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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
カインの罠
388/953

第388話

「……また面倒なのが増えた」


「ジーク、その言い方はないんじゃないかな?」


リュミナの事もあり、ライオがくるのは想定内だったのだが、予想外のカルディナの登場にジークは顔をしかめる。

ジークの表情に気が付いたライオは自分が言われたと思ったようで少し不機嫌そうな表情で言う。


「いや、ライオ王子の方じゃない。おっさんの娘の方」


「ジークさん、その言い方もどうかと思いますけど、ラース様には最近、お世話になっているわけですし」


ジークはカルディナにはあまり良い印象もないため、首を横に振り、ノエルはルッケルとワームの連絡係でラースに世話になっている事もあり、気を使った方が良いと彼の服を引っ張る。


「確かにおっさんには最近は世話になってる。それにレギアス様から色々と聞いた事もあるから、とっつきやすい気もするが……それとこれとは別だ」


「相変わらず、ムカつく男ですわね。せっかく、カイン様に会えましたのに」


「あ? こっちのセリフだ」


ノエルの言葉でジークは少し冷静になろうと大きく息を吸うが、それでは怒りは収まらなかったようであり、眉間にしわを寄せた。

その様子にカルディナもジークには良い印象も持っていないようでジークを睨みつけ、ジークは大人気なくカルディナを睨み返し、2人の視線の中間では火花が散っている。


「カ、カインさん」


「ジーク、話が進まないから落ち着け、大人気ないぞ。カルディナ様もです」


2人の様子にノエルは泣き出しそうな声でカインに助けを求めると、カインは1つため息を吐き、2人に落ち着くように言う。

カインの言葉にジークとカルディナは忌々しそうにお互いを睨みつけた後に互いに視線を外す。

そんな2人の様子にノエル、エルト、ライオは苦笑いを浮かべ、カインは眉間にしわを寄せると大きく肩を落とした。


「久しぶりだね。フィーナさんはいないのかい?」


「あぁ、あいつはカインに拉致されてフォルムでレインと一緒に周辺の調査だったり、狩りしたりしてる。カインから聞いてないのか?」


「拉致って言い方は止めてくれないかい? 一応は冒険者として依頼をしてるんだから、依頼料は出す気なんだから」


ジークとカルディナを引き離すとライオはエルトの隣に腰掛け、フィーナがいない事に気づき首を傾げた。

ジークはカインに強制労働されている気もしているようであり、ため息を吐くとカインはおかしな事を言わないで欲しいと頭をかく。


「そうなんだ」


「依頼料でるのか?」


「ジークさん、今はそのお話は必要ないんじゃないですかね? カインさん、ライオ様にリュミナ様のお話ってされたんですか?」


苦笑いを浮かべるライオの隣で、ジークはカインが依頼料の事を考えているなど信じられないようで眉間にしわを寄せた。

ノエルは余計なそろそろ、国王とラングにリュミナを引き合わせる時間が近づいている事もあり、カインにライオに説明を終えているかと聞く。


「説明しようと思ったんだけどね」


「はっきりと決まるまで周囲には話さない方が良いからね」


「兄上、カイン、カルディナを連れてきてはやはり行けなかったのですか? ジークとノエルさんがきてるって言うから情報交換にちょうど良いと思ったんだけどね」


カインはカルディナの登場で説明するタイミングを逃してしまったようであり、困ったように笑うとエルトはメルトハイム家再興の話はまだ他の人間に話すべきではないと思ったようでカインの判断は正しいと言う。

2人の様子にライオはそこで初めて、カルディナを連れてきた事が失敗だと気が付いたようでカインから視線を逸らす。


「……話を聞かないのは血筋だからな」


「ジークさん、思っていても言ったらダメです」


エルトもライオも1度決めると突っ走る傾向があり、ジークは眉間にしわを寄せるとノエルは余計な一言の多い彼をいさめる。


「カイン、それでどうするんだ? 流石にライオ王子に説明しないでその場に引っ張り出すのは不味いだろ?」


「不味いだろうね。それにライオ、その格好ではダメだよ」


「そう言われると兄上は正装ですね」


カルディナはカインから離れそうにもなく、ジークはライオへの説明をどうするかと聞くと、エルトはカルディナに抱きつかれて珍しく困り顔のカインの姿が楽しいのかくすくすと笑うとライオに着替えてくるように言う。

ライオはその言葉で初めて、エルトが正装をしている事に気づく。


「ライオ、研究に熱心なのは良いけど、もう少し、周りを見てくれるかな? 私が呼び出しているわけだし、王城に戻ってきて貰わなくても良い話なら、私が学園を訪ねれば良いんだから」


「確かに兄上は学園に顔を出していますからね」


「いや、王城以外で王子2人が軽いノリで会うな」


エルトはライオに状況を理解するように言うとライオはカインと言う使いがきた事に疑問を持ったようで首をかしげる。

そんな2人の様子にジークは納得いかないものが混じっているようで眉間にしわを寄せた。


「正式な場を設けなければいけない事が起きていると言うわけですか? しかし、そうなるとジークとノエルさんがどうして、王城の一室に通されているのですか?」


「いや、俺達は流されてここまで来ただけだから、転移の魔導機器は持ってるけど、移動できる場所ってのは限られてるからな。俺達は自分達の意思ではフォルムには移動できないんだ」


ライオは正装に着替えるのは面倒だと思ってはいるようだが、大事が起きている事は理解できており、腰をかけていたソファーから立ち上がる。

しかし、ジークとノエルが王城にいる理由がわからずに首を傾げるとジークは自分達ではフォルムに戻る事ができない事を白状した。


「そう言う事、それじゃあ、私は1度、着替えてこようかな? カルディナは……」


「カイン様のそばにいます」


「……悪いんだけど、1度、学園に戻っていてくれないかな? こちらが終わったら学園の方に戻るから、資料をまとめておいてくれるかい」


ライオをジークの言葉に納得したようで1度、頷くとカルディナをどうするか考えようとする。

カルディナは直ぐにカインのそばを離れたくないと答えるが、彼女が居ては必要な話ができない事もあり、彼女に魔術学園に戻っているように指示を出す。


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