第38話
「これって、どう言う事ですか?」
「わからないけど、何かないか調べるしかないな……悪い。ノエル」
「どうかしましたか?」
ジークは壁を調べようと不用意に手を伸ばした時、ジークの耳には「カチっ」と小さな音で何かのスイッチを押したような音が聞こえるが小さな音だったため、ノエルの耳には届いていなかったようであり、
「……俺、今、変なスイッチを押したかも知れない」
「それって、何が起きるかは」
「……わかったら、嬉しいね」
ジークは顔を引きつらせながら、失敗した事を告げるとノエルはジークから少し距離を取るように後ろに下がり始め、
「とりあえず、この手を避けてみたいんだけど、何があるかわからないから防御系の支援魔法とかをかけてくれると嬉しいんだけど」
「そ、そうですね。何があるかはわかりませんけど、罠って可能性はありますし」
2人は最悪の事を考えてノエルは支援魔法に移ろうとした時、「ガラガラ」と大きな音を立てて何かが崩れて行くような音が2人に向かって近づいてきており、ジークはその音が壁の奥から自分に向かって近づいてきている事に気づく。
「……ノエルさん、俺、死ぬかも知れない」
「な、何を言ってるんですか。あ、諦めちゃダメです!! と言うか、明らかに何かが近づいてきてるんだから、離れてください!!」
「それも、そうだな」
ジークは自分に迫ってきている恐怖に顔を引きつらせたまま動かずにいるとノエルはジークに壁から離れるように言い、ジークは慌てて壁から離れると今までジークが立って場所の足元と壁は崩れ落ち、
「階段?」
「ですね」
足元には下に続く階段が現れる。
「どうする? 下に行くか? フィーナ達を待つか?」
「で、でも、時間がないんですよね?」
「それはそうなんだけど、壁が崩れ落ちたんだぞ。下で何かあったら、絶対に生きて戻ってこれないし」
派手に壁が崩れ落ちた事に2人は先に進まないといけない事はわかりながらも踏ん切りはつかないようで顔を見合わせると、
「で、でも、行かないといけないんです。行きましょう。だ、大丈夫です。きっと行けます。ジークさんが居てくれると凄く心強いですから」
「ノエル……わかった。行ってみよう。ここまできたんだ」
「あ、あの。ジークさん、手を握っても良いでしょうか?」
「あ、あぁ」
ジークとノエルは奥に進む事を選び、不安を振り払うようにお互いの腕を握って階段をおり始める。
「ノエル、足元に気を付けてくれよ。さっき、奥の壁が崩れていたわけだし、足元には崩れた壁がある……ない?」
「ないですね」
ジークはランタンで足元を照らしながら階段を降りるが壁の破片は階段にはなく、2人は首を傾げると、
「……やっぱり、この遺跡を作った人に俺達ってからかわれてるのか?」
「そ、そんな感じもしてきてます」
ジークとノエルは薄々、感じていた事を口に出し、
「まぁ、油断してると危ないから、気を引き締めような」
「そうですね。足を出したら、階段が崩れるとかあってもイヤですしね」
「「……ありそう」」
ジークとノエルは周りを警戒しながら階段を進んで行く。