかもね。ジークとノエルの人となりを見るためだったみたいだし、2人に謝ってくれって言ってたよ」


「何だ。それは?」


「ジークは今はばあちゃんの栄養剤があってラング様に一定量の栄養剤を納めているけど、商品は信頼できてもジークを信頼できるかは限らないだろ。賞品がいくら信頼できても引き続き取引するかどうか考えるためだったんじゃないかな?」


「……お前が言うと酷く胡散臭く聞こえるのは何でだろうな?」


ラングの目的はジークとノエルを見るためだったようであり、ジークは納得ができないようで眉間にしわを寄せた。

カインは自分の考えを述べるがその言葉は当たり障りのないものであり、ジークは何か納得がいかなさそうである。


「それは悪かったね。後、一応はジーク達はエルト様とリュミナ様の婚約パーティーとかには出れる立場じゃないけど、その時は俺の従者とし同行する事の許可も貰ってきたから」


「……それはそれで良いのか? と言うか話がいきなり飛んでないか?」


「その前に、わたしが出ても良いんですかね?」


カインはジークの様子に苦笑いを浮かべた後にリュミナを公式の場で紹介する時に3人を同席させる事が出来る許可を貰ってきたと言う。

ジークは話が飛びすぎているとため息を吐くとノエルは自分が言っても良いのかわからずに苦笑いを浮かべる。


「飛んではいないよ。エルト様の事だから、ジーク達を同席させたいと言うだろうけど、ラング様や国王様から見れば、3人を判断するには情報が足りなかったんだろうね。ノエルに関しては問題ないと思うよ。その魔導機器について言えば現状では能力を消せる人間は魔術学園にもいない……きっと」


「せめて、自信を持って言ってくれ……と言うか、他に何かあるのか?」


カインはジークとノエルの心配はわかるようだが、問題はないと答える。

ジークはカインの自信なさげの言い方に他の問題が浮かび上がってきたと思ったようで首を傾げた。


「何かあるかと言われるとジークやノエルはやろうと思えば礼儀作法は覚えられると思うんだけど……どうして、ここまでガサツに育ったかな?」


「何よ?」


カインの心配事は公式の場にフィーナを出した時の事であり、フィーナの顔を見るとどうして良いのかわからないようで大きく肩を落とす。

フィーナはカインの態度が面白くないようで頬を膨らませる。


「……確かに大問題だな」


「そ、そんな事もないと思いますよ」


「フィーナ、お前が何と言っても、周りは地方領主の妹と認識するんだ。無駄にはならないから、レインやコーラッドさんにしっかりと礼儀作法を教わってくれ」


ジークとノエルはカインの言いたい事がわかるようで顔を見合せて苦笑いを浮かべ、カインは自分ではフィーナに物を教えられないと判断しているようでその表情には絶望の色が漂っている。


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