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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
カインの罠
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第391話

「メリットねえ……まぁ、落ち着いてくれると俺としても助かるんだけど」


「で、ですけど、やっぱり、そう言うのはお互いが好きになった相手じゃないと」


王族や貴族には彼らにしかわからない事もあるというのはエルト達と知り合った事で理解できているのかジークは良くわからないと言いたげに首筋を指でかく。

ノエルは納得をしているジークを見ながらも納得はできないようで小さく肩を落とすとリュミナへと視線を移す。


「ノエル、心配しなくても良いですよ」


「で、ですけど」


流石にジーク達の話は内緒話になっておらず、リュミナだけではなくリアーナ達騎士達にも聞こえている。

ノエルと目があったようでリュミナは心配いらないと言いたいようで首を横に振るが、騎士達はリュミナをエルトの婚約者にして良いのか判断がつかないようで難しい顔をしている。


「……俺が聞いて良いのかわからないけど、本当に良いのか?」


「本当にそうなるかはわかりませんし、元々、私達王族は恋愛と言うものからかけ離れていますので、ザガードに居ても恋愛で男性と結ばれるような事はありませんでしたから」


「王族や貴族は結婚したその日に初めて相手の顔を見るって事も多々あるらしいからね」


リュミナ自身もどこか割り切っている事もあるようであり、ジークやノエルに心配しないようにと笑顔を見せた。

その姿にジークとノエルは何と言って良いのかわからないようで言葉を飲み込むとカインはある種王族の宿命だと言いたいようで小さくため息を吐く。


「それはわかっています。しかし……」


「リアーナ」


リアーナは騎士として仕えてる事あり、頭では理解できているものの感情では納得できないようで眉間にしわを寄せて両手を組んでいる。

しかし、リュミナはそれ以上は言ってはならないと首を横に振った。


「来たみたいだな」


「そ、そうですね」


その時、リュミナの処遇が決まったようで部屋のドアをノックする音が響き、部屋にいた全員の視線はドアに集中する。


「遅れて悪かったね」


「……カイン、お前は何やりたいんだ?」


ドアを開けたのは使い魔を部屋の中に紛れ込ましていたカイン本人であり、使い魔と本人の同時の登場にジークは眉間にしわを寄せた。


「あの、と言うか、カインさんは話し合いの方に参加していたんですから、状況を説明してくれていても良かったんじゃないでしょうか?」


「そうは言っても色々と大変なんだよね……リュミナ様、メルトハイム家再興について結論が出ましたのでこちらへ」


「はい」


ノエルはカインのやりたい事がわからずに大きく肩を落とす。

その姿にカインは苦笑いを浮かべた後、表情を引き締めるとリュミナに向かい頭を下げる。


「ジーク、ノエルもついてきて」


「俺とノエルも? ……問題ないのか?」


「問題あってもラング様のご指名だからね」


カインはジークとノエルにもついてくるように言い、ジークはノエルがドレイクだとばれてしまう危険性があるため、ノエルの安全を優先にしたいようである。

カインはラングが2人を呼んでいる事を話すも、ノエルがドレイクだとばれないように何か考えないといけないと思っているのか眉間にしわを寄せ、頭をフル回転させているようにも見える。


「そうか……でも、俺とノエルは正装でもないけど」


「謁見の間ではなく、ラング様の書斎だから、とりあえず、そのままでも良いってさ。ごねると逆に何かあるんじゃないかって思われるぞ」


「わかった」


ジークはどこか処刑台に上げさせられる気分なのか、彼の眉間のしわは深くなって行く。

そして、逃げ道を探そうと考えたようで王族に会うような姿ではないと言うが、ラングはジークの考える事など見透かしているようで、カインも素直に従った方が良いと言う。


「失礼します。リュミナ様をお連れしました」


「入れ」


カインの案内で王城のラングの書斎へと到着すると、ラングから入室の許可が出る。

ドアを開けるとラングの書斎にはエルト、ライオ、ラング、シュミットが待っており、国王は席を外してはいるもののハイム王国の権威が集まっており、書斎の中は緊張感が漂っているのがわかる。


「リュミナ=メルトハイム」


「は、はい」


王位継承権末席のシュミットがリュミナに席に座るように言い、他の者はそばに控えているとラングがリュミナの名前を呼ぶ。

その家名はザガード王家のものではなく、再興すべき『メルトハイム家』のものであり、リュミナは慌てて頷く。


「ジークさん、一先ずはメルトハイム家としてリュミナ様は受け入れて貰えるって事ですよね」


「そうだな」


「ノエル、静かにしていてね」


ノエルはラングの口から出た言葉に一先ずは安心したようで胸をなで下ろすが、カインは口を慎むようにと彼女に言う。


「いろいろと説明したいところだが、カイン=クロークが同席していたのだ。すでに話を聞いていると思うが。お主にメルトハイム家の再興を任せたい。リュミナに仕えし者達は引き続き、リュミナを支え、家のため、国のために尽くすように」


ラングはカインへと視線を向けた後に小さく口元を緩ませるとリアーナ達にリュミナの臣下になるように告げ、騎士達はその使命を喜んで受ける事を宣言する。


「もう1つ、リュミナよ。ザガードからの亡命を言う事もあり、お主の立場は非常に危険なものだと言う事は理解しているな?」


「はい」


「そのため、お主の身柄は第1位王位継承者であるエルト預かりとする。エルト領地や住居に関してはお主の裁量で行え」


ラングはリュミナの身柄をカインが進言した通り、エルト預かりにする事を告げると1度、言葉を止めた。

その様子から、ラングはエルトからの次の言葉を待っているようで、エルトへと視線が集まる。


「はい。リュミナ、しばらくは私の別宅に住んで貰う事になる。メルトハイムの領地は残ってはいるが主がいなくなってかなり経つので住めるまで時間がかかりますから、後はカイン、お前の知り合いで領地運営に明るいものを数名、紹介して欲しい。優秀なら家名は問わない」


「はい。すぐに優秀なものを用意します」


「わかりました。エルト様、お願いします」


エルトはリュミナを一時的に自分が預かる事を了承するとメルトハイムを再興するにはやはり、メルトハイム家の領地に彼女を戻した方が良いと思っているようである。

リュミナは1人で領地運営などは大変だと思ったようでカインの人脈を頼ると言う。

顔を知っているエルトの元の方が安心だと理解しておりリュミナは素直に頷き、カインはすでに何人か当たりを付けているようで小さく表情を緩ませた。


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