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勇者の息子と魔王の娘?  作者: まあ
カインの罠
379/953

第379話

「改めまして、先日よりフォルムを統治させていただいています。カイン=クロークです。このような場所で申し訳ありません」


「リュミナ=ザガードです……」


リュミナの準備が整った事で居間で話し合いの場を設けるが、カインは領主の立場でありながら、謁見室ではなく個人の屋敷での謁見に謝罪を行う。

リュミナはカインの様子にフォルムの領主の悪評を聞いていたためか、目の前のカインが悪政をしているとは思えなかったようであり、そばに控えているリアーナに視線を送る。


「リュミナ様、カイン様も申し上げたようにフォルムは先日、領主が交代されたようです」


「そうですか。カイン殿、失礼な態度を取ってしまい申し訳ありませんでした」


「気にしていませんから、頭を御上げください」


リアーナはリュミナにカインの事を話し、リュミナは改めて、自分達の非を詫びるとリアーナ以外の3人の騎士も警戒を緩める。

カインはその様子に若干、居心地が悪くなっているのか苦笑いを浮かべた。


「カイン様、リュミナ様に代わり、私がお話させていただきます」


「わかりました。しかし、その前に私から1つ良いですか?」


「何かありましたか?」


リアーナは改めて、リュミナの保護を願い出ようとカインに向き合う。

その真剣な表情にカインは頷くも先に話をしたい事があるようであり、リュミナはカインの屋敷と言う事もあり、領主である彼を立てようと思ったようで聞き返す。


「様付けは止めていただいても良いでしょうか? 私は平民出身ですのでどうも居心地が悪いのです。ここには名家の子息もいますが気心の知れた者ばかりなので」


「カ、カイン様は平民出身なんですか? ハイムでは平民出身でも領主と言う責任ある立場になれるのですか?」


「リアーナ、失礼ですよ。国が違うのです。そのような事もあるでしょう」


「し、失礼しました」


カインは領主と言う立場ではあるものの、正式な場ではない事もあり、堅苦しいものはいらないと言う。

ザガードでは平民出身の者が領主と言う物にはなれないようで、リアーナは驚きの声を上げ、その様子にリュミナはリアーナをいさめ、リアーナはカインに向かい深々と頭を下げる。


「かまいませんよ。リュミナ様は国を追われているとの事ですがザガードの地に近いフォルムでの生活をお望みですか? それとも……再起を賭けて争いを望む気ですか?」


「カイン=クローク、いきなり何を言い始めるのですか!? リュミナ様、この者が失礼な事を言って申し訳ありません」


カインは長話をするつもりもないようであり、リュミナへと問う。

その内容は1国の王女へ対するものではなく、カインの隣に座っていたセスはカインの頭を押さえつけて無理やり、頭を下げさせる。


「セスさん、聞かないといけない事ですから、リュミナ様は下手をすれば望む、望まないに関わらず、争いの引鉄になる方なのですから」


「それはそうなのですが、聞き方と言うものが……」


カインとセスの様子にミレットはカインの言いたい事もわかるようで割って入り、セスもそれは重々承知しているものの、慎重に話を運ばなければいけないものだと思っているため、カインを睨みつけた。


「いえ、カインの言いたい事もわかります。私は争いを起こそうとなど思ってはいません。リアーナ達は私の事を思ってくれているようですが、表舞台になど立たなくても良い。平和に生きていければそれで良いんです」


「リュミナ様、しかし」


リュミナ自身は王族として生きなくとも良いと思っているようであるが、リアーナや彼女を守ってきた騎士達はリュミナを不憫に思っているようで何とかしたいと思っているのが目に見える。


「わかりました。フォルムはザガードとも近いため、追手などを考えるとフォルムには国軍もいないため、リュミナ様を守り切る事ができません。そのため、この地にいるよりは他の地の方が良いでしょう。私の信頼する者にリュミナ様の保護をお願いしたいと思います」


「よろしくお願いします」


「ま、待ってください。カイン、その者は本当に信頼できる方なんですか?」


カインはリュミナが争いを望んでいない事に一先ず、安心したようで小さく頷くがフォルムは兵や騎士がおらず、リュミナのような大物を預かれる場所ではないと言うが、他の地に当てはあるようでその地に移動して欲しいと確認する。

リュミナは自分が文句を言える立場にない事は理解しており、直ぐに頷くが、リアーナは慌ててその人物について聞く。


「……リアーナ、きっと、その人物については聞かない方が良いぞ」


「間違いなく、あの人よね」


話の流れを見守っていたジークとフィーナはカインが誰の事を言っているか直ぐに見当がついたようであり、大きく肩を落とす。


「信頼できます。私がもっとも信頼している人物ですから、心配でしたら、リアーナがその方を見極めてくれても構いません」


「リュミナ様、申し訳ありませんが、私にはリュミナ様の御身が1番です。カイン、その者と会わせていただけますね」


「はい。かまいませんよ」


リアーナはカインは信頼してはいるものの、だからと言って、カインが紹介する人間を信じる事はできないようで、その者を見極めたいを言う。

その様子にカインは直ぐに頷くが、その口元は楽しそうに緩んでいる。


「ジークさん、良いんですかね?」


「……まぁ、会う事は構わないんじゃないか? むしろ、リュミナ王女をいきなり会わせるよりはダメージが少ないと思う」


カインの様子からも、リュミナを預けようとしている相手が間違いなくエルトだとわかっており、ノエルはリアーナをエルトに会わせて良いものかジークに意見を聞く。

ジークはカインに何か考えがあると思いこもうとしたようであり、面倒事から目を逸らす。


「それでは夜も遅いですし、そろそろ、休みましょうか? リュミナ様はすいませんが、私の寝室を使ってください。寝具は取り替えていますので、後、申し訳ありませんが、リアーナと騎士達は交代で警備をお願いします」


「はい。わかりました」


カインは夜も遅い事もあり、話はここまでだと言うとリュミナを守るために騎士達に力を貸して欲しいと頭を下げ、リアーナ達は直ぐに頷く。


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