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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
カインの罠
390/953

第390話

「きっととはどう言う事でしょうか?」


「メルトハイム家再建とリュミナ様の安全は問題ないと思うよ。シュミット様がザガードの王女様って事で暗殺とか裏があるんじゃないかと思っているけど」


「……あの小者が言う資格はないだろ」


カインのつぶやきなど聞こえなかったようで、リアーナはきっとと言う不確定の返事では安心できないようでもう1度聞く。

その真剣な面持ちにカインはシュミットが反対しているものの、集まっている王族ではおおむね賛成と言う結論が出ている事を告げた。


「本当ですか。リュミナ様、おめでとうございます」


「はい」


リアーナ達はリュミナの安全が確保できた事に胸をなで下ろすと少しだけ緊張が緩んだのか、その表情は緩み始めている。


「で、カイン、もっと、面白い事ってのは何だ?」


「聞こえてた? まぁ、リュミナ様も関係あるけど、基本的にはエルト様の事だね。国王様とラング様、エルト様に睨みをきかせる事ができる人間2人と同席する機会ってなかなかないから」


「それはエルト様がお説教されているという事でしょうか?」


騎士達が胸をなで下ろしているのを横目にジークはカインに問うとカインは少し話すか悩んだ後にリュミナより、エルトの問題が大きくなっていると言う。

公務を抜け出す事の多いエルトの事であり、ノエルはエルトが処罰を受けてしまうと思ったようで心配そうに表情を曇らせる。


「いや、いつまでもふらふらしてないで嫁の1人くらい貰えって」


「あー、確かにエルト王子は自分が国を継ぐという事は考えていても行動が理想と一致していないからな!? 突くな!? 目は危ないだろ!?」


「そう言うわけでもないんだけどね。あの行動には意味があるんだけど」


話し合いの話題はいつの間にかエルトの婚約者問題に移行しているようであり、ジークは王都を1人で歩きまわっているエルトの姿を思い出したようで大きく肩を落とした。

ジークがため息を吐いている姿にカインはエルトの事を誤解しないで欲しいと思っているようであり、カインの使い魔はくちばしでジークの眼球を狙う。


「あの、カインさん、意味があるとはどう言う事ですか?」


「一応、俺がエルト王子に街並みの様子を見て回って欲しいって進言したわけだしね」


「お前の仕業か?」


エルトが公務をサボるのはカインが昔、言った事が原因のようであり、ジークはエルトが王都を1人で歩く危険を充分に理解していないと思っているため、カインの使い魔を睨みつける。


「まぁ、護衛を1人も付けないで動き回るのはさすがに呆気に取られたけどね」


「誰だってそう思う」


カインもエルトの行動は予想外だったようであり、大きなため息を1つ吐くと、ジークも同感だと言いたいようで眉間にしわを寄せた。


「あの、カインさん、カインさんは何の目的があって、エルト様に王都を見て回るように進言したんですか?」


「何って、国を継ぐつもりなら国民達の生活にも目を向けるようにって事、騎士達や貴族以外にもっと他の職人や普通に生きる人達の事を自分が守るべき人達の顔や生活を見る事がこの先、きっと役に立つからって」


「確かにエルト王子は俺達の仕事にも理解はあるけど」


カインは国民なっての王族である事をエルトに理解して欲しいと思っていたようであり、ジークは自分のような調合師やジオスで村の年寄り連中と雑談を交わしている姿が目に浮かんだのか苦笑いを浮かべる。


「だけど、王子様が護衛も付けずに1人で歩きまわってるのは不味いよな? エルト王子は民の顔を見るために歩きまわって、ライオ王子は自分の興味本位優先だからな……民としてはエルト王子の方がやっぱり良いよな?」


「そうですね」


研究者気質のあるライオより、王としての資質はエルトにあるように思えたようでジークはポリポリと首筋をかき、ノエルは苦笑いを浮かべた。


「それに関してはラング様もある意味、賛成してくれているんだけど、やっぱり、王子としてはふらふらと歩きまわれると困るんだよ。それをどうにか押さえつける方法はないかって」


「それが婚約者を作るって事か? ……確かに面白い事かも知れないけど、今、話し合いする事なのか?」


「そりゃあね。仮に今、エルト様の婚約者を決めるとなった時、貴族や有力商家が自分の娘をと近寄ってくるだろ?」


エルトの王都探索は国王から見ると落ち着きがないようにしか見えないようであり、次期国王として落ち着きを持ってもらいたいようでその方法に婚姻を結ばせるのが良いと思っているようである。

ジークは何となく、国王が考えている事も理解できているようだが、それはリュミナを待たせてまでする話ではないと思ったようで首をかしげた。

しかし、カインは今だからと考える国王やラングの意図がわかっているようであり、その口調は楽しげである。


「まぁ、自分の娘が第1王子の婚約者になったら、大きな権力が手に入るよな」


「そう言う事、でも、貴族や商家が王族と繋がりを強くして権力を持つのは避けたい」


「だろうな」


エルトに婚約者を探したい物の婚約者選びは慎重に成らざる終えなく、その話し合いに時間がかかっているように見える。

ジークは権力を欲しがる理由はあまりわからないようだが、面倒なものだとは理解できているのかため息を吐く。


「あの、それがリュミナ様とどう関係があるんですか?」


「この国で権力を欲しがるような人間以外で次期国王の婚約者として申し分のない人ってジークの知り合いでいない?」


「……いない事もないけど、言って良いのかわからないけど、ザガードの姫だぞ」


国王達はエルトの婚約者の位置にリュミナを置こうとしているようであり、カインは含み笑いを浮かべる。

ジークは今のタイミングでは1人しか思い浮かばず、眉間にしわを寄せてリュミナへと視線を移す。


「それって、ダメです。そう言うのはお互いが!?」


「……ノエル、少し黙っていてくれ」


「ここら辺はけっこう生臭い話にもなるし、ジークやノエルには聞かせたくないんだよね。まぁ、メリットはリュミナ様にもあるし、無理強いはしないと思うけどね」


ノエルはお互いの気持ちがあって結ばれるものだと思っており、声を上げようとするが、ジークは彼女の口を手で塞ぐ。

その様子にカインはノエルの言いたい事もわかるが、王族では立場も違うと言いたいようでその声はどこか割り切ったものである。


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